51・イオリの憂鬱
稽古を終えてシャワーを浴びる。
最近は稽古後、更にダルタニャーン剣聖にデストレーサを学んでいる。
根幹であるあの魔法の円と、そこから伸びる直線・円周・接戦・・・素晴らしい基本概念だ。
今日も色々な発見がありへとへとだが楽しかった。
まぁ今日は昼で終わりなので、まだまだ体力は残っているがまぁ休みは大事だ。
午後からは自由時間で明日はお休みになる。
遊びに行っても良いし自主稽古しても良い。
部屋に戻ると同室のコオジがガサガサ荷物をまとめていた。
食堂に誘ったがこれからラボに行くって事で断られた。
何やらラボに新しい施設が出来、新マテリアルのトライアルをするらしい。
「10日は帰らないな」
「ユキナもか?」
「あぁ、また言って無いけどな。あっ冷蔵庫の飲むヨーグルトとか悪いけど飲んでくれ」
「おっ!ありがとう!この前もらったでしょ?あのあと腹の調子が良くなったんだよなー」
「日本はヨーグルトが色々あるからな。世界一じゃないか?まぁ1週間も飲めばそれが本当に身体に合うかわかるんじゃないか?」
「そうだね、良好なら続けるよ」
「あぁ、健康は胃腸からってどっかのお偉いさんが言ってたぞ」
「それはあるかもしれないね」
「じゃあ急ぐから行く」
「気を付けてな!」
「おう!」
全く、コオジの刃物研究オタクっぷりにはびっくりだ。
いや“刃物バカ“だ。
愛車フェアレディZ32・3リッターを玄関の近くに乗り付け、荷物をウキウキしながら入れ込んでいるのが部屋の窓から見える。
最近、角が取れたか?っと思っだが、元々こんな奴で、あの態度は周りに対しキャラ作りしていたようだ。
どうやら大企業の跡取りと言うのも、色々あって大変らしい。
コオジに振られたので1人で食堂に向かうとする。
部屋の扉を開けると、飲み物のペットボトルを何本も持ったユキナがいた。
「和光さんコオジは?」
「玄関に車持っ来て荷物入れてたよ。コオジとラボに行くのかな?」
「はい!行ってきます!お土産にシラスと鎌倉のカスタードのお菓子買ってきますね」
「良いねー!あっ、じゃあクーラーボックス渡すからそのペットボトル入れて行きなよ」
「はい!」
部屋に入ってソフトタイプのクーラーボックスに、冷凍庫から保冷剤を取って入れユキナに渡す。
「じゃあお借りしまーす!」
急いで玄関に向かって行った。
食堂に入るとオルレアンとラクシュミーと小桃が、デザートの干し柿を食べながら何か盛り上がっている。
「よし!今からいくよ!」
「いえっさーねー!」
「ガチャやるでーす!」
「小桃達はどこかお出かけ?」
「あたしの運転で3人で湯本の絵ヴァ屋に行って来るよ!」
「プリンセスで?」
「ジムニー借りてくよ!」
「おう!サムラーイでーす!」
「うちの方ではカターナでしたねー」
レニとイオリは・・・
レニはテーブルに顔をつけ寝ている。
日頃の疲れが出ているんだろう。
(ヨダレを垂らしてヘラヘラしてる・・・美少女が台無しだ)
「レニはハンモックに寝かしといてあげるわよ」
「はい!寝かせますねー」
「ブラ、ブーラでーす!」
小桃とオルレアンとラクシュミーがシュタッと手を挙げる。
イオリは・・・
(何か浮かない顔をしてるな?)
カマスのフライ定食を持ってイオリの前に座る。
イオリが顔を上げ、席を立ち緑茶を淹れてくれる。
その顔色はどこか冴えない。
「どうした?」
「うーん・・・お父さんと稽古してるんだけど二刀が上手く使え無い」
「そりゃ剣聖と比べでも・・・」
「そりゃそうなんだけどさぁ・・・でさぁ、「教わるだけじゃダメだ!自らで気付け!」って言うんだけど・・・お父さんの言う事は分かるんだけど・・・なんか、まだ追い込みが足りないみたい」
「んーじゃあ、午後からも稽古するのか?」
「うん」
「じゃ付き合う」
「えぇー悪いし、自分で気付かなきゃダメって言うし」
「そうは言って無いと思うぞ?」
「そお?」
「可愛い嫁が悩んでるのを放って置けないよ!」
「ひゃぁーー!」
「ヒューヒュー!イオリ顔赤いよ!」
「あつあつでーす!」
「ラブラブですねー」
「じゃあ、イオリは和光に任せて、我々はガチャに行きます!」
「いぇーい!」
「イオリはイチャコラしていてくださーいねー!」
「しっ、しませんっ!」
「おう!ツンデレでーす!」
「どこでそんな言葉覚えるんですか!実はあんた達、日本語ペラペラでしょ!」
「日本語難しいでーす!」
「わからなーいねー」
「とっとと、行きなさいよ!」
「はーい!」
「イオリもイチャイチャして天国に行って下さーい!」
「うるさい!」
「あははは、顔真っ赤でーす!む」
「夜はタコさんウインナー食べたいねー!」
「じゃねイオリ私より先に子供は作ったらダメよ!まだよ!」
「こっ、こっ!こもー!!!」
「あははは、顔真っ赤だー!」
3人はイオリをからかって、寝てるレニを担架にのせ食堂を出て行った。
ウヘヘヘっとデレ顔でヘラヘラしている。“白いワニが来る”っと寝言をブツブツ言っている。
(白いワニ・・・どんな夢見てるんだ・・・)




