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【完結】贄の王子  作者: 田中1号


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対面(Side カイ)

「だからぁ、僕、消えてしまいたいんだよねぇ」


 わかるぅ?と畳み掛けてくるマリクのペースに飲み込まれないように注意しながら、カイは続きを促すことにした。さっきからピリピリと肌を刺す不快感が拭えない。


「わかるように話せ」


「はいはい。僕はこの世とおさらばできる。君たちは情報を手に入れられる。」


 そうか、わかったと返事をするには無理がある。聞きたいことは山ほどあるが、そのどれを聞いてもにわかには信じられないような気がして、喉の奥がつっかえる。


「っ...、こ、こは....?」


 カイの背後からリーネの掠れた声がする。起きあがろうとするリーネを咄嗟に支えながら、その肩の華奢さに数週間前に触れた時より痩せたのではと、カイの眉間にグッと力が入る。


「カイ?」


「ぁ、ああ、すまない、痛かったか。ここは俺の部屋だ。」


 リーネに水を渡しつつもその腰を抱いたままのカイに、リーネが状況を尋ねてくる。カイは神殿から連れ出してきたことを手短に説明しつつ、リーネの無事を確かめる。


「ちょいちょい、僕のこと忘れてない?」


 リーネに怪我はなさそうだと安心したカイが思わずリーネを抱きしめそうになったところで、マリクから声がかかった。


「あ?」


「えっ?」


 カイの威嚇とリーネの驚きが続いたところで、リーネは声のした方を見て固まった。


「マリク王...?」


 リーネの疑問に、今度はカイが固まった。


「リーネ、マリクが見えるのか!?」


 代わるがわる目を白黒させるカイとリーネを面白そうに眺めたマリクは、そうだよ〜と何とも呑気に答えた。


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