45・コオジとユキナ
そのまま打ち合わせに入る。
コオジとユキナの採寸をし刀の発注に入る。
「その刀を見せてみろ」
コオジ坊ちゃんが俺の刀を指差す。
「ちょっとコオジ言葉遣い!」
ユキナがコオジの腕を引っ張っている。
「何だ?歳は変わらないだろ?」
コオジは23歳と言う事なので俺と小桃のいっこ下だ。
ユキナは20なのでレニ・イオリのいっこ下だった。
「ほら、年上じゃないの!」
「一歳ぐらい大した違いでは無い!いいから刀見せろ」
無二剣聖が頷くのでコオジに剣を渡した。
「スウェーデンを使っているらしいよ」
「うん、この刀匠なかなかの腕だ。それにしても・・・」
コオジが刀身を眺めたまま、何か考え込んでいる。
「お前、和光だっけ?」
「?、そうだけど?」
「このチームの刀身は俺が作ってはダメか?」
コオジが真っ直ぐに見つめる。めちゃ真剣な表情をしている。
「・・・何故だ?」
「俺の作った剣で世界を戦いたいからだ。剣舞の剣なんてクソっくらえだ。そこら辺が商売上手な親父とは合わない所だ」
「ソコ・シャナルの跡取りがそんな事言っていいのか?」
「大丈夫だ、色々とやらかしたから弟が後を継ぐ事になるはずだ」
「お前のハーレムはどうなった?」
苦笑いを浮かべている。
「親父から見捨てられた途端、ユキナ以外はソッコーで居なくなったよ」
「お前は剣舞の剣は作りたく無いのか?あのギミック剣の精度は素晴らしかったが?」
「・・・正直、物を作る事は面白い。しかし所詮は斬ら無い剣だからそれを評価されたくは無い。家業なんぞ継がずただ究極の剣を作る!」
どうやらただのやらかし坊ちゃんでは無いらしい。
計算高くやらかしていたようだ。
(こいつ確信犯だったか)
「もちろんチームメンバーだから稽古は手を抜かない」
コオジが皆を見渡す。
「好きな様にやれば良いじゃ無い」
小桃が即答する。
「良いのか?」
「めちゃいいモン作ってくれるんでしょ?」
「約束する」
「じゃああんたはウチのメンバー兼、刀屋ね」
「おう!」
お偉いさんからのOKが出たので、コオジに作刀してもらう事になった。
「コオジとユキナは時間が無いから別メニューで行う。基本的足捌きと重心抜けとしなりの稽古だ。相手の力を受けたら直ぐに抜き崩す。これが重心抜け」
「合気?」
「そうだ」
「次にこの3メートルの物干し竿を前進を使って振る。これにより腕だけ出なく全身を使った斬撃を放つ事が出来る。身体には関節がありそこで力のロスが出来てしまう。この稽古をする事によって“身体のしなやかさ”が生まれるのだ」
「なるほどコレは鍛刀にも使えるそうだ」
「お前刀バカだったな!」
「ばーかばーか」
「脳筋じゃないの?」
「サル」
「コオジをいじめ無いでよ!」
「うるさい!刀屋が刀バカで良いじゃんか!」
「無二剣聖、競技内容は決まったんですか?」
「据え物をやろうとしてるよ。決まったら連絡が来る。あと、どうするウチは日本刀形式で良いか?」
「良いです」
「あたしもー」
「はい、ずっとそれですから」
「大小2刀作ってよ」
「コオジが作っくれるなら何でも!」
「じゃあそれで行きますので、コオジくんよろしく頼む。材料は?」
「手持ちの物で足ります」
「じゃあそれチームで買い取るよ」
「金は不要だ」
「あなたが買ったものでしょ?タダでもらう訳にはいかないのよ!」
主任がコオジに大人の事情?を説明している。
「いや、拾った鉄使うだけだから・・・」
「はい?」
「だから、拾ったの。鹿児島の海で!」
「鉄を?そんなでっかい物、どうやって持ってったの?」
「デカい鉄の塊じゃないよ!海岸にこんぐらいの古い和鉄の釘みたいのがいっぱいおっこちてて・・・」
胸ポケットから万年筆を出して見せる。
「こんぐらい」
万年筆と同じぐらいだと結構デカい釘だ。
「で、近所のガキにその場でお菓子やって、拾ってラボまで届けさせた。めちゃ喜んで拾ってたぞ!」
『へぇー!』
「それを調べてみたら3種類の硬さがあって、ちょっと考えがあるから使ってみたいんだ」
「SUP10と白紙2号とSK85そっちのラボにあればくれ。ちょっと使いたいから」
「それはOKだ」
「よし、俺の葉山ラボに送ってくれ」
「ああ明日送るよ」
(コオジに任せて大丈夫そうかな)




