28・AF地区戦・午前の部
午前はUKの演舞が行われる。
ランダムな順番での演武だが6人2ブースで行われるので、三巡のうち先か真ん中か後のどこかとなる。
イオリは最初の組みだ。
サークルに進む。
“ハジメ!”
“シャ!”
手首のスナップで剣が振り出された。
水の形だ、ゆっくり流れるように始まる。
かなりいい感じで進んで行く。
最後は・・・
床で無く鯉口に剣先を付け押し込んだ。
“カタッタッタッ!”
きれいに畳まれて収まった。
“ヤメ、タイジョウ”
マイナス172点!
コレはかなりの高得点だ!
自己ベスト更新っとアナウンスされて居る。
他の剣士の顔が青い。
隣りはマイナス204点。
終わった感が漂っている。
そのあと4人の演舞があったが、二位のイオリに絡んでた剣士の、マイナス185点ポイントに対し大きくリードした。
「凄いねイオのとこ行こうよ!」
ノリノリの小桃に付いてイオリを激励しに行く。
レニは車に戻り昼の準備に行った。
F地区控え室のノックをしようとすると中から声が聞こえる。
「揉め事っぽい?」
「しぃー!」
中の声を聴く・・・
「ちょっとあんた、イレイザーでも付けてたんでしょ!」
「それとお前あれ俺の調整した剣じゃねぇだろ!」
押さえつけられて鞄からギミック剣を取りあげられる。
「やめてよ!」
「てめえ!サポート工房で調整しやがったなぁ!てめーは筋ってもんを知らねえのか?俺様の技術が盗まれたらどうすんだ!」
「じゃあスポンサーならちゃんとやったらどうなのよ!」
「はぁ?テメェ何スポンサー様に意見したんだ?スポンサーは降りるぞ!」
「小僧のあんたにそんな事できる訳無い」
「なっ!何だと!俺を舐めるな!」
ソコ・シャナルの御曹司はスマホを取り出し電話をかけた。
「俺だ、坊ちゃまって呼ぶな!イオリ・シャットダウンだ!うるさい!貴様首になりたいのか?おい!そうだ最初からそう言え!」
スマホを置くとイオリに向かって怒鳴った。
「これでお前のスポンサーは無しだ!ざまあみろ!」
「坊ちゃん・・・」
「うるさい!」
「あんた名前ツルだからツルボッチャンね。滑って池に落ちる感じだわ。つるっボッチャン・・・とても笑えるわ。あぁ笑いが止まらない。あははははは」
「何だそのわざとらしい笑いは!馬鹿にしやがって」
「あら?馬鹿にしてないわよ?おちょくってるの」
「くそがっ!こうしてくれる!」
ギミック剣は閉じたまま液体をかけられライトをあてられた。
「ほれ!カチカチだこれで二刀流は使え無いな、フリーの演舞は減点だな!」
あはは!
「カチカチ剣w、ざまぁよ!おっかしい!」
「二刀流変更のスポンサー無しの大減点ね!地区戦最高減点マイナス600点とか出るかしら!」
「剣聖様の娘がウケる!!」
「よし、最後に昼飯は出してやるよ」
「わぁ!和牛ステーキ弁当!凄い!!」
「お重箱になってる!」
「飲み物はスポーツドリンクで、デザートはすぐエネルギーになるようにバナナな!」
「さすが考えてますね!」
「そうだろうもっとほめて良いぞ!!ほらイオリ、お前はコレだ」
“ポテッ”
プッ、あはは!
「ポッ、ポテチ一袋!」
「ウケる!」
「・・・・・・何これ」
中の様子を聞いている小桃がかなり怒っている・・・
(あっ、これヤバいか?)
“コンコンコン、ガチャ”
「失礼しまーす」
小桃が突入した。
「誰だ?、お前?」
「イオ!行くよ!」
「こもー!?」
「コイツの知り合いか!出てけボケ!」
「あっ!さっきのイジメですけど全て録音してるけど?」
「なっ、なんの話だ!」
「面白いから晒しちゃっていい?」
「しっ、知らないわよ!何の事?」
「これ!」
小桃は大ボリュームで廊下に向かって再生した。
何事か?とA地区の剣士達が部屋から出て来た。
「えーっとイオ連れてって良い?良いわよね?」
「好きにしろ!」
荷物をまとめて3人で車に向かった。
小桃の手にはポテチがしっかり握られていた。
俺のポテチへの視線に気が付いた小桃は、「これ、高級な限定物だしぃ・・・」っと言ってサッと目を逸らした。
(美味しいやつなんだ・・・)
俺は歩きながら社長の厚子さんに電話を掛ける。
「おつかれさまです。お昼にすみません緊急の案件がありまして・・・」
さっきあったイオリの件を詳しく報告する。
「・・・・・はい、ありがとうございます!」
厚子社長のOKが出た。
「イオリ!アッコ工房がスポンサーになった。うちはレニとイオリの2人の剣士で行く事になる」
「あっ、あじ・・・」
「鯵?」
「あじがどう、ございまずぅーーー!」
ウルウルしている。
「お礼は社長にね」
「あぃ!」




