↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《150万PV感謝》前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
ローランへ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
492/516

にゃんこの爪


「よう」


 ローランの屋敷に転移すると、華奢なソファーにどっかりと座ったレスターが片手を上げた。

 線の細いソファーが壊れそうである。


「あら、久しぶり」


 レスターはこの屋敷に部屋があるし、出入り自由にしてあるのでここにいてもおかしくはないが。

 本当に自分の用事がない限りは来ないので、久しぶりに顔を見た。


「龍オリハルコン受け取ったんだがな」


 挨拶もそこそこに、レスターが用件を話し始めた。


「製錬は終わって、あとは整えるだけなんだが──」


「なにか問題が?」


 レスターが頷き、ソファーからミシリと嫌な音がした。


「小さな猫の爪となると格納、露出を考慮しても二センチちょいってとこだろ」


「フレスベルグの設計次第じゃないの」


「ああ、仕様書がそれぐらいだ」


「ソファーからどいて。壊れる」


「魔法かけりゃいいだろ」


 私は一旦レスターを立たせ、不壊魔法を施した。

 あとで全部の家具にかけておこう。


「座っていいわよ」


「おう。でな、爪なんだが……要求スペックが細すぎて叩くと潰れる」


「うん」


「根元は真円が望ましい」


「……で?」


「魔法で加工してくれ。その後に先端を加工する」


「あ、そういうことね」


「やってみたんだが小さすぎて俺には無理だった」


 龍気を帯びたオリハルコンは、通常のオリハルコンより硬い。

 相当な力じゃないと打てないのだが、そうすると力加減が難しい。

 魔法でやるにしても精密な魔力操作が必要になる。


「あー、細いもんね」


「倍程度の大きさになればいけるんだが」


 (小さすぎ、細すぎで厳しいのね……)


 レスターはそう言って、小さな塊をサイドテーブルに置いた。

 フレスベルグに素材として渡したものより、かなり小さい。


「ずいぶん小さい」


「だろ? 限界まで製錬したから二割だな」


 (普通は半分前後になるはずだから、やはりレスターは上手い)


「これを伸ばせばいいのね」


「おう。ミニホムンクルスはもう名前も決まってるらしいぞ」


「へえ?」


「アビスブリンガー・ラグナロク」


「あび……?」


「アビスブリンガー・ラグナロクだ」


「……………………」


「省略は不可らしいぞ」


「ああ、そう……」


 私はお茶を淹れ、心を落ち着かせることにした。

 精密加工はフラットなメンタルでやらないと失敗する。

 二時間後、加工が済んだ針金状のオリハルコンを見てレスターが頷いた。


「完璧だ」


「それは良かった」


「……完成の暁にはデジュカの涅槃岳に遠征するらしい」


「……なんで試運転が高難易度のダンジョンなのよ……」


「俺も行く」


「はぁ、そうなの……」


「ジューンもメンバーに入ってるぞ」


「え、嫌。あ、サンドイッチ食べる?」


「貰おう。だって涅槃岳って今はエルフがいないと入場できないんだろ」


「……正確には、エルフがいないと百層以降は進めなくなってる」


「なんでだ? ダンジョンコアは神族の魔核だろ」


「それはそうなんだけど、ダンジョンマスターがいるのよ」


「は?」


「神族の魔核とリンクした転生エルフがいる」


「…………」


「百階にコンビニって名前の店を出していて、その先に降りるには店の中の階段を使うんだけど──」


「…………」


「店主がエルフなんで謎ルールがあって、エルフがいないと店に入れない仕様」


「なんだそれ」


「エルフ至上主義なのよ、彼」


「ふむ」


「百層までは勝手に入れるから、そこまでにしておけば?」


「いや、あいつらなら行けるとこまで行きたがるぞ」


「それ、私には関係ないじゃないの……」


「ミシュティは同行不可だそうだ」


「なんでよ」


「何もかも快適になるから、アマネの訓練に向かない」


「確かに……」


 ミシュティがいたら、食事や寝床が快適すぎてダメなのはわかる。

 最初からそういうものだと思わせてしまうと、為にならないということか。


「決定事項らしいぞ」


「フレスベルグ、なんで勝手に予定組んじゃったの……」


「通常運転だろ」


「はぁ……」

 

 人選に関しては、妥当と言えば妥当である。

 全員が星核から発生した転生メンバーなので、物理的な排泄が無い。

 つまり、条件が同じなのでトイレの心配がないのだ。


「まあ、完成まで数ヶ月あるだろうから」


「行けばいいんでしょ、行けば」


 私はそう言って、三つ目のたまごサンドに手を伸ばした。


 (野営に魔法は使わない、絶対に!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>「百階にコンビニって名前の店を出していて、その先に降りるには店の中の階段を使うんだけど──」 >「店主がエルフなんで謎ルールがあって、エルフがいないと店に入れない仕様」  !?  コンビニ名がコン…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。