秘密(Side リーネ)
抱きしめられただけでこんなにも満たされるのだとリーネは初めて知った。でもこれが最後かもしれないという寂寥感からは逃げられないと自覚し、欲というのは際限がないのだと理解した。
そんなリーネを他所にどこか吹っ切れた様子のカイに、リーネは後ろから抱き込まれた状態でカイのベッドに腰掛けていた。
話をするんじゃないのかと思いながらも、カイの表情がわからないのはむしろ好都合かと思い直し、まだ離れたくない気持ちを隠しながら、リーネは口を開いた。
「僕の知っていることを話す。聞き終えた後でたとえカイが僕から離れる決意をしたとしても、僕はそれを止めることはない。」
返答はないものの、後ろからリーネの腹に回された腕に力が籠るのを感じる。
「まずは魔法かな」
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滔々と語るリーネに口を挟まず大人しくしていたカイは、リーネの話が終わるや否や端的な質問を繰り返した。
「かつてのこの世界の人間には魔力が備わっていて、魔法が生活に溶け込んでいた。」
「そうだ。」
「失われた古代技術とされているが、現在においても魔力を持ち、魔法が使える人間がいる。」
「そうだ。」
「その際たる例が、王族。」
「そうだ。」
「そして儀式は、その魔力を持ってこの国全土を保護する結界を張るもの。」
「そうだ。気候を調整する必要があるからだ。雨も必要だ。」
「つまりリーネは、」
中途半端なところで言葉を切ったカイを振り向こうとしたが、肩口に額を乗せられ動くことはかなわない。腹にまわされた手には青筋が立っている。そっとその手を撫でたところ、さらに強く抱きしめられた。




