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青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


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23/32

23 捜索

 土砂降(どしゃぶ)りの雨が広場一面を水浸(みずびた)しにしていく。雨音(あまおと)が強くなり内緒話(ないしょばなし)には都合がいい。


「その時、(ほか)の面々はどうだったか覚えてる?」


「そうね……布引真子(ぬのびきまこ)はベンチに座って文庫本を読んでた。馳久美子(はせくみこ)はぼうっと景色を(なが)めてて、金田龍人(かなだりゅうと)甲板(デッキ)に寝転がって寝ていたと思う。瀬野賢児(せのけんじ)は……それにしても、()ってきたわね」

根本遥(ねもとはるか)はペットボトルの(ふた)を締めて両手をポケットに入れた。


「……それでその後、曽我部太(そがべふとし)の動きは?」


「見張り役の田中忠(たなかただし)の様子を確認した(あと)、お(なか)(さす)って――たぶん下痢(げり)のフリだと思うけど、またすぐに船尾(せんび)に向かったわ。今度は少し長かった。そして、また同じ場所に戻って来たの。()()()()()笑顔を浮かべてね」


「一度目の移動で御当地弁当(ごとうちべんとう)(にお)いを()ぎつけ、二度目の移動で弁当をくすねた。その足でトイレへ向かい、トイレで弁当を食べた?」

俺が根本遥の予想を代弁(だいべん)すると、根本遥は白い息を吐き出した。


「その後、もう一度お(なか)(さす)って船尾(せんび)に行ったわ。一つじゃ物足(ものた)りなかったみたいね」


「……残りの弁当を処分したのは誰か。素直(すなお)に考えれば曽我部太だけど。肌寒(はだざむ)くなってきたから、中に入ってオセロの続きでもどう?」


 俺と根本遥が遊戯室(ゆうぎしつ)前の廊下に戻って来ると、寝室(しんしつ)のドアの前で三人の職員が(けわ)しい顔をして立ち話をしていた。


 瀬野賢児は相変わらず寝転んで漫画を読んでいたが、面談中の馳久美子の姿は見えなかった。俺はただならぬ空気を感じて、職員の(そば)に駆け寄った。


「何かあったんですか?」

俺が問い掛けると、三人の職員たちはお互いに目を合わせて押し(だま)った。二人の女性職員は、発言を田中忠に(ゆだ)ねたようだ。


「……(さわ)がないと約束できるか?」

重苦(おもくる)しい表情を浮かべた田中忠が押し殺した声で言った。


 俺が根本遥と目を合わせ(うなず)くと、田中忠は状況の説明を津田美子(つだよしこ)に丸投げした。


「医務室の二人が眠っているのを確認した(あと)、私は寝室Aの二段ベッドで休んでいる金田龍人の様子を見に行ったんだ。

 ぱっと見、静かに眠っているようだから安心したんだけど――頭まで布団を(かぶ)って寝息(ねいき)の音も聞こえない。ちょっと変だな、と思って様子を見てみたら……布団の中にはタオルケットが入っていて、もぬけの(から)だった」


「フフフ。()()だったら面白かったのに」

根本遥は不敵(ふてき)()みを浮かべた。


「この雨だから、外に脱走していたらずぶ()れになっているだろう。とにかく面談どころじゃなくなった。秋月(あきづき)先生は宿舎の中をもう一度虱潰(しらみつぶ)しに探してください。津田先生は万が一の事があるかも知れないから医務室で待機(たいき)。オレは宿舎の周辺を探してみる」

田中忠が指示を出すと、職員たちはすぐに動き出す。


 職員室のドアを開け雨合羽(あまがっぱ)羽織(はお)った田中忠を根本遥が呼び止めた。

「あたしも探すのを手伝っていい?」


「外は危ないから宿舎の中だったらいい」

足早(あしばや)に田中忠が出て行くと、根本遥はニヤリと笑って職員室の中に入る。入れ替わりに、馳久美子が怪訝(けげん)そうな顔をして出て来た。


「何かあったの?」

マスク越しだが、初めて馳久美子の声を聞いた気がする。


「金髪の金田(かなだ)くんがいなくなって、職員が手分(てわ)けして探してる」

俺は必要最小限の言葉を返して、職員室のドアを閉めた。根本遥はこの機会(チャンス)を利用して、職員室の中を物色(ぶっしょく)するようだ。


(はせ)さん。ヒマだったら、オセロでも、どう?」

俺はダメ(もと)で、馳久美子を遊戯室に誘った。

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