35・まとめ弐・軌道の逸らし
「次は、斬ってくる相手を鎬を当て相手の軸をずらす!相手が正面から振り下ろす軌道に対し自分の剣を斜めに立てて相手の刀の側面をこするようにして押し込む」
「やっ!」
「えい!」
「ポイントは腕の力だけで無く今まで稽古した足の踏み込みと、腰の捻りで相手の剣の通り道を物理的に奪い取るんだ」
『はい!』
「とにかくスローモーション・コンタクトだ!いきなり早い動きでやらない!ゆっくり合わせるんだ。その相手に合わせ自分の刀を“添える”ところから始めること!」
「そうですね。とりあえずそれなら出来そうです!」
「そして“軸”の感覚を掴むんだ。相手の刀が力が入らない斜め下や横方向などの角度へ自分の重みを乗せるんだ。あとは相手の呼吸で“起こり”がわかるので、それを見極め自分の吐く息と共に踏みだす!」
「なるほど!軸を押さえる・相手の起こりを封じる・正中線を制する・攻撃を形になる前に無力化する。こう言う表現イメージですね!」
「あとその軸は相手の剣や身体の動きで変化していくから、そこを感じ取って押さえる事が出来れば、こっちの力は使わず常に相手を抑える事が出来るぞ」
「うぉぉ!神技ですね!」
「あははっ、いやいやそんな神秘なもんじゃ無くて簡単な力学だよ。まぁ繰り返し稽古をしてくれ!」
『はい!わかりました!』
このまま4人は稽古を続ける事になる。
その間に無ニ剣聖と工房のスタッフは剣の拵について詰まる。
拵だが・・・
何と言う事でしょう!
俺がデザインした地味で却下されたものから選ばれた!
ひゃっふう!
踊り出したいぐらい嬉しい!
レニが蝶貝を散らした鞘。
細かく凹凸があり鞘の滑りが良い。
イオリは鮫皮巻鞘。
大小の二刀流だ。
朴の木で作られるとの事だ。
現代の演舞ではスタビライズドウッド・マイカルタ・カーボン・樹脂で作られているが、無二剣聖によると実戦では反発力があり疲れてしまうとの事で、従来からの朴木が衝撃を吸収するのでベストと言う事だ。
鮫皮はコストと加工の難しさ手入れの難しさから、3Dプリントをしたマイクロスパイクの樹脂シートを使い、柄を巻きコルセット効果により強度を上げる。
柄にはアストラマーなどのテニスラケットなどに使うものが人気だが、柔らかいので強く握ったり緩めたりすると刃筋がブレるので却下された。
これも昔の通り正絹・綿・鹿のバックスキンの選択肢より鹿のバックスキンにした。
刀身はお抱え工房の五郎入道で打ってくれる事になった。すえでっしゅ鋼と言うのを使うらしい。
世界戦では日本のタターラで作られる“タマハガーネ”と呼ばれる最高の材料で作っているのだが、無ニ剣聖に言わせると、大昔は最高だったのかも知れないが現代ではそれほどの物では無い。と言う事だ。
近代鋼材でもっと良いものがあるそうだ。




