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《100万PV感謝》前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
ローランへ

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二体目のホムンクルス


「はい、全部で宝貨三枚。しっかり受け取りました」


 私はフレスベルグに一筆書いて手渡した。

 冒険者ギルドで熱心に依頼をこなしまくったフレスベルグは、とうとう貸していたお金を全部返してきたのだ。

 もちろん魔法陣紙料金も。


「やっと身軽になった気分だ」


「良かったわね」


「龍を何体か狩ったんだけどさぁ、素材として高値で売れるように倒すのが意外と難儀で」


「あなたは出力が多すぎるのよ」


「最後の一体は完璧な状態だったから、高額査定だった」


「その調子ね」


 フレスベルグは居心地悪そうに座り直し、頷いた。

 ローランの屋敷の家具は華奢な意匠のものが多いので、体格のいい男性には向いていない。

 ディーがフレスベルグの膝の上にいるので、余計に座りにくそうだ。


「まだまだ稼がないとなー、もう一体ホムンクルス増やそうと思ってて」


「ネコ美ちゃん以外に?」


「ネコ美は完全に家事特化だから転移にも耐えられないし、戦闘能力も無いからな」


「次のホムンクルスは戦闘能力アリなの?」


「アマネが冒険者ギルド依頼をこなすのに夢中でさぁ」


 フレスベルグはため息をついた。


「毎回俺がついていけるわけじゃないから、アマネの付き添い用に作ろうと思って」


「転移に耐えられ、戦闘にも参加できるとなると相当高くつくわね」


「ちょっとさ、設計の方針の相談に乗ってくんない?」 


「いいわよ」


「アマネは経験値や知識が足りないけどさ、そこそこ強いから逆に心配なんだよなー」


「現時点での能力以上に、深入りするリスクがあると」


「うん」


「そうねえ、長く運用するなら攻撃じゃなくて防御に振ったほうがいいと思う」


「ふむ……なら、ボディは最大耐久がいいな」


「アマネが行動不能、または動けない状況になったときにあなたにわかるよう細工も入れないとね」


「うん。位置情報は必須だよな」


「万が一の時の回復アイテムや転送魔法陣図は、時空ポーチを持たせておけばいい」


「そっちも金かかるんだよなぁ……」


 戦闘参加というよりは、見守り型がいいと思う。

 戦闘に関しては、下手に補助があると伸びなくなるから。


「攻撃能力持たせるならある程度大きさが必要だけれど、見守り型なら人型じゃなくても運用できるんじゃない?」


「そうだな。飛ぶ、走るはカットして肩に乗せておくタイプなら」


「なら……身体から離した時に、歩ければ充分だと思うわ」


「ポーチからスムーズにアイテムを出して使わせるとなると、鳥型はダメだな」


「手はあったほうがいいわね」


 キッチンにいたミシュティが、お茶を運んできた。


「…………ミシュティ」


 フレスベルグが呟いた。


「ミシュティがどうかした?」


「ミニケット・シー型とかどうよ」


「尊いわね、それは」


 ミシュティが不思議そうに首を傾げた。


「肩に乗せるなら二十センチくらいで二キロ以内の重さか」


「妥当ね」


「当然、毛はあったほうがいいよな」


「当然ね」


「ケット・シーの毛が欲しいんですか? 私たちは妖精なので、毛が抜けないんですが……」


「え、そうなのか? …………うーむ」


「猫の毛でいいんじゃない? 毛皮なら格安で培養してあげる」


「毛を埋め込むよりは毛皮がいいな。破損した時用に多めで」


「どこかから猫を捕まえてきて、ちょっぴり皮膚片を貰えれば作れる」


「なにそれ、そんなことできるの」


「企業秘密よ」


 ロストテクノロジーになっている古代ホムンクルスの細胞培養なら可能だが、開示する気はない。

 でも毛皮を培養するくらいならやってあげてもいい。

 ほんの少しの皮膚片で充分なので、猫に傷を入れるわけでもないし。


「猫ちゃんでしたら──祖父の魔馬牧場にいっぱいいますよ」


 ミシュティがカヌレちゃんを頭に乗せたまま、口を開いた。


「なあ、その鳥なに?」


「カヌレちゃんです」


「いや、なんで頭に……」


「それは私が知りたいです」


「それ、フレスベルグの雛なのよ」


 フレスベルグは紅茶を吹き出した。


「ブハッ、フレスベルグってあのフレスベルグ?」


「そう」


 フレスベルグはカヌレちゃんをまじまじと見て呟いた。


「ごっつい鳥のくせに、雛はぱやぱやなんだな……」


「そろそろ重みが厳しいです」


「だろうな……」

 

「とりあえず牧場にいきましょうか」


 まずは、猫ちゃんの細胞をゲットしなくてはいけない。

 

 



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― 新着の感想 ―
 フレスベルグ、フレスベルグの雛と遭遇する。  うん。文字だけだと単純にややこしいわ(苦笑)
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