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『50from17』 〜転生先は超高度文明、黒髪少女と経験値で生き抜く方法〜  作者: 五稜 司


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第29話:白銀の執行者

静寂が、耳を刺すような鋭さで空洞を満たしていた。

 青白く脈動みゃくどうする巨大な柱、この階層の心臓部を見下ろす高架橋の上。そこに立つ「純白の甲冑かっちゅう」は、微動だにせずこちらを見下ろしている。

 先ほどの警備兵たちとは明らかに一線を画す、圧倒的な威圧感。


「……あれ、ただの人形ひとがたじゃない。アタシの勘が、最大級のヤバいって言ってる」

 ナナイが短刀のつかを握り直し、重心を低く落とした。

「サトウ、私の後ろへ! ……正体は分からないけど、あれを倒さない限り先へは進ませてくれないみたいね」

 マイアが鋭い声で指示を飛ばし、自作のパイプライフルを構える。その指先には、かつてない緊張が宿っていた。


 白い甲冑が、ゆっくりと右手を横に振った。

 ジャリ、と硬質な音が響くと同時に、その手の中に光の粒子が集まり、一振りの細身の剣が形成される。

「不法侵入者を確認。これより排除を開始する」

 透き通るような、それでいて感情を一切排除した女性の声。

 次の瞬間、白い影が爆発的な加速で橋を蹴った。


「ナナイ、左から牽制! クロ、私の援護を!」

 リーダーであるマイアの号令が飛ぶ。

「くる……右! マイア、右だよ!」

 クロが叫ぶ。まだ本人も仕組みを理解していない「未来視」の力が、網膜に赤い残像を映し出した。

 ガギィィィン!

 マイアが咄嗟に振り抜いた長剣と、白銀の剣が激突し、激しい火花が散る。

「くっ……なんて重さなの……!」

 力押しではない。一点に凝縮された精密な打撃が、マイアの腕を痺れさせていた。


 佐藤は、戦う三人の邪魔にならないよう身を縮めながら、必死に周囲を見渡した。

 高度に管理されたこの部屋に、瓦礫など一つも落ちていない。あるのは、規則正しく並んだ精密機器と、壁際に整然と収納された「保守点検用の部材」だけだ。


(……専門的なことは分からないが、あの光る柱は間違いなく「電気」の親玉だ。なら、ドライバー時代に雨の日の現場で見た「アレ」が起きれば……)


 佐藤は収納棚から、太い「絶縁被膜ぜつえんひまくの付いたワイヤー」と、重みのある「予備の金属端子」を掴み取った。

「ナナイさん、あいつを柱の近くまで誘導できますか!?」

「えっ!? ……分かった、やってみる!」

 ナナイが素早い動きで騎士を翻弄ほんろうし、その攻撃を誘いながら「心臓」の柱へと引き寄せる。

「――ッ!!」

 間髪入れず、クロが喉の奥から高周波の叫びを放つ。


 騎士の動きが、目に見えて一瞬だけガクガクと乱れた。AIの指令を一時的に遮断する、クロの未知の力が干渉したのだ。

「今です、マイアさん! 狙ってください!」

 佐藤は重り代わりの金属端子をワイヤーに括り付け、柱の根元にある、剥き出しの端子群へと全力で投げつけた。


 金属が触れた瞬間、パチパチッ!! と、凄まじい放電が周囲を走る。

 佐藤が狙ったのは、高圧電流が金属を伝って無理やり逃げ道を作る「短絡ショート」現象だった。

 かつて嵐の中の配送中に見た、切れた電線が垂れ下がり、アスファルトの上で青い火花をまき散らしたあの光景。あの恐ろしいまでのエネルギーを、今は味方につける。

 

「なっ……!?」

 足元の床を伝う予期せぬ過電流が、騎士の電子的な姿勢制御を一時的にマヒさせ、強引に膝をつかせた。

 マイアはその隙を見逃さなかった。

「……貫け!」

 ライフルの引き金を引き、貴重な弾丸が放たれる。

 火薬の爆散音とともに放たれた弾頭は、姿勢を崩した騎士の胸部装甲を、真っ向から捉えた――。

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