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青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


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24/32

24 発見

「フッ、(わら)える。この緊急事態にオセロなんてやってていいわけ?」

馳久美子(はせくみこ)は鼻を鳴らして言った。


「参加者は余計(よけい)な事をせずに、じっとしていた方がいいんじゃないかな?」

俺が答えを聞かずに遊戯室(ゆうぎしつ)へ向かうと、馳久美子は納得(なっとく)したのか、俺の後ろについて来た。


 本棚の前で寝転んでいた瀬野賢児(せのけんじ)は、漫画を(たたみ)に投げ出して無防備(むぼうび)に寝ていた。

「あいつ、わたしを真っ先に(うたが)いやがって。あの間抜けな口一杯(いっぱい)に、画鋲(がびょう)()め込んでやりたいわ」

馳久美子は呑気(のんき)に眠っている瀬野賢児を(にら)みつけて舌打ちした。


(はせ)さんは、誰がやったと思う?」

俺がオセロ(ばん)を置いた座卓(ざたく)に座ると、馳久美子はしぶしぶ向かいに座った。


「さあね。わたしは朝から胃の調子が悪くて食欲が無かったの。おかげで職員やあいつに(うたが)われているようだし、本当に散々(さんざん)よ。一刻も早く家に帰りたい」


(むか)えの船が来るまではどうしようもない。俺は出来るだけストレスを()めないようにしようと思ってる」

オセロの(コマ)(コマ)置き場に戻すと、馳久美子はチッと再び舌打ちをして、残りの(コマ)を自分の(コマ)置き場に(あつ)めた。


「どっちが先攻?」


「ジャンケンで決めようか。最初はグー」

お互いに手を突き出した時、ドタバタと廊下を走って来る音が聞こえた。


「つ、津田(つだ)先生! い、急いで女子トイレに来てください!」

ノックと同時に医務室のドアを開けた秋月令子(あきづきれいこ)が、うわずった声で言った。


 知らせを聞いた津田美子(つだよしこ)が白衣を(ひるがえ)して飛び出した。胸騒(むなさわ)ぎを感じた俺は、廊下を走る二人の職員の(あと)を追った。


 津田美子は職員室を通り過ぎ、ドリフトするように廊下を左に曲がって、突き当たりの女子トイレに駆け込んだ。

「ふぅ。(おく)の個室が()まってるな」

津田美子が目を合わせると、秋月令子は息を切らせながら答えた。


「何度もノックをしましたが、その、反応が、無かったので……ドアの上に()い上がって、中を(のぞ)きました」


 ついて来た馳久美子が、固唾(かたず)を飲んで入口から中を覗いた。つられて俺も中を見る。


「それで?」

「中に金田(かなだ)くんがいます。ぐったりしていて、呼び掛けても反応がありませんでした。それで、急いで津田先生を呼びに行ったんです」


 津田美子は秋月令子の報告を最後まで聞かずに個室のドアを蹴破(けやぶ)った。掛け金(ラッチ)(はじ)け飛び、タイル(じき)の床に転がった。


「……(みゃく)がない。急いで医務室のAED(エーイーディー)を!」

津田美子は金田龍人(かなだりゅうと)を床に寝かせ、(きび)しい表情で心臓マッサージを始める。秋月令子は脇目(わきめ)も振らずに走り去った。


「俺に何か出来る事は?」

「外に行った田中先生を(さが)して呼んで来てくれ。それと、(ほか)の参加者たちがパニックにならないように配慮(はいりょ)(たの)む」


 AEDを胸に(かか)えて戻って来た秋月令子と()(ちが)うと、職員室のドアがそっと(ひら)いて、ひと仕事()えたような根本遥(ねもとはるか)が顔を出した。

「廊下が何だか(さわ)がしいけど、何かあった?」


「女子トイレの個室に金田(かなだ)がいた。俺は田中先生を呼び戻して来るから、あとは自分で確認してほしい」

俺は傘立ての蝙蝠傘(こうもりがさ)を引き抜いて、泥濘(ぬかる)んだ広場に飛び出した。


 休み時間が始まってすぐに、俺と根本遥は砂浜に出掛けた。宿舎に戻って来ると、ウッドデッキに津田美子がいて、その(あと)すぐに俺は面談に呼ばれた。

 金田龍人はその(かぎ)られた時間に、寝室で休んでいたらしい。いつ寝室を(はな)れ、女子トイレの個室に向かったのか。自主的に? それとも誰かに呼ばれて? (ゆる)監視下(かんしか)の中で、目撃者は一人もいなかった。


 俺は疑問を(かか)えたまま、広場からログハウスの裏手に回って田中忠(たなかただし)を探した。一周して元の広場に戻り、雑木林の小道を突き抜けて砂浜に出てみたが、風雨で()れた(うみ)以外に何も見えなかった。


 土砂降りの雨水(あまみず)と泥が足の(こう)()み込んでくる。来た道を戻ると、雑木林を()()けて出て来た田中忠と、ようやく鉢合(はちあ)えた。

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