第22話 僕は異世界で世界を救う旅を仲間とともに開始します!
僕はサトシ。元中学2年生です。
元というのはもうすでに僕は現実で生きることをやめたからだ。
とはいっても元から僕の人生は終わってたようなものでした。
親は理解なし、教師は理解なし、時代錯誤な根性論地獄でどこへ行っても何を言っても叩かれてばかり。
そうして引きこもりになって毎日ネットとゲームで過ごす毎日。一生このままで終わるのかと思っていたら、いきなり超きれいな女神さまが現れて新世界を救ってほしいと懇願してきて・・・・・、ラノベと深夜アニメで出てくるような展開がリアルで起こって僕はマジに驚いた。
最初なんかのドッキリものか何かかと思ったけど、話を聞いているうちに女神様の言っていることが事実っぽいし、僕たちが新世界と呼んでる異世界って色々うわさがあることは知ってたし、とりあえずやることもないから女神さまを信じてみることにした。
ネット上でも新世界って結構変な噂が飛び交っていて、しかもそういう情報ってすぐ削除されちゃうから怪しいとは思ってたんだよね。まあ、中には明らかに荒唐無稽なことも書いてあって、何がホントで何がウソかわかんないし。
そうしたら女神さまが新世界と現実世界の真実を教えてくれた。
10年前に新世界と現実の出入り口が開いたのは偶然ではなくて新世界を支配する魔王が現実のほうを侵略するために開いたものだということ。
新世界すなわち異世界では特別な力が得られるという話は嘘で、本当は魔王が人々を支配するための選別であるということ。
すでに現実も異世界も魔王とその手下に侵略されて事実上支配されているらしいとのこと。
そんなこんなで僕は異世界へ召喚されて、現実と異世界の両方を救うべく勇者になった。
僕は双剣の女神ミーシャ様の魔法によって空気のよどんだ自分の部屋から彼女の数少ない仲間がいる異世界の町ハンフォードへと召喚された。
彼女はこの町で普段はトップとして仲間を束ねているらしい。
異世界にきて最初に見た光景にマジで驚いた。
「嘘、異世界転生系の街並みそのまんまじゃん!」
石畳の通りと石造りの建物の数々、異世界系のアニメでほぼテンプレといえる中世ヨーロッパ風の街並みがそこには広がっていた。
住んでいる住人もロープレゲームとかで出てくる中世の町人とか職人とかの格好をしていて、武器屋とか防具屋、それに道具屋やさらにはカジノまである。
あと、仲間と出会える酒場もある。ここで志を同じくする人と話をして気が合えばパーティを組めるって女神さまは言ってた。
まんまロープレ。すべてがそう。こうもリアルでこんなシーンに出くわすって映画の中に入ったみたい。
もしここがテレビゲームのRPGの世界だったら、画面に映って動かされているのがまさに僕で、プレイヤーはあの空の上から僕を画面越しに見てプレイしているんだろうなあ~。
そんなことまでつい想像してしまった。
早速僕は酒場で仲間を探す。ここに来る直前に女神さまからこの町についての詳細な情報を教えてくれていた関係で、あまり迷うことはない。
女神さまは頻繁に外出をして魔王へ共に戦ってくれる人を集めるべく普段は町にいないことが多く、町にいるときは中心部にあるこじんまりとした館にいる。だから僕も普段はテレパシーみたいな呪文で会話することが多い。
女神さまが剣となんでも入る袋をくれたことに加えて、自信をくれる魔法もかけてくれたことで僕は今までにない前向きな気持ちになった。
これからは自分から人に話しかけていける。そんな気がした。
酒場には僕と同い年くらいの人から、中年の人までたくさんの人であふれかえっていた。
早速仲間になりそうな人を探していたら、酒場の奥で座っていた3人組の人たちが僕を発見するなり近寄ってきた。
「君、もしかしてサトシ君?」
最初に話しかけてきたのは見るからに回復役の僧侶の格好をした女の子だった。
年齢は僕と同い年くらい、ショートカットのかわいらしい女の子で、手にはこれまたロープレでよく出てくる僧侶用の金属製っぽい杖を持っている。
「初めまして。私、アミといいます。前世から転生によってこの世界に来ました。女神ミーシャ様からお話を聞いております。あなたとパーティを組んでくださいとのことで探していました」
「こっ、こちらこそよろしく!」
同年代くらいの女の子とまともに話すのって久しぶり。きんちょーするな~。
あと僕はこの世界に召喚されて転移してきたけど、この子は前世から転生してきたってどうゆうことだろう?ラノベみたいに死んで転生ってパターンもこの世界にはありなの?
アミと名乗る少女があいさつした次に、横にいた男性の内、ローブを着て木の杖を手にした中年のおじさんが僕に挨拶してきた。
「初めまして。私はカズオといいます。元東下電気営業部長だったものです。故あってミーシャ様のお導きによりこの異世界に転移しました。ここでは魔法使いと商人を兼ねてます。よろしくお願いします」
「はっ、ハイよろしくお願いします!」
東下電気って有名な大企業じゃん。なんでそんなとこの営業部長の人がここにいるの?大企業の人とまともに話すのこれが最初だな。
最後に大学生くらいの男の人が話かけてきた。
「初めまして。俺はヒデキ。この世界では戦士をさせてもらっている。ミーシャ様に召喚されてこの世界を救うことになった。よろしく!」
「よっよろしくお願いします!」
いずれの人も僕と同じようにミーシャ様によって召喚されたり僕と同じく転移してこの世界に来たらしい。ただ、アミさんだけは転生と言ってた。どうなってんの?
「とりあえずここでは込み入った話は難しいですから、奥に個室を用意してあります。そちらでお話ししましょう」
魔法使いと称する中年のおじさんが手慣れた感じで僕を奥の部屋へ案内する。人を思いやりつつ丁寧に案内する様は元大企業の営業部長だったと言うだけあると、自分なりに納得した。
奥の部屋は6人くらいが集まれる個室になっていて、仲間内での会議とかがやりやすくなっている感じの部屋だ。
僕を含めた4人全員が一つの丸テーブルを囲んで座る。
すると、テーブルの中央に、ホログラム映像みたいな形でミーシャ様の映像が突然映し出された。
「皆さんおそろいのようですね。サトシも仲間たちと合流できて何よりです」
女神ミーシャ様は僕に向かってほほ笑むと、この3人について説明を始めた。
「サトシに説明をしますと、この3名はあなたとともに魔王に立ち向かうべく私が召喚した方たちです。いずれも元は現実世界の方たちですが、アミだけは事故で亡くなった方で、今回転生という形でここに来ていただきました」
ミーシャ様はそれから張り詰めた声で僕たちに言った。
「改めて申す必要のないことですが、あなたたちにはこれから魔王討伐に向かってもらいます」
「魔王が住むのはここからはるか西に位置するデゲレンの魔宮。そこに魔王スロイカがいます」
「ここからはるか南側には現実世界とこの世界をつなぐ出入り口が存在していますが、すでに皆さんに説明したように、それらも魔王側の手に落ちています。そこを行き来する現実世界の人間たちもすでに魔王に洗脳されている人たちなので、支援を求めることはできません」
「おまけに南部は防備も固く、現実世界の人間たちの技術も加わった建築物などが点在しており、近づくのは危険です」
「しかし、魔王は現実世界を事実上制したという油断からか、本拠地の城周辺は現在のところ、私たちの力を結集すればわずかな望みであっても勝てる可能性があります。私はそれに賭けたいのです!」
女神さまは真剣な面持ちで僕たちに話した。
「まずはこの町を拠点にしてレベルアップと装備の充実に励んでもらい、それからまずは魔王の前線拠点アルザマス地方のアルザマス砦を攻略してもらいます。そこは元々この世界で中立的な存在であるエルフたちの住む場所で、魔王は彼らを奴隷にして虐げているのです。まずは彼らを解放してください」
「あと、あなたたちが砦を攻略できた暁には、その地方の復興のために私の部方たちがあなたたちに続いて入ります。残敵の掃討も部下たちがやりますのであなたたちは魔王の攻略にのみ集中してください」
女神さまの言葉に熱が入る。
自然と僕たちも緊張してきた。
すると女神さまはまた、こうも付け加えた。
「もう一つ皆さんに心掛けておいてもらいたい事実があります」
「実は魔王も私と同じように、勇者を現実世界から召喚した痕跡があります。それも複数名以上も」
それを聞いた一同が困惑する。
「魔王が勇者を召喚するって、そんな話聞いたことがないよ」
女神さまが続ける。
「魔王は善良の存在を装って現実世界の人間の前に現れ、異世界を救ってほしいと懇願し、この世界へと召喚し
ているのです」
「それって僕らと同じじゃん!!」
僕は思わず叫んだ。
「その通りです。魔王は皆さんをつぶす目的で、私が皆さんを召喚したのと同じ形で現実の人間をだまして召喚し、皆さんにぶつけようとしているのです」
「魔王は自ら善なる存在になりすまし、皆さんと同じような人を信じることができる存在をだましてわざと力を与え、あろうことか皆さんの方が魔王に召喚された悪の勇者だと思い込ませて皆さんと戦わせようとしているのです。そうして共倒れするよう仕向けているのです。」
「どうしてそんなことをするの?まさかそうすれば素直な人間を効率的に排除できるから?」
「はい、魔王スロイカは私の力を使いこなせる勇者の素質を持つ人間の目を現実世界で摘み取る工作を進めるとともに、万が一勇者が誕生したときにそれを一石二鳥で排除する方法として、同じ信じる心を持つ者をだましてこの世界に召喚し、皆さんと戦わせようとしているのです」
「でもその人たちを説得して正気には戻せないのですか?」
「残念ながらそれはできません。彼らは魔王による完全な洗脳を受けており、それを解除することは私にもできません。彼らはあなたたちを逆に悪の勇者たちだと思い込まされているので、完全な敵対者として向かってくるでしょう。残念ですが、倒すほかはありません。それも、そのような形で召喚された魔王側の勇者たちはかなりの数に上る可能性があります。皆さんは大変つらいでしょうが、魔王の配下のモンスターだけでなく、これらの人間とも戦わねばならないのです」
「そんな・・・・・」
異世界の現実が少しわかってきた。
でもこんなのはロープレでよくあるシリアスシーンだし、世界を救うにはやむを得ない。
「分かりました女神様。早速修行してからアルザマスっていう砦を攻略しに行きます。みんな、よろしくね」
僕は同じ人間とも戦わないといけないという緊張感はあったが、現実とは違う異世界の出来事ということや、世界の命運がかかっているという話の大きさに対して迷いはなかった。
「ありがとうサトシ。そしてみんなも。あなたたちの宿舎は町の宿屋を借り切ってあります。そこを活動の拠点にしてください。それでは、今日はゆっくり休んでくださいね」
こうして僕の異世界ライフは幕を開けたのだ。明日から頑張るぞー!!!




