48・個別稽古
巻いた畳表を立て剣を付ける。
そのまま振りかぶって斬る。
これを左右上下と水平に斬る。
あとは寝かして重ねた畳表を真っ向から斬る。
出来るようになったら今度は移動しながら行う。
全員でこの基本的な試斬稽古を30日ほどみっちり行った。
そこからは適正の個別稽古となる。
「やぁ!」
「鞘引きが悪い和光くん引っ張ってくれ!」
レニの居合の稽古に付き合っている。
居合の速さは予備動作である鯉口切りと鞘の引きが重要との事で厳しく稽古をしている。鞘の後ろにロードバイクのチューブを割いて作ったゴム紐を付け、それを俺が抜刀に合わせ軽く引っ張っている。
こうする事によってタイミングと引き加減を身体に教え込ませるのだ。
それと同時に抜き付ける時の自分の重心が大事だ、膝の力を抜いてその落下エネルギーを抜刀と斬撃に使うのだ。
まとめでやった重心の落としだ。
さすがに時間が無いので、縦横の抜き打ちだけを繰り返し稽古する。
レニのご先祖ハヤシザーキは長刀だったらしいが、レニの体格で間合いは調整出来るので、剣は2尺3寸5分にした。
小桃は袋竹刀による形稽古だ。
基本の八相の構えと中段の構えとする。
そしてあらゆる打ち込みを受けて返し、すべての状況に対し対応出来る技術とゆるがない精神を身につける。
パターン化を繰り返し“決して負けない”と言う剣を構築する。
イオリは先祖のミアモトから伝わる2刀流技を含む剣技を、無二剣聖がチョイスして教えている。
円の動きと構えと攻撃が一体となった動きを覚えている。
目付けと足捌きが非常に重要だ。
コオジとユキナの2人だが、2人は小太刀の適正があるのでそれを稽古する。
ユキナは代々家に伝わっている舞踊があり、それを見た無二剣聖が扇子を小太刀に持ち替えて稽古させた。
無二剣聖によるとこの舞踊はそもそも武器を持った武術を形式化した物との事だ。
扇子を投げるのは棒手裏剣になっているそうだ。
更にラクロス部にも入っていたのも良いらしい。
スティックを片手操作しつつ相手を抜くというのが小太刀の機動力に通じているという事だ。
コオジはテニスとバトミントンなどスポーツ全般を小さい頃からやっていたので、手首の返しと反射速度と瞬発力が小太刀の適正にハマっている。
投擲にも才能がある。
なかなか身体ポテンシャルが高く考えや話もしっかりしているので、今までの態度には何か訳がありそうだ。まぁ、本人が話せば聞くが、現状では特に嫌な事も無いので仲間として普通に付き合う事にしている。
「和光くんは成田にダルタニャーン組が来るから、迎えに行って箱根の合宿所まで連れてってくれ」
「了解です」
なんとエムオス社の箱根芦ノ湖にある超豪華な宿泊施設が、世界戦まで1年以上貸切になるのだ!
体調を整えるトレーナー・食事なども付き至れり尽せりだ。稽古が休みの時には、自分達で食事は作ることにはなるがそれにしても破格の待遇だ。
エムオスのお抱え運転手さんの高級ワンボックス車で成田まで迎えに行った。
日本チームは一昨年、箱根に移動し今日からそっちで稽古をしている。




