第109話 不吉なる自白
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憤怒の表情で魔女の目の前に近づいた公子はその胸倉をつかみ落ち着き払った口調で尋問する。
「あなたの目的は一体何なのかしら?」
「私に・・話す前に・そんな無防備で・・いいの・・ですか?」
「ググワワワァァァァァ!!!!!」
先ほど律子に頭を2つ吹き飛ばされたケルベルス。
それが残り1つだけとなった頭と胴体で公子に背後から襲い掛かった!!
黒い炎の爪が公子を背中から引き裂こうとした瞬間。
「しつけのなっていない犬は嫌いよ!」
「へっ!!!!ちょっっっ!!!グエェッッ!!!!!」
ブンッッ!!!!
「ガウッ!?ググッゥゥゥゥゥゥギイイィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!」
仕留めたと思った獲物が目の前から消えたことに耳をつんざくようなわめき声をあげる地獄の犬。
「ここよ野良犬」
公子は魔女の胸倉を片手でつかんだまま空中へと飛んだのだった。
そして公子はそのまま真っ逆さまに地獄の犬に向かって片手のひらを向け、何かを収縮させ始める。
「光の根源よ!地獄の深淵すべてを照らしつくし闇の根源を消しつくせ!!!」
公子の手から失明するのではないかと思うほどの光が放たれ、地獄の番犬のすべてを覆いつくした。
「ンキキャオオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!」
光が消えた直後、黒い炎を揺らめかせていた番犬は跡形もなくなっていた。
公子は魔女をつかんだまま地上に降り立つ。
「んごおおおお!!!今度はきゅうこうかですかああああああぁぁぁぁ!!!!」
ドチャ!!!
涼しい表情で地表に降り立った公子と対照的に、胸ぐらをつかんだまま体制を崩して勢いよく地面に叩きつけられた魔女は地上に膝をぶつけた衝撃に苦悶の表情を浮かべた。
「ぐうううううううううぅぅぅいずうううううぅぅぅ!!!」
「あなたの飼い犬は消滅したわ。さあ、あなたの目的を白状しなさい!!」
「ッッ!!、ブホッッ!!そん・・な事、軍事機密・・なので・・言えるわけ・・ありません・・・・よ!」
胸ぐらをつかまれても視線をそらして悪態をつく魔女の態度は公子の目に冷酷の炎をともすのに十分だった。
「汝の深層に眠りし真実よ。われの呼びかけに答えたもう!!!!」
「グッッッ!!!!やっ、やめろおお!!!!!!」
「答えよ。汝の真意はいかなるものか?」
「せっ・・・・・、せんそ・・・・・・・」
「せんそ?なんなのそれは!」
「せんそう・・・を・・・、現実と新世界のあいだで巨大な戦争を・・・・・」
「我らは光明家族の一員・・・・。人種も職業も関係ない選ばれた者だけからなる理想郷を・・・・」
“しぶとい。深層心理に特異なプロテクトをかけているわね”
「戦争!?この世界と新世界の間に戦争をしようって魂胆なの!?」
「答えなさい!!」
公子は腕に力を入れ、魔力の強度を強めていく。
「争いを・・・おこ・・・す・・には・・・絶対的な・・悪・・が・・必要・・・」
「絶対的な悪?どういうこと!?」
「かっ・・・語る・・・ま・・でも・・ないこと・・・。ヒッ・・トマンに・・武器を・・わざと・・もたせる・・・のは・・貴様も・・知っていよう・・・・」
「魔・・・・、魔王を・・・・・・・。この現実を恐怖に落とし・・・・こむ・・・魔王を・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・まさか!!!!!」
魔女は一瞬焦った公子の表情を見てニヤリと口元に笑みを浮かべた。
「・・わ・・が・・・主は・・・魔王を・・・そ・・・う・・・・※※・・・し・・・・・」
「あなたたち!!!まさかそのようなことを!!!!!!」
公子が叫んだ直後だった。
ドギュッッッ!!!!!
!!!!
「チッッ!!!」
グシャアアアアアアアア!!!!!
その瞬間、口を開きかけていた女は吹き飛んだ。
公子が振り返ったその先には、倒れたはずの少女がいた。
「マスター。それ以上言ってはなりません。主との契約に触れます」
「木偶人形!まだそんな余力があったとは・・・!!!」
少女は何らかの魔法を使ったのか、倒れた女のそばに移動した。
「ここで宴はお開きです。殿上人の御方、またの機会を」
「待ちなさい!!あなたたちの目論見は何!?」
「フッ・・・・・、余計な・・・・力を持った者・・・は導火線に・・・ブッ!!」
魔女のみぞおちに少女の拳がめり込んだ。
「マスター、しゃべらないで!・・・と言ったのに・・・。それでは!」
フッッ!!
・・・・・・・・・
一瞬で2人組の姿が消えた。
瞬間移動する魔法を使ったようだ。
「公子さん!!」
「律子!!」
「大丈夫ですか!?あの人たちは一体!?」
「律子の方こそ大丈夫!?」
公子は律子に回復魔法をかけると、彼女の手をつかんで走り出した。
「公子さん!どうしたんですか!?」
「奴らの目的が分かった!!急がないと!!!」
「どっ、どういうことなのですか!?なんかあの人、魔王がどうとか・・・?」
「早く小笠原冥のところへ行かないと!!!!」
「光明家族の奴ら、あの粋がった少年を冥とぶつける気よ!!!」
「それで・・どうなるんですか?」
「もし一般人が殿上人に傷一つでもつけた場合、それは誰であっても確実に消される掟になっているの」
「だがあの少年は新世界の力を中途半端に身につけてしまっている!冥と言えども万が一のことがあったら・・・」
「もし冥が傷を負わされるようなことがあったら、あの少年はそれを口実にこの世界の最大級の脅威に仕立て上げられる危険性があるわ!!」
「?????」
律子は公子の言っていることの全貌がまだ完全に飲み込めきれなかった。
それは不吉な事態の序曲でしかなかった。




