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異世界実録路線 少女は魔の現実に立ち向かう  作者: 幻影摩天楼


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第12話 ある郷土史家の証言

土曜日の朝午前8時50分、上総律子は最寄りの鉄道の駅庁舎前に立っていた。


律子が待っていると、荒木唯が走りながらやってきた。


「おはようございます、荒木先輩」


「おはよう、律子さん。ふーっ。間に合った。ぎりぎりだったけど待たせちゃったかな?こっちから誘っておいて申し訳ない」


「いえいえ、私も先ほど来たばかりなので、それでは行きましょう」


2人は4番線ホームに停車していた各駅停車に乗った。 車内は土曜の朝だが、平日に比べればまだすいているほうで、2人は中央付近のロングシートの端に座った。


「ところで荒木先輩。今日尋ねる方のお名前は何とおっしゃるのですか?」


「うん。名前は倉富孝三郎という方なの。年齢は今では確か50代後半くらいだろうと父が言っていたわ。その方は学生時代から地元の郷土史を研究されていたらしくて、大企業で勤務されていた際にも関係する資料を常に収集して1冊の本として出版しようと考えておられたらしいの。父はぜひその本が出版された暁には購入しようと思っていたらしいのだけど、何故か今に至るまで出版されていないの。何か事情でもあったのかしら?」


「ん~、どうでしょうか。大企業にまで行かれた方ですからそれなりの地位をお持ちの方のはずですし、今の時点では何とも言えないですね」


霞先輩とは紗月と一緒に休日にショッピングに行ったことがあるけど、霞先輩以外の年上の高校生と一緒に外出したのはこれが初めてだ。


いつもとはまた違った緊張感があったが、こうして荒木先輩と話していくととても話しやすくて頼りがいのある方だと分かって安心した。


「荒木先輩。今回は倉富孝三郎さんの所には訪問する電話はされたのですか?」


律子の質問に荒木唯はやや困り顔になって言った。


「それが父から渡された倉富氏の電話番号にかけても繋がらなかったのよ。自宅、携帯両方ともこの電話番号は今は使われていませんって音声が流れたのよ。もしかしたら引っ越しされたのかもしれないし、わからないわ。でも新世界に関連する手掛かりは今のところもう倉富氏に話を聞くことくらい。もし空振りに終わったらごめんね。なにかおごるから」


「いえいえ、私も荒木先輩と同じことを偶然考えていたのですから気にしないでください。霞先輩のことが心配で今日こうして一緒に出掛けることになったのですし、2人で頑張りましょう」


2人で話をしているうちに、電車は目的の2駅目に到着した。


駅から荒木先輩のスマホの地図を頼りに倉富という人物の住所に向かうと、駅からバスで10分の所に氏の家はあった。引っ越しはしていなかったのだ。


その家はかなり大きな一戸建て住宅で、外見から見て築はおよそ20年くらいか。それでも表向きはかなりセンス良く、大企業で務めてきた人の家らしい豊かさを感じる。表札はローマ字で”KURATOMI”と書かれていた。


ピンポーン! 荒木唯がインターホンを押すが返答はない。2回目、3回目にも応答はなかった。


「お出かけ中なのかな」


「でも、一応2階の窓が開いてるし、人はいてそうなんだけど・・・・・」


「一旦駅前のカフェか何かに戻って、少し時間がたってからもう一度こようか」


「うちに何をしに来た!!二度と来るなと警告したはずだぞ!!」


突然の怒号に2人は仰天した。


荒木唯が律子に駅前にいったんもどる提案した矢先、家の2階の空いた窓から男性が顔を出して大声で叫んだのだ。


荒木先輩は落ち着いて話しかける。


「待ってください。あなたは倉富孝三郎さんですか?私はあなたにお聞きしたいことがあってきました荒木唯と申します。」


すると、男性は無言で窓をぴしゃりと閉めた。


しばらくして、男性が玄関から出てきた。


「何の用じゃ。わしに?」


どうやら倉富孝三郎氏本人のようだが、氏の体は不自然なまでにやせ細っていて、怒鳴り散らしはしてもその声には生気がないことが感じられた。


荒木唯は直感を働かせて律子に言った。


「ごめん律子。今すぐ近くのコンビニでお弁当とお茶を買ってきて。私の財布を渡すから。この方多分何日も食事をしていなくて気が立っているのよ」


「わっわかりました!」 律子はすぐ近くのコンビニで弁当とお茶を買うとすぐに倉富氏の家の前に戻った。


それまでは荒木先輩が倉富氏をなだめるように話をしてくれていたようだ。


律子が弁当を差し出すと、その男性の目は見る見るうちに穏やかになった。


男性は律子からコンビニ弁当を受け取ると、何降りかまわずむさぼるように食べ始めた。 その勢いから何日も食事をとっていないのは律子と唯の目から見ても明らかだった。


律子から受け取った弁当をご飯粒一つの残さず食べ終わり、お茶を一気飲みすると、男性は口を開いた。


「わざわざ訪ねてこられた人に大変な醜態を見せてしまった。申し訳ない。私は倉富孝三郎と申します。お嬢さんがたはどちら様ですか?」


倉富氏の問いかけに、荒木唯が答えた。


「初めまして。私は荒木唯と申します。文星高校2年生で、失礼ながら私の父荒木満があなたと会社の取引関係で交流があったと聞いており、本日はぜひお聞きしたいことがあってまいりました。よろしくお願いします。」


続いて、上総律子が挨拶する。


「初めまして。私は上総律子と申します。文星中学校2年生です。よろしくお願いします。」


「こんな玄関先では失礼ですから、失礼ながら応接間にどうぞ」


倉富氏は彼女たちを応接間に案内した。 「ごめん下さい」 2人とも挨拶をして靴を脱ぎ、それらをそろえてから氏の家に上がった。


応接間に続く廊下には大きな本棚がいくつもあり、今では手に入らないような蔵書が所狭しと並んでいた。本の題名から歴史関係の本が圧倒的に多く、その蔵書の充実ぶりから聞いていた通り倉富氏は相当の知識を持つ人であることがうかがい知れた。


男性の名は倉富孝三郎氏。荒木先輩が言っていた方その人だった。

年齢は60歳と述べているが、髪の毛はほとんど白髪で、年齢以上に老けて見える。疲れ切った口元と隈のできた虚ろな目からは素人から見ても想像を絶するような心労の痕跡がうかがえる。


話を聞くと荒木先輩の言う通り、元は大手企業のサラリーマンだったそうで、仕事の傍ら若いころから興味を持っていた郷土の歴史研究に打ち込み、今から15年前の45歳の時に郷土史の大著を完成させ、自費出版したそうだ。


ところが、今から9年前の2026年頃から突如正体不明の複数の不審者に付きまとわれるようになり、意味不明な嫌がらせを受けるようになっていったという。同時に自費出版した本はなぜか出版元が突然倒産し、市場には出回らないまま終わってしまったという。出版社は比較的業績が良かったため、突然の倒産は氏にとって文字通り青天の霹靂だったらしい。在庫についても今もって返ってきていないらしい。


具体的には老若男女、それも外見はごく一般人の人たちがすれ違いざまに意味不明な言葉をこちらに聞かせるかのように言う、または咳ばらいをする。近所の人たちや会社の同僚、古くからの友人たちがこぞってこちらを警戒するような態度をし始めて自分を避けるようになったと彼は言うのだ。 はじめは気のせいと考えていたが、やがてそれらが無視できないほど頻繁に起こるようになり、かつ、こちらにだけわかるような精神的圧力が感じるようになり、やがてネットやテレビでも自分の日常があたかも盗聴や盗撮をされてどこかで実況中継されているかのようなものを感じるようになったという。

それは倉富氏にとってとてつもない恐怖を感じさせるものだった。


そして何よりも不気味なのは、この犯罪は不特定多数の人間が関与していて、ごく自然の日常的しぐさや偶然を装ってこちらのみが主観的に気づかせられる心理的圧力を仕掛けてくるため、具体的な犯人を特定する証拠らしい証拠がほとんどなく、訴えたくても訴えられないという点だ。


「私の言っていることは本当です。幻覚とか妄想癖とかで現実と空想の区別のつかない病気の人間なら、とっくにあたりかまわずこのことを言いふらしていたでしょう。でも私は現実と空想の区別がはっきりわかるから、私が訴えたとしてそれを第3者が聞いた時のことを想定すると、世間一般の常識から精神疾患の人間と勘違いされる恐れの方が高いとはっきり自覚していたから今日まであえて他人にはそのことを言ってこなかった。つまり私には一般常識・現実と空想の区別がつく認知能力がしっかりとある。断じて妄想の類で言っているのではないのです!」


「こんなことを学生に言うのは嫌なのですが、執拗な付きまといなどの嫌がらせは妻や息子にまで及び、息子は学校で私と同じような目にあい不登校になった。妻も同様の嫌がらせに会い、それがきっかけで夫婦げんかが絶えなくなり、息子は家のあちこちで暴力を振るうようになり、最近妻とは離婚、息子は妻側に引き取られたがどういう理由かは分からないが施設に預けられる羽目になったとのみ聞いている。その際に蓄えもかなり妻側に行ってしまい、食費を切り詰めてわずかな貯金頼みの生活を強いられているのです」


「私は自分たちに降りかかってきた災いの正体は何なのか、犯人は誰なのか、自分にできる範囲でインターネットや古書店街を回って必死に調べました。まだ2020年代の頃はまだわずかに歴史に関する詳細な資料が神田の古書店街に残っていた。すると調べていくうちに、私や家族の身に降りかかってきた一連の不可解な災いは心霊現象とかわしの妄想などではなく、旧ソ連のKGBや旧東ドイツの秘密警察シュタージが行っていた人権弾圧システムの手口とそっくりであることに気が付いた」


「旧ソ連などの全体主義国家では、当局が好ましからざるとみなした人物をごく自然を装って社会的に抹殺するために抹殺対象を精神疾患の人間に仕立て上げて精神病院に隔離するよう仕向ける弾圧手法を編み出した。それが私と家族に対して向けられた可能性が高いのです」


「この手口はごく自然を装い、通行人がこちらを意識して何かこちらのみが気づくようなしぐさや発言をする。こちらはどうしても主観的に気づくのみで、第3者から見たら何気ない日常の光景にしか見えないので、こちらが被害を訴えると逆にこちらが精神疾患・妄想癖の人間と勘違いされてしまいやすい。いわば完成された人権弾圧システムとでもいうべきもので、これがかなり古くからこの国でも行われているということを私は歴史の本を読みこんでいくうちに突き止めたのです」


「おまけに私の家の中の光景があたかも見えているかのようにテレビやラジオでほのめかす発言を芸能人やレポーター、ニュースキャスターが言ってきたり、私が例えばドイツの企業のことを考えていたら翌日日本にあるドイツ企業の社員が精神異常者に殺害される事件が起きたり、私の家の周囲にパトカーや救急車がサイレンを鳴らしながら不自然なまでに頻繁に通るようなったりしている。明らかに我が家への盗聴や盗撮、よく通る道での待ち伏せも行われている可能性があると私は見ています」


「このようなことを第3者が聞くと精神疾患の人の妄想にしか聞こえないでしょう。しかし、現実に私の周囲でそれらはたしかに相次いで起こったのです。いや、今も起こり続けている。だが、何度も言うようにこれは私の妄想なんかじゃない。親しくしていた人との人間関係の分断といい、私の家族への相次ぐ災いといい、災いが起こる出来事へ行くように誘導されるような気配といい、これは偶然にしては明らかに出来すぎていた。最初は私も心霊現象か何かと思っていたこともあったし、被害の初期から中期の頃までなぜかやたらと新興宗教の勧誘が入れ代わり立ち代わりあらゆる団体が我が家に勧誘に来た。全部追い返してやったけどね」


「この手口は被害者が被害を訴えると、証拠を確保しにくいことをいいことにこれ見よがしに被害者を精神疾患に仕立て上げて信用のできない、頭のおかしい人間に仕立て上げて社会的に抹殺することができる構図になっています。それに加えて被害者の精神に相当のストレスを与えて弱らせる手口故に、被害者は本当の精神疾患になってしまうことが多いのもこの犯罪の悪質な実態なのです。本当の精神疾患になれば犯人側にとっては願ってもないシナリオですからね。だから加害者と考えられる連中はこちらの精神が病むように仕向けてくるというのが、これまでの犯人側の行動パターンを分析していって分かったのです」


「つまり、この犯罪を企画実行しているのは単独犯や個人ではありません。即ち、規模の大きさからして犯人は政治権力以外にはありません。警察も見て見ぬふりをしていますし、その手口は単なるストーカーなどではなく、スパイとか情報機関が使う心理テクニックであることがスパイ関連の歴史を解説した洋書を読んで分かりました。つまり警察を含むあらゆる組織を権力が従えて私らを弾圧しているのです」


「なにせ警察にも弁護士にも相談に行ったが、ことごとく相手にしてもらえなかった。中には私が想定していた通り、心療内科へ行ってくださいとも何度か言われたものです」


そして、それら一連の不可解な出来事の数々により倉富氏は会社でも嫌がらせを受けるようになり、それで理不尽な自己都合退職に追い込まれ、現在は貯金を食いつぶしながらの生活を余儀なくされているという。


律子はこの男性の話を聞いて最初にわかには信じがたかった。 そのような弾圧があるという噂はネットでたまに見かけてはいたが、まさか本当にあるとは正直信じがたい。


でも倉富氏の証言は具体的で理路整然としており、氏の書いた郷土史の本の内容をサラッと見ても素人目からしても詳細で細かくしっかり記述されていて、到底妄想をまき散らすような人とは考えられない印象を強く受けた。


「でも、市役所に行って生活保護を相談するとか、色々と助けてもらえる方法はあるとおもいます」


「それは無理だ!」 男性は再び目を細くしてにらみつけるような視線を律子と唯に向けながら言った。


「私は既に過去に生活保護を受給していたんだ。だが、数年後、これ以上受給されますと年金が減額されます、という通知が届いた。勤労冒涜率が限界近く上がっているから、このままだと社会的ペナルティを受けますと」


「私はまだ60歳。年金受給までまだ15年もある。かといって年齢的に再就職は不可能に近く、アルバイトやパートもロボットによる完全自動化で単純労働すらできなくなった。いや、単純労働すらロボット以上の技能がなければできなくなってしまった。これ以上年金が減額されると将来の生活が回らなくなる」


「もし資産がなくなって働けなくなったら、この自宅も失ってやがて無産者になってしまうし、魑魅魍魎が跋扈する公共の老人ホームに入らざるを得なくなる。あそこに行くのだけは絶対嫌だ!」


男性は弱弱しいがしかし、精いっぱい口を開いてはっきりとした口調で言った。


「私がまだ働き盛りだったころは近所の人とも仲良くできていたし、親父の趣味だった郷土史の研究に私も興味を持って始めた。ところが、私がライフワークにしていた郷土史の本を出版しようと自費出版の会社にそれを持ち込んでから、私の家に対して隣近所から職場に至るまで急に冷たくなった」


倉富氏が堰を切ったように話を始めて約30分ほどたっただろうか。


彼は今まで誰にも言いたくても言えなかった事柄を怒涛のような勢いで話し始めたのだった。


最初、2人にとって氏の話は理解しがたいものに感じられ、頭のおかしい人じゃないかと勘繰った。


しかし、理路整然とした破綻のないわかりやすい話しぶり、そして正確な知識の数々、そして何よりも真摯に事実を訴えようとする態度や姿勢から、氏は到底妄想で物を語っている人ではないと律子も唯も直感的に確信するのに時間はかからなかった。


倉富氏の話が落ち着いた後、荒木唯が口を開いた。


「今回私たちがあなたの所に来たのには理由があります。最近私の知りあいの人がこの地域に開いた新世界への出入り口から新世界に研修に行って帰ってきたのですが、新世界の磁場での訓練に耐えてものすごく頭脳が向上したのはよかったのですが、何か人格が変わってしまったようなおかしな感じになってしまって・・・・・。それで私たちは新世界のことについて調べていたのですが、驚くことに新世界に関する詳細な資料がほとんどなかったのです。神田の古書店街も探し回りましたがみつかりませんでした。そこで父が地元の郷土史に詳しい倉富孝三郎氏のことを知っていたので、突然ですがお尋ねした次第なのです」


「つまりあなた方は新世界のことを聞きたいというのですか?それなら丁度よい。今しがたまで私が話していたことと、あなたたちが知りたがっている新世界への疑問には実は関係がある。おそらく私がこのような迫害を受ける原因になったことはまさにそれだとも私は思っている。私が研究した限り、実は旧陸軍の基地の中に今日でいう新世界への出入り口があったのではないかという疑惑が出てきたんだよ」


新世界への出入り口が昔の旧陸軍の基地内部にあった可能性がある?そんなはずはない。新世界への入り口は公式には2025年頃に全世界で突然開いて発見されたはず?なのにどうして第二次世界大戦のさなかにそのような入り口があるのだ?


律子も唯も頭がしばし混乱した。


「私は主にここから南に進んだ地域、今は再編成により名称が変わっている場所にあった軍用飛行場の歴史を主に研究していた。旧陸軍が使用していた秘匿飛行場らしく、主にB29を迎え撃つ防空戦闘機が配備されていて、戦争末期の本土決戦の際には特攻隊の出撃拠点になる予定だったらしい」


「ところが、研究を進めていくと、私は奇妙なことに気が付いた」


「どうもそこは旧陸軍の何かの研究施設が付属して立っていたらしく、しかも原因不明の奇怪な事故が多発してその施設は敗戦3か月前に閉鎖されたらしいのだよ。しかも閉鎖された直後、敗戦間際にもかかわらず、旧陸軍はその基地から数キロ離れたところに第2研究所を作り上げた」


「敗戦後、軍に関する機密情報はほとんど破棄されたが、当時を知る地元民の話によると、その最初の研究施設からは頻繁に、重傷を負ったものが近くの軍病院に運び込まれたり、まるで人間としての意識のない人形のような不気味な人間が夢遊病者のように徘徊するといううわさが絶えなかったという。しかも、重傷者はまるで猛獣にかまれたかのように肢体がちぎれて、明らかに銃器や爆弾などでの負傷ではなかったということ、負傷者が異次元世界の化け物が云々と妄想めいたことをわめいていたという軍病院関係者の証言がある。これらは主に当時、その基地で働いていた軍属の人たちから直接、私が聞いた話なんだ。もう30年以上前のことだけどね」


「しかもその研究施設の後継施設として敗戦間際にもかかわらず作られた第2研究所があった場所が、今現在新世界への出入り口が開いている旧国鉄トンネル付近なんだ。なんでトンネル付近に隣接する形でわざわざ第2研究所を立てたのかまでは分からなかったが」


「私の分析では、おそらく旧陸軍は何らかの形で新世界への出入り口に関する研究をしていたんじゃないかと勘繰っているんだ。そのことを私は郷土史の本に書いたら、それもごくわずかな推測をだよ、そうしたら先ほどから話していたようなおかしな災いが私の周りで頻発するようになったんだ。何か私の研究が当局に都合が悪かったから、それが原因で私の家は弾圧を受けているんだと思う」


「もしかしたら、その基地の研究所跡地に何か新世界への手がかりがあるかもしれない。私が君たちに話せることはこれだけだ」


倉富氏との対話はそれで終了した。


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