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異世界実録路線 少女は魔の現実に立ち向かう  作者: 幻影摩天楼


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第24話 黒い華のささやき

東京都内、某所高層ビル最上階。


律子が新世界を脱出して現実世界への帰還を無事果たした直後、この都内でも屈指の巨大ビルの一室で何やら密談が行われていた。


会議室のスクリーンには、上総律子の詳細なデータが顔写真入りで映し出されていた。


スーツ姿のエリートビジネスマン風の若い男が、上座に座っている存在へスクリーン上のデータをもとに説明を始めた。


「名前は上総律子。14歳。生年月日は、2021年4月28日生まれ。文星中学校2年生。本籍地は東京都〇〇。家族関係は以前は祖父母両親との3世帯同居であったが祖父母の死去に伴い現在は両親との3人暮らし。先般、新世界における選抜課程をパスした文星高校2年生三好霞との深い交友関係が確認されております。ほかにも親しい友人関係を持つものが2名確認されています。」


風格のある役員風の中年男性が続ける。


「しかしまずいことになったな。こんな女子中学生がよりによって政府が把握し損ねていた新世界への出入り口を発見してしまうとは。おまけにあのビルの内部、特に選別石を見られた上に捕らえていたホワイトエルフの娘と一緒に逃亡。こいつの魔力の痕跡を追跡した結果、ホワイトエルフ族の居住地から現実世界へ帰還した痕跡ありときた」


上級職の身分証明書を首からかけた女性役員が話を加える。


「私の分析を基に申し上げますと、彼女、上総律子の存在は想像以上に危険と判断いたします。新世界上空に展開中の衛星透視カメラのデータから、彼女は選別石に接触して何らかの能力を会得し、それによりエージェント6を返り討ちにしています。エージェント6の能力は火炎系魔法を極限まで収束させて跡形もなく相手を消去する閃光魔法の一種です。素人はおろか一定以上の経験を積んだ能力者や術師ですら太刀打ちできない能力が付与された存在でした。それがほぼ一方的に敗北した理由は現在調査中ですが、現時点で判明しているのは、エージェント6が本来持っていたはずの能力が半分以上消去されて使えなくなっていたということです。これはつまり・・・・・」


「私たちが与えた能力を解除してしまう力。もっと言うと彼女、洗脳全般を解除できちゃうってことでしょう?」


上座で話を聞いていた存在が口を開いた。


相当な地位に位置すると考えられる彼女はしかし外見は女子高校生そのもの。日本でも屈指の名門校の制服に身を包み、長い髪は闇のように黒く、制服を含めて全身を黒一色で染めたたぐいまれな美貌の持ち主。それでいて美少女としての初々しさと大人の色香を兼ね備えた危うく、そして恐ろしい何かを胸の内に秘めていることがうかがえる。


「彼女、私が何とかするわ」


会議室の一同がざわめく。


「し、しかし、殿上人様ともあろう御方がこんな一女子中学生ごときに御自らお出ましになられるなどと・・・・・」


「いいの。この子の能力って私の次元でないと対処できないもの。それに大丈夫よ。厄介なことになる前に、こちらが絶対的に上の存在であると分からせて勝手なことをこの子自ら断念するように仕向けるから。そう、自らね。それにこの律子って子、三好霞って子とも仲がいいんでしょ。三好霞は私の派閥とは別の所の所属だから、律子を落とせば何かにつけて都合のいい駒になってくれそうだし」


全身黒ずくめの少女は続ける。


「それにこの子、私興味があるの。何者からも独立心を保って、自分のアイデンティティを守り抜こうって気概。今時大人でも持っていない珍しい精神性の持ち主よ。きれいなものほど自分色に染め上げたい。この子の心をへし折ってみせるわ」


「御意に。すべては殿上人様のままに」


暗黒の美少女はにやりと笑みを浮かべ、その場の一同は黙って深々と頭を下げた。



第1章 完


※次回より第2章に入ります。


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