61・立ち会い戦
戦いにしてはボリュームが少なかったので加筆致しました。
この大会の水面下で何か大きな争いが行われるらしい。
とにかく我々はこのまま競技を続ける事がミッションだ。
さて、これからは“立ち会い”となる。
袋竹刀を持って小桃・ラクシュミー・イオリ・オルレアンが前に出る。
先鋒はラクシュミーだ。
「ゴー!」
“カッダッ”
速攻で相手の突きを左手のバックラーで抑えながら喉を突いた。
相手は場外に吹っ飛んだ!
「ザンネンね!ちょっと手応え無いね!」
一瞬で勝負が付く・・・凄まじい剣だ。
「ステップ・バック!」
次鋒はイオリ相手はバスターソードより長いロングソードだ。
「ゴー!」
「ズウー」
イオリは間合いを詰めて行く。
すぐに反応が来た!
小刀で抑えるがロングソードなので、ギリ右手の大刀の間合い外に居る。
「もぉー!、届かないし!」
なかなかお互い決定打にならないまませめぎ合う。
相手がふと間合いに入った!
(よし!もらった!)
「タン!」
イオリの左の小刀でロングソードの先端を抑えると同時に、右手の大刀が振り下ろされる。
“ガンッ!”
(えっ?)
イオリが放った大刀は相手の左手首に付けた、ガントレットカフスが付いた大きな袖で受けられていた。
“パン!”
動揺したイオリの頭上に白い袋竹刀が乗っている・・・
イオリの顔が歪む・・・
やられた・・・
手首から肘近くまでの、特殊なガントレットだったらしい。
「ステップ・バック!」
唇を噛み締めイオリが退がる。
ギュッと竹刀を握り締めているイオリの手から竹刀を取り抱き寄せる。
イオンは声をあげずに泣いている。
その横を副将の小桃が出る。
何でも無い顔をして居るが・・・
俺は知ってる・・・
あれはかなり怒っている。
ゆっくり八相に構える。
次の相手はシミター、日本で言うと小太刀だ。
(ガントレットは無いようね、よくもやってくれたわね第一夫人として仇は取らせてもらうわ!)
「ゴー!」
素早い入り身と共に激しい攻撃が来る。
(なっ!速っ!)
小桃は前後左右に動きながら受けつつ、間合いを取ろうとしているようだ。
相手は一瞬の隙を狙って飛び込み、自分の間合いに持ち込もうとしている。
「くっ!させない!」
近間の剣撃を全部受け、素早く斜め後ろに下がると相手が飛び込んで来ようとする。
「させないって言ってるでしょ!」
小桃は素早く下段の脛あたりを斬る。
上手く相手の間合いを切った!
当然間合い外なので相手の足には届かないが、その空振り脛払いのおかげで敵は入るタイミングを逃してしまった。
(これは、ちょっと厄介ね・・・負けるつもりも無いけど決定打が難しいわね。崩せれば良いんだけど近寄ると左手がヤバいし・・・)
全ての技をこなすオールラウンダーの小桃だが、相手もかなりの腕だ。
いや、足捌きでの動きは小桃の方が上なのだが、近間では相手の短い剣の利点が発揮され今ひとつ攻めきれないでいる。
そのせいでやや小桃が押され気味だが、かなり踏ん張っている。
相手が押すとスッと退がり常に距離を取るようにしている。
足捌きのお手本の動きだ。まるで踊っているように見える。
あと、相手の左手をかなり意識して居るようだ。
小太刀の怖いところは、空いている左手が自由に使える事も強みなのだ。
小太刀対策としては小桃がやっているように、一定の距離を常に取る事だろう。
攻撃の深追いもしない。
大きアクションの攻撃も無しだ。
小太刀は受け流す技に長けているので、簡単に軌道を変えられ一瞬で懐に入り込んてくるのだ。
終了時間が迫ってくる。
(もう時間が・・・ここでアセっちゃダメだ・・・)
フェイクを多用しても、攻め込めるきっかけがどうしても掴めない。
(クッ!、とても悔しいけどここまでらしいわね…)
“ビー”
試合時間切れの引き分けだ。
「ステップ・パック!」
「小桃お疲れ様」
小桃を抱き寄せる。
「まんまとやられたわ」
「でも小桃じゃ無いとあれは抑えられ無いですね、気にしないね」
ラクシュミーのフォローも入る。
「ありがとう、後はオルレアンにお任せね」
「そうそう、他の家族に任せるも大事ね!」
(・・・ん?他の家族?)




