A-018.1109.1450 いざ、ベールの中へ!
ログナンバーを修正しました。2026/8/6
「早いわねそら子。待たせたかしら」
待ち合わせは十五時。
「いえ」
「そういえば、おめでとうございます」
逡巡したが心当たりはなく、首をひねった。
「先日。骨貝を討伐しましたよね。順調そうでなによりです」
「骨貝?ああ、巻貝の魔石獣のことかしら?」
「はい」
「わたしはあまり役に立ってないわ」
一週間前の戦い。鮫浦副隊長が活路を開き、合図を受けた汀班長の麻酔弾による狙撃が決まり、事態は収束した。
わたしとヒカリは、囮の役割に終始した。三十発以上の砲撃をいなしたが、後で聞けば鮫浦副隊長もそれに近い数の砲撃を浴びていた。火羽による攻撃も試みたが、傷をつけること叶わず。猛攻の網目を潜り抜けた鮫浦副隊長の勝利だ。わたしは合図をみんなに送っただけだった。
次はもう少し、寄与したい。
「そら子ちゃーんアスカちゃーん!遅くなってごめんねー!」
藤子が合流する。
「まだ来たばかりよ。では、早速行きましょうか。そら子の家へ!」
「おー!そら子ちゃんの家!」
「あの、本当に来るんですか?」
「そのためにそら子の最寄り駅で待ち合わせてるんじゃない」
「楽しみだね!」
「ご期待には沿えませんよ」
斯くして、以前より計画していたお泊まり会が始まった。
が、
「どういうこと??」
「そら子ちゃん……これって?」
そら子の部屋はわたしたちの想像を超えていた。
駅から歩いて十五分ほどのマンションの一室。初めて踏み入れたそら子の部屋は、驚くほど物がなかった。
「あなた、どうやって生活してるの?」
いや、ゼロではない。
本来リビングとして使われるであろう部屋の真ん中で、デスクトップパソコンがポツンと唯一の光源として鎮座していた。ケーブルが三本伸びて、コンセントに向かっている。
その他には家具も家電も、カーテンすらない。あまりに不自然な光景に藤子も目をぱちくりしていた。
「普通ですよ」
「その返答、まかり通らないわよ」
「そら子ちゃんお風呂入ってる?寝れてる?」
「健康です」
藤子と顔を見合わせる。
「まあ、わたしたちは家捜しに来たわけじゃないわ」
「そら子ちゃん。困ったら相談してね?」
パチパチと瞬きして、こくりと頷くそら子。心配も疑問も残るけれど、彼女は大丈夫と言っている。藤子の言う通り、困ったら手助けすればいいだろう。
気を取り直してお泊まり会の相談を始めることにした。
だって、物がない。
わたしたちはよくよく相談しなくてはならなかった。
お疲れ様です。
さあ、勘の良い人は怪しい回に感じたかもしれません。伏線というかヒントというか。
ここからしばらく怪しい回が続きます。分からないことへのワクワクを感じてもらえたら嬉しいです。不安と謎はぶら下げるもの。
更新は一週間後、8月7日の予定です。よろしくお願いします。
夏休みですね!大人は関係ないですけど!
では、次回も良しなに。




