13・レニさんと一緒!
レニ剣士が剣の練習しているスポーツセンターに来た。
昔は“剣の稽古“と呼んでいたらしいが、稽古は昔っぽく汗臭い野暮ったい響きだから、剣道協会はトレーニングとか練習っと呼ぶのを推奨している。
剣道協会も2年後はケンドー・アソシエーションになる予定だ。
ドアを開け中を見たがレニ剣士は居ない。
「あちゃー、帰っちゃったか?」
きょろきょろしていると後ろから声をかけられた。
「和光さん私をお探しですか?」
「あっ!トレーニング終わってました?これ新しい刀です」
レニ剣士に刀を渡す。
「うわー!軽い!コレは良いですね!柄も細身ですね!それにとってもきれいです!」
「いいでしょ!カラーリングと外装デザインは厚子さんのデザインです」
ラメのメタリックブルーにピーコックグリーンの柄だ。
鞘にはカットされたガラスが貼られ輝いている。今回は地区戦だから目立つようにしたのだ。
剣を抜き差しすると鞘のガラスが順番にほんのり品良く光る。
(この光の出方はエムオス社のマル秘技術だな)
「凄いです!かなり頑張れます!本当にありがとうございます!」
「さて、帰るかっと…あっそうそう、ここら辺にチーズケーキの専門店ってあります?」
「ちょっと奥まった所に超高級チーズケーキのお店がありますよ」
「厚子社長が頑張ったご褒美に、うちとレニ剣士の家の分を頼んであるから受け取って帰ってね。って言ってくれました!」
「えー!あそこは超高級なんですよ!私、食べた事無いんですよ!」
「じゃあ、すぐ着替えてきますね!」
「はいはい」
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20分後、刀と着物を背負ったレニ剣士が出て来た。
「お待たせいたしました」
「レニ剣士の私服は見た事なかったから新鮮ですね!」
「道着とか演舞服ですからねー、あっレニって呼んでください、剣士はちょっと恥ずかしくて・・・」
レニはフロントピンタック…バンドカラー・シャツワンピースを着ている。色は濃い緑だ。
いつもはアップの髪も今は下ろしているので、綺麗な髪が揺れている。
私服を着るとめちゃ美少女ぶりが際立つ。
「緑色好きなんだね」
「はい、なんか落ち着くんですよ」
レニの金色の髪と青い目によくあっている。
これに帽子とエプロンを付ければ赤毛のアンの格好になる。
「・・・・・」
「どうしたの?」
「いえ、男の人と2人きりで歩くのは初めてなので・・・かなり照れくさいです」
「彼氏とか居ないの?あっこれセクハラか?」
「あはは、大丈夫ですよ!うちは父子家庭で父も身体壊してから無理出来なくて、生活に余裕無くてそれどころじゃなかったです」
「努力していますね、そんなレニを応援しますよ!」
「はい、嬉しいです」
レニは顔を真っ赤にして下を向く。
「とにかくこの道で稼げるようになりたいです!お父さんの為にも!」
「お父さん大好きだね」
「はい!優しいです!厚子社長にも、もちろん和光さんや支えてくれている皆さんにも恩返ししたいです!」
現在レニの父は厚子さんが資本で、立ち上げ準備中の特注刀剣工房で働いている。
厚子さんによると、病気になる前はかなり良い腕の刀匠だったらしい。
「地区線戦では女性は多いの?」
「さすがに県大会の88%は無いですが、73%ぐらいですねー」
10年前より男女平等の観点から性別分けをやめた。
同じ形を演舞してもA Iの採点が性別による差がなかった事もあるが、何より22年前にこの世界での人口比率が一気に崩れたのが1番の原因だ。
そうあの人類を揺るがした最悪の大事件・・・
未だそれが尾を引いている。
“赤の暴走…レッドランナウェイだ。




