第106話 魔法も応用が大事
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「2人まとめて覚悟しろ!!!!!!!」
目の前の殿上人の部下はかなりの戦闘能力持ちと見た。
だが今の俺の力ならクソ女神もろとも十分倒せる!
前は油断はしたが今度はそうはいかない。
突進しながら手を袋に突っ込み、俺の望む得物を念ずる。
突っ込んだ手のひらに感触が広がる。
それをつかんで一気に引き抜く!
鞘を袋の中に残したまま、走りながらそれを引き抜く。
白い袋の中から柄の次に乱れ刃の白刃が勢いよく現れた。
俺はそれを本能に任せて目の前の仇どもに振り下ろしにかかる!
“分別のない子!!”
“クソガキがあぁぁぁぁ!!!!!!!”
ガキッィィィィィィィィッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!
少年が振り下ろした長曽祢虎徹の白刃が勢いよくホテルの床に切り込まれ、床のカーペットを容易く切り裂いてその下の大理石製の床にまで食い込んだ。
耳をつんざく鈍い金属音が神経に響き、耐えがたい緊張感に死の感触が増していく。
「はあ・・・・。お話をする分別さえわきまえぬとは!!!」
サトシの一撃の有効範囲内に獲物となる2人は存在しなかった。
瞬間移動の様に両名ともが一瞬で体のバネを効かせて飛び跳ねるように移動したのだ。
「毎度毎度しつけぇぇんだよぉぉクソガキィィィィ!!!!!!!!」
一旦後ろに飛び跳ねて刃をかわしたミーシャは、間髪いれずにサトシへと飛びかかる!!
飛びかかると同時に瞬間的に右手を手刀にして魔力を集中する。
指先から刃渡りにして約50センチ。
光の刃と化した貫手がサトシの心臓めがけてまっすぐ突きこまれる!!!
般若の形相と化したとミーシャに迷いはない。
一秒でも早く目の前の目障りな存在を消滅させる意志のみが赤く輝く魔力で出来た刃からみなぎっていた。
「なめるなクソ女神!!!!!!」
サトシが突き刺さる直前で体を横にずらし、ミーシャの刃を長曽祢虎徹で受け流す。
ミーシャの魔法の刃は長曽祢虎徹により横にそれ、さらに上から下に押し下げられる形になった。
「俺も少しは修行してな!!お前の攻撃も少しは見切れるようになったぜ!!」
サトシの発言にミーシャのいらだちはさらに増す。
「たかが使い捨て品の引きこもり風情が何舐めたことしてんだよ!!!!!!!!!」
上から地面へと押し下げられる形になっていた光の刃がサトシの体を狙い横なぎに振り回される。
サトシは空中へと後ろ飛びにかわすと、すぐに間合いを詰めて斬りかかる。
「風の精霊よ!大地の息吹を満たせ!!!アメイジングブレス!!!!!」
サトシの全身を薄く青い光が包んだ。
「はっ!?お前何空気浄化魔法使ってんだよ!!バカじゃっ、ギッィィィィィ!!!!!!!!!!!」
場違いな魔法を唱えたことへの嘲笑を仕掛けたミーシャに、想像を絶する袈裟斬りの雨が襲い掛かる!
目の前の敵に息継ぎする時間もない速さ。
「!!!!こっっっ!!こっんんんお!!!ガキャああぁぁぁ!!!!!!!」
「どうしたんだよ女神様よお!!!お前にもらった剣がないとオレ何にもできないじゃなかったっけ!ええ!!!!!!!!」
カンッッッッッッッ!!!!!!!
ガッッッッッッッ!!!!
ビュンッッッッッッッ!!!!!!!
フンッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!
ギンンンンッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!
ブズッッッッッッッ!!!!!!
「イジッッッッッッッ!!!!!」
ホテルの通路に響く長曾祢虎徹の金属音。
3~4方向から同時に飛んでくるようなサトシの斬撃は到底防ぎきれるものではなかった。
ポツポツと赤い液体が床に落ちる音。
床に女神の血が流れ落ちた。
彼の間を置かない高速斬撃の嵐は彼女の腕や肩に致命傷ではないにせよ傷を負わせていた。
“アメイジングブレスはわずかな酸素を大きく増加させて水中や火災の中でも呼吸できるようにする魔法。本来戦闘では用いない魔法だが、これをアレンジして全身に直接酸素を常に漲らせれば息継ぎせずに無呼吸で攻撃を連打できる。日常で使う魔法の応用を考えといて正解だった!”
「お前のおかげで俺も少しは頭が使えるようになったんだ。どうしたんだ女神様?僕は大きくレベルアップしましたよ」
般若の面をかぶったような表情から怒気と冷静な分析の両方が入り混じった返答がでる。
「ペッ!!家で怠惰な時間を過ごすしか能のなかったガキが結構生意気なことができるようになったモノね!!マジ殺してやる!!!!!!!」
“余裕ぶってっけど、結構プライドが傷ついてるな。まあいいザマだ”
“それよりホワイトエルフの族長さんの娘さんはどこなんだ?”
冷静さを装いながら動揺を隠せない女神の様子を感じ取ったサトシは周囲を見回した。
ゴッ!
何かが背中に当たった!
人ではない。
前に注意しながら一瞬後ろを向くと、戦いで今この瞬間まで気づいていなかったホテルの掃除用の大きなカートがあった。
そしてホロ布製の蓋が半開きになったカートの中に見覚えのある少女が一人、両手両足を封じられて口をふさがれて眠っていた。




