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冬
車の走行音が夜間の空を覆う。寒冷な気団が街を襲う。乾燥した冷気を鋭く赤いネオンが差し込む貫く。歩道で煌めく赤い信号の光は停止と進行を同時に示す。違うのは主体のみ。
暖かな空気に守られた店内。店の端に据えられた暖炉の火はゆらゆらと揺れている。二度と同じ形になることはない。その炎の異形が店内を照らす。YGと書かれた店外の看板が風で煽られる。その躍動を捉えた老人が入店する。キリマンジャロは彫りの深い男の喉に注ぎ込まれる。
窓は寒暖差で霜が降りている。
海は高い潮とともに轟音を轟かせながら揺れ惑う。
海水は冷え切ってエネルギーは失われている。
この世界には冬が訪れていた。
ただそれだけ。




