世界は - 02
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うんざりを通り越して、あまりにくだらなすぎる貴族達に、すでに見切りをつけていたほどに。
なのに、王族には一切近寄りたくない行動は本心からで、王族からの晩餐会の招待を断って来る貴族令嬢など、前代未聞だった。
その令嬢が治めている領地が、これまた前代未聞で、見知りもしない異常な土地だったと判明した。
聞いたこともない単語。見たこともない施設。全く知りもしない統治方法。
そのどれを取っても、レイフの興味を搔き立たせるものばかりだった。
「そんなことが本当にあるのか?」
現実に存在するのか?
レイフだって見たことはない。
だから、尚更に、見てみたい。この目で確かめてみたい!
はっきり言って、レイフの子供時代は、非常に、ものすごく、超がつくほど、退屈な日々ばかりだった。
そして、レイフの周囲にいる人間は、一目見ただけでも、冷たい軽蔑しか浮かばないような、クズばかりが揃っていた。
アトレシア大王国の第二王子殿下として生まれたレイフは、生まれたその瞬間から、周囲の人間に傅かれ、一から百まで、その全てを世話され、何一つ不自由なく育って来た。
なんでも揃っている。なんでも知っている。
もう、この世界には、レイフを刺激するようなものが残っていなかった。
王子殿下達にあてがわれた教師達や学士達も、つまらない連中ばかりだった。知っていることを何度も繰り返して、授業もつまらない。教師自体もつまらない。
王国学園に入学しても、同学年の貴族達はレイフの基準にさえ叶わない連中ばかり。話も合わなければ、低俗極まりないとレイフが感じているだけに、近寄りもしなければ、近寄らせもしない。
レイフの子供時代、少年時代は、それだけだった。世界は色もなく、変化もなかった。
大人になって、もう、ほとんど驚くこともなくなった、感じることもなくなったレイフの前で、かなりの余興を楽しんだのは、つい最近のことである。
“ノーウッド王国ヘルバート伯爵令嬢”。
最初にその名前が挙がって来たのは、兄であり、王太子殿下であるアルデーラの口からだった。
伯爵令嬢でありながら、戦場に顔を出し、おまけに、あろうことか、部族連合を叩き潰した――などと、あまりに信じられない状況をもたらした、正に“謎の令嬢”である。
素性は隣国の伯爵令嬢で、アルデーラが戦場から持ち帰った(膨大な) 書類の中からも、伯爵家の承認印らしきものが確認されている。
あの場では、アルデーラも時間がなく、戦場にいたあの本人が、本当に伯爵家の令嬢であるのかは、確定できていなかった。
だから、あの令嬢が“伯爵令嬢”であるという前提で、アルデーラが隣国ノーウッド王国に密偵を送ったのだ。
その報告書では、ヘルバート伯爵家には、ちゃんと令嬢がいるらしい。
そして、レイフが予想もしていなかったことと言えば、レイフがその報告書を読んで、大笑いしてしまったことである。
あまりに愉快で、あんな風に、裏表も気にせず大笑いしたのは初めてである。
報告書の内容が、随分、レイフの余興となったものだ。
それで、すぐに、ブレッカにいた令嬢と隣国の伯爵令嬢は同一人物だ、という事実を、レイフは疑いもしなかった。
元侯爵家、お家お取り潰し。家名断絶。
正に、有り得ない話だ。
天地がひっくり返ろうが、どうしようが、絶対に有り得ない現実だ。
貴族世界で上位貴族に逆らうなど、絶対に有り得ない。絶対に、許されることではない。
それなのに、ノーウッド王国では、ヘルバート伯爵家も、ヘルバート伯爵令嬢も処罰されず、全く問題なく生き延びていて、おまけに、元侯爵家が所有する全財産をもぎ取ったなど、あまりに信じられない話ばかりだ。
問題にもされず、処分もされず、そして、あまりにスッパリ、キッパリと、完膚なきまでに相手を叩き潰した手腕は、並のものではない。
密偵から出された1~2枚しかない(あまりに薄すぎる) 書類を読んだだけでも、レイフには、隣国のヘルバート伯爵令嬢がかなりの切れ者である事実を、簡単に悟っていた。
あの令嬢がブレッカで押し付けて来た報告書を読んでも、正確な証拠が揃い過ぎていて、詳細で、綿密で、付け入る隙も無いほどの、あまりに完璧な書類だった。
あの書類を見てからも、ヘルバート伯爵令嬢は、かなりの慎重派で、隙を見せない策略家でもあることも判る。
「面白い」
こんな余興は、本当に、久しぶりだった。
貴族の令嬢など、ただただ派手に着飾って、王子達に媚を売り、自分を売りつけ、権力を手に入れようとする者達ばかりだと思っていたのに、どうやら、レイフの考えを一掃させる令嬢が現れたようだった。
なるほど。
まだまだ、この世界には、レイフの知らないことが存在するらしい。
「面白いではないか」
スーッと、レイフの指先が、紙の上の字が連なっている場所をなぞって行き、その口元が、更に、満足げに弧を描いていく。
ふっと、普段、ほとんど冷笑以外に口元に笑みなど浮かばない顔なのに、さも面白げに、さも興味深げに、そして、満足げに、ゆっくりと口端が上がって行く。
世界は――まだまだ、レイフの知らない情報で溢れている。
まだまだ、レイフの知らない知識で溢れている。
未知の世界が、広がっている。
まだまだ、レイフが見たこともない世界が――存在する。
「楽しみではないか」
早く、見てみたい。
レイフの全く知らない、未知の世界を、経験を、早く見てみたい。
待ち切れないではないか。
ああ、世界は――まだまだ楽しめることが盛りだくさんだ。
読んでいただきありがとうございました。
Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)
आशा बा कि रउरा सभे के ई एपिसोड नीक लागल होई.





