18・刀の検査して来ました
今日は九段下の武道館で地区戦のスキャニング検査だ。
これは何をやるかっと言うと、競技に使用する刀の検査と登録を行う。
地区戦と全日本はカゲウチとシンウチと言う2本刀を作る。
要はスペアの刀だ。
形は違っても良いが重さをきっちり合わせなくてはならない。
その2本を大会前に検査しスキャニングし登録し、それ以外の刀を使えば失格となる。
演舞時に軽量刀とすり替える不正が多くなって来たのでこのようなことになったのだが、最近は県大会でも不正が多くなって来たので導入を検討されている。
地区戦剣士になると必ずスポンサーが付いて、専属の工房があるのでそこが検査・登録に持ち込む。
チーフと九段下の駅を降りて階段を登る。
地上に出ると左手に金色の玉ねぎが見える。
そのまままっすぐ行けば靖国神社だ。
チーフが靖国にお参りをしたいと言うので付き合う。
参道を進み日本陸軍の祖、軍学者の大村益次郎の像を過ぎ門を入り、桜の標本木を進み参拝をする。
靖國の御守りを買い刀袋に付けた。
シンプルに紺色の御守りにした。
昼には少し早いが門の所の食堂に入り、いつもの玉子丼と蕎麦のセットを食べる。
(ひゃー、いつ食べてもうまい!)
満足したところで、田安門まで戻り歩道橋で九段坂公園に渡り武道館に進む。
階段を降り検査・登録会場に行く。
18個の輪になって置いてあるテーブルには県名と剣士の名前・スポンサーの名前の札がある。
そこにカゲウチとシンウチ、2本の剣を置き輪の中に入る。中央には台車に乗った測定・登録機がある。
検査・登録だが実は剣のお披露目でもある。
雑誌のカメラマンもかなり多く、この様子はwebで全世界に配信されている。
俺もデザインに関わる人間として非常に楽しみである。
「西洋剣が多いですねー」
チーフと一緒に他の工房の作品を見る。
「やっぱり西洋剣は映えるのよねぇー」
「左右対照で真っ直ぐスゥーっと美しいですもんね」
「おぉ!これギミック!」
振り出し剣がある。
デモンストレーションで振り出してくれる。
“ジャ!“
「おおおーー!」
振り出した先がしなりムチみたいだ!
先が2本になって蛇の舌っぽい!
(これ扱い難しくないか?)
ほかには最近、青龍刀も人気だ。
(やはりこれも映えるな!)
そもそも日本刀を使った日本武術は派手さが無く、ポイントが出せないと言われている。
見てて地味なので敬遠する剣士が多く、この地区戦でも日本刀に日本スタイルは18人中レニだけだ。
全日本、世界戦でも残念な事に日本刀・日本スタイルはほんの数名だ。
“オオッ!!”
“パシャパシャ!”
シャッター音とフラッシュの光が凄い!
誰か有名人が訪れているようだ。
その人がこっちに歩み寄って目が合う。
「和光くん、結婚おめでとう!」
「はっ、はい!ありがとうございます!」
エムオス社の社長だった。
うちの社長、厚子さんの旦那さんだ。
(そう言えば・・・旦那さんの名前知らない・・・)
隣りにいるのはエムオス社が推している剣聖の無二さんだ。家名は大昔のご先祖様の姓ミアモトを名乗っている。
「ほう!君が和光くんかい!成桃堂にはお世話になってるんだよ!」
(はい!?、剣聖って本好きなの!?)
初耳だ!桃じいちゃんからはそんな話し聞いた事も無い。
(まぁ、商売上の顧客情報だから言わないのは当たり前か)
「それは、初めて聞きます」
「まぁ、成桃さんはそうだろうね」
(へえ、桃じいちゃんとずいぶん付き合いがあるようだな)




