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『50from17』 〜転生先は超高度文明、黒髪少女と経験値で生き抜く方法〜  作者: 五稜 司


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第30話:鋼の咆哮

鼓膜を震わせる轟音と共に、ライフルの弾丸が白銀の装甲を粉砕した。

 衝撃波が空洞を駆け抜け、青白く光る「心臓」の柱が共鳴するように低く唸る

「……やったか!?」

 ナナイが身を乗り出す。

 硝煙が薄れる中、そこには胸部装甲を大きくえぐられ、内部の精密な配線が火花を散らす「執行者」の姿があった。しかし、その膝が折れることはなかった

「……個体識別、危険度を再設定。リミッターを解除し、殲滅せんめつモードへ移行する」

 感情のない声が、先ほどよりも一段と低いトーンで響く。

 直後、騎士の背中から光の翼のような排熱膜が噴出し、抉られた装甲の隙間から、ドロリとした銀色の液体――ナノマシンの修復液があふれ出した。

「嘘でしょ……あの傷がふさがっていく……!」


 マイアが顔を強張こわばらせ、次弾を装填しようとボルトを引く。だが、執行者の動きはそれを上回っていた。

 シュン、という空気を切り裂く音。

 一瞬で距離を詰めた騎士の剣が、マイアのライフルを根元から叩き折った。


「マイア! 下がれ!!」

 ナナイが横から飛び込み、短刀で剣筋を逸らす。だが、騎士の左拳がナナイの腹部をとらえ、彼女を後方の壁へと吹き飛ばした。

「ナナイさん!!」

 佐藤は叫び、咄嗟とっさに折れたライフルの銃身と、床に転がっていた太い金属管を拾い上げた。

(修復を上回る衝撃を与えるか、あるいは根本的な回路を壊すしかない。だが、どうやって……)


 資材棚の陰で思案してる佐藤の元へ、一筋の影が飛び込んできた。クロだった。彼女は一人で危険な場所にいる佐藤への不安から、反射的に彼の腕の中へと飛び込んできたのだった。

 次の瞬間、佐藤の腕の中でクロが激しく震え始めた。

 彼女の瞳は黄金色を通り越し、白銀に近い輝きを放っている。

「……あ、あいつ、来るよ。……次は、ヒロを狙ってくる!」

 クロの声が、これまでにない確信を持って響いた。

 

執行者の視界の端で、赤い文字列が高速で流れる。先ほど通路を抜ける際に彼らを捉えた、無数の監視センサーの映像。その中には佐藤たちがお互いの名前を呼んでいる映像や4人の戦闘シーンの映像もあった。そのログが瞬時に解析され、一つの結論を弾き出す。

『対象名:サトウ。イレギュラーな戦術を確認。最優先排除対象に設定』


執行者の視線が、正確に佐藤を射抜く。

 この場において、論理的な予測不能の行動の危険性――「環境利用」による妨害――を行って来る可能性が高いのは佐藤だと、AIが判断したのだ。

「排除対象、最優先を個体名『サトウ』に変更」

 白い影が跳ねる。


 佐藤の動態視力では、それはただの白い閃光にしか見えなかった。

 だが、その瞬間。

「――ッ!!!」

 クロが佐藤の腕の中から飛び出し、空間全体を震わせるような大絶叫を放った。

 ただの音ではない。彼女の身体から放射された不可視の波動が、空気を物理的に歪ませ、執行者の装甲表面を走る「指令回路」を完全に焼き切った。


「ガ、ガガッ……機能……不、全……」

 空中で騎士の動きが停止し、そのまま床へと叩きつけられる。

 

「今です、マイアさん! 壊れたライフルの銃身を、あの抉れた胸の隙間に!!」

 佐藤は、拾い上げた鋭い銃身をマイアへと放り投げた。

「……受け取った!!」

 マイアは空中でもぎ取った鋼の杭を両手で握り締め、全体重をかけて、騎士の心臓部――露出したコアへと突き立てた。


 バチィィィン! と、本日最大の閃光が走り、執行者は断末魔のような機械音を上げて、ようやくその活動を沈黙させた。

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