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《100万PV感謝》前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
勇者と魔王、その他大勢

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それぞれにすべき事


 ──アルシア王立高等学園。

 十五歳になる年の春に入学し、最短で三年学ぶ。

 選んだ科によっては四年。

 入学日はその年によって四の月か五の月に学園が決めていると聞いた。

 セシリア・フォクシー男爵令嬢は、今年二年生である。

 低位貴族である彼女が専攻できる科は限られていて、一般科に在籍している。

 入学できる学力はあるが、可も不可も無い子供が一般科。

 三年そこで学ぶものも多いが、才能を見出されて魔法科や騎士科、貴族経営科に移籍したりもする。

 というのが、私がフレッドから聞いた学園の簡単な概要だった。


「つまり、身も蓋もない言い方をすれば……二年生の時点で平民であれば可も不可もない生徒と、貴族でありながらそれ以下の学力しか維持できていない子が一般科」


 私の言葉に、ミシュティは頷いた。


「セシリアさんはその、低空飛行の学力ということですね」


「そう聞いたわ」


「……卒業までには一般的レベルのメイドには仕上げられます、どんな娘でも」


「ふむ……」


「レディースメイドは高度な教養も含みますけれど、ハウスメイドであれば問題ありません」


 学費さえ出せれば平民も通える学園は、頭の良い子の登竜門。

 貴族で二年以降も一般科というのは、少々外聞が悪いのだそうだ。

 元々が、平民のためのコースだかららしい。


「その一般科に王太子と高位貴族の一部の子息が入り浸っている、未だに」


「彼らは貴族経営科や騎士科なのでは?」


「そう。でもセシリアを追い回してる」


 ミシュティはため息をついた。


「最初はセシリアさんが王太子にアピールしていたから、自業自得ですね……」


「それはそう。まあ、今は逃げ回ってるみたいだけどね」


 ミシュティは今日から夜の二時間あまりをセシリア教育にあてることになる。

 本人も頑張るそうなので、期待しておこう。

 私は勇者が帰還するタイミングまで、古代ホムンクルスの進捗チェックだ。

 ミシュティが下がったあと、早速西の作業場に作ったラボに転移。


「うん、順調」


 セシリアから採取した細胞の培養を行っている育成ポッドを覗いてまわり、しっかり増えているのを確認。

 そろそろ骨格は作っておいても良さそうである。


 (骨格だけは錬金の応用ね)


 無機質、約 70 〜 80 %

 リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、水酸化カルシウム、クエン酸塩 。

 有機質、約 20 〜 30 %

 コラーゲン、オステオカルシンなどの微量タンパク質。

 骨はこれらが組み合わさることで、鉄筋コンクリートのような構造を作り上げ、体を支える。

 古代ホムンクルスは、この有機質部分をセシリア由来の細胞から持ってくる。

 無機質部分は素材を配合して、有機質と組み合わせて成形していく。


「まずは元になる骨を作んなきゃだわ」


 完全なる人体を再現するには、骨も手を抜いてはいけない。

 このセシリアの身代わりになるホムンクルスが、貴族社会からどういう処分をされるかわからない。

 斬られれば骨も露出することになる。

 私は培養ポッドから必要な細胞を取り出し、魔法で繋げて骨髄を形成していった。


 (魔法がないと不可能よね、やっぱり魔法って便利)


 長さや形はまだ決めなくていい。

 骨髄や血管がある内部組織を、先に作っておいた白い骨十センチあまりに埋め込めばいい。

 これが骨格の基礎になる。

 あとは魔法で好きな形に伸ばして形成していく。

 必要なのは正しい外見だけで、活動するための機能は要らないのだ。

 身体を動かすのは、魔力に依存させる。

 骨格が完成すれば筋肉を纏わせれば良いのだけれど、それはまだ素材が増えきっていないので、次回。

 頸部から頭蓋骨部分は手足や胴体とは別で作っていくので、まだ作らない。


「んー、骨格におさめなくてはいけない内臓はまだだから……下半身の骨格だけ作っておくか」


 肺や気管、食道が出来上がるのはもう少しかかりそう。

 セシリアのサイズに合わせて下半身の骨格だけ完成させる。

 一番面倒なのは小骨の多い足首から下の部分。

 ここが決まってないと自然な感じで歩けない。


「うん、今日はこれでいいか」


 六時間かかったが、とても自然に作れたので良しとしよう。

 私は出来上がった骨格を大きなポッドにおさめ、乾燥を防ぐ生理食塩水やコラーゲンなどを配合した溶液で満たした。

 時間停止魔法をかけるので、理論上は必要は無いのだが──慎重に行くならば、二段構えのほうがローリスク。


「さあ、次は何をしようかな」

 



 


 

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