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《100万PV感謝》前世の記憶は役立たず!~エルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎる~  作者: 藤 野乃
勇者と魔王、その他大勢

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迷子?


「え、フレスベルグが……?」


「はい。帰ってくるといった日から、もう三日も連絡無しで帰らないそうです」


 ミシュティは大量の唐揚げを揚げながら、そう答えた。


「なるほど」


「連絡無しで三日経った場合はひよこ島に来る決まりになってまして、アマネさんとクリムゾンヘルファイアさんは今この屋敷に滞在してます」


 (ああ、だから大量の唐揚げか……)


「ふうん。確かに子育て中の大人として、期日通りに帰宅しないのはおかしいわね」


 私は魔王組合メンバーにフレスベルグの所在地を問う書簡を出した。


「アマネさんは元気で、今は家庭教師からの課題を自分のお部屋でやってます」


 全員から返事が来たが、だれもフレスベルグと会う約束はなかったようだ。

 ただ、ゼグが五日程前に決戦地の打ち合わせに来たフレスベルグを死の島で目撃しているようだ。


「最終目撃地点が死の島……そんなに広くないのに? 外周を徒歩で二日で一周できるでしょう」

 

 フレスベルグ自身は郵送の魔法陣が索敵できない地域にいるようで、出した書簡は保留になったままだ。


「連絡もつかないようでして……」


 ミシュティは心配そうに呟き、黄金色の唐揚げを網の上に乗せて油を切っている。

 ニンニクがきいていて、とてもいい香りだ。

 色が濃いめなのは醤油味だからだろう。


「その唐揚げ、四個くらい私にとっておいて。それにしても、どこに行ったのかしらね。死の島にそんな迷う場所なんてないし……」


「そうなのです……」


「迷う……場所……?」


 心当たりがちょっとだけあることに思い当たった私は、唐揚げに伸ばした手を引っ込めた。

 

 (まさか死霊の森で迷ってるとか無いわよね?)


 確かに方向感覚を狂わせる魔方陣をばら撒いては来たが、それに引っかかってるとかあり得るだろうか。

 なんだかんだ言われていても、フレスベルグは魔王役を任せられる程度には強いのだ。


「あ、でも戦闘能力と魔法看破能力は比例しないのか……」


「?」


 首を傾げたミシュティは、白い磁器に唐揚げを六つ乗せ、布をかけて時空ボックスにしまった。


「もしかしたら死霊の森で迷子になってるかも。ちょっと見てくるわね」


「迷子……? ではこの後フレスベルグ様もいらっしゃる可能性がありますね。もう少し揚げておきます」


 ミシュティは新たに大量のコケット肉を出し、切り分け始めた。

 クリムゾンヘルファイアはディーとタッグを組んでミシュティの足元をウロウロしている。

 だがミシュティはうっかり食材を落とすようなことは絶対にしない。

 この犬たちは、毎回『もしかしたら今日こそ何か落ちてくるかも?』という期待で満ち溢れている。

 そんな日はこないというのに、いじらしい限りである。


 (そもそもいっぱい食べてるのにねぇ……)


「じゃあ、ちょっと見てくる」


 そう言って私は死霊の森へと転移した。


「……あら?」


 一瞬、脳内を酩酊感が通り抜けていく。

 自分の魔法陣だからそれ以上の影響はないが、一瞬でも影響があったということはばらまき過ぎのようだ。

 

(事前に気がついてよかった。これでは人間は立ってられないかも)


 方向感覚を狂わせすぎると、上下の感覚もなくなって動くことすらままならなくなってしまうものね。

 私は間隔が詰まりすぎた魔法陣を撤去しながら、森の中を探索することにした。


「あ、フレスベルグいるわね……」


 一部壊された魔法陣を発見。

 残留魔力はフレスベルグのものだ。

 無効化ではなく力押しで壊してるあたりが、実にフレスベルグらしい。


 (壊すと自分の痕跡が残るから、ちょこっと弄って無効化する方がいいのに……)


 他人の魔法陣に干渉するのはコツがいるので、簡単ではない。

 フレスベルグには苦手な分野だと言ってもいいだろう。

 それでも長命種だから、そういう練習に費やせる時間は桁違いだ。

 レスターだって本来は放出型だけれど、経験を積んで魔力操作は繊細な動きをする。


「こればっかりは練習しかないのよねぇ……」


 さてさて、フレスベルグはどの辺りにいるのかしら。

 生命反応は一つしかないが、動く様子はない。

 私は魔法陣を間引き死霊たちに挨拶しつつ、のんびりとフレスベルグの元へと向かった。

 


 

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― 新着の感想 ―
暴虐の女王の魔法陣の前にはどんぐり魔王もノックダウン!w
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