第18話 第36新世界研修センターA棟の概説
第36新世界研修センターA棟
ここは各国政府と有名大企業が合資して設立した、新世界における磁場を活用して人間の能力を向上させるために設立した、教育訓練及び人間の行動心理等を研究するための複合施設の一つである。
各階はほぼすべて企業、予備校、学校、その他の研修を同時に行うことが可能な研修所となっており、それに付随する研究施設も併設されている。
常時専門の研究者が常駐するこの施設はしかし、現実世界で報道されるのは外見のみ。内部は政府が許可したホールの映像と静止画以外は非公開という謎めいた施設でもある。
その最上階36階。
この階は地下6階の選別石に適合した人間のみが進むことを許されるフロアであり、現実世界における各界のエリートへの道が約束される進学課程ないし研修課程へのコースが開催される場所である。
三好霞ら各予備校や学校から選抜された者たちはまず、土日の予備課程の段階で地下6階の選別石による選別をうけ、適合性ありと判断されるとまずこのフロアに案内される。そして、ある宣誓文を読まされた後、過酷な進学学習過程へと移る。夏冬の休みを利用した本科の長期合宿も一部例外的事態の場合を除きこのフロアでのみ行われる決まりとなっている。
エリートの卵たちがこのフロアにて宣誓し、その場で自らの血をインク代わりにして署名する宣誓文とは次のとおりである。
「私たちはこの場を借りて、全知全能の神をも超える存在にして至高の御方・明けの明星の化身であらせられる殿上人様がたの命に無条件に従い、その意思の忠実な下僕として絶対服従し、その手足として生涯のすべてを心身共にささげますことを血の盟約をもってここに誓います。殿上人様の権利を擁護し、自ら思考するすべての異端共ののどを掻き切り、権利を主張する生産性なき労働者たちの頭の皮を生きたまま剥ぎ取り、殿上人様を裏切ることがあれば自らの命が業火に焼かれることにも同意します。
私たちはまた、殿上人様たちの高貴な思想に異を唱える異端共の組織に入り、その異端共の熱烈な支持者を装い、時には殿上人様を誹謗中傷する猛々しい弁舌をまくしたて、非難難詰するアジ文書を書きなぐり、殿上人様に反発する愚か者共の支持を受け、平気で噓をつき、異端を騙しぬき、時が来れば背後からそれら愚か者共の背中を憎悪を込めた刃で肺を突き刺し、もがき苦しませながら消し去ることを実行することを誓います」
※本文書は政府の特定機密文書として厳重に金庫に保管され、外部の人間の目に触れることはまずない。




