R-027.1102.1906 承認
「はあ……疲れた」
処務をこなし、食堂に突っ伏す。六結さんが入れてくれた梅昆布茶でようやくひと息つけた。
「お疲れ様でした」
「うぉお!?」
背筋がゾワリ、背後に魚石アスカが立っていた。
「すみません。まさか気づいていないとは思わず」
「おいおい会って早々嫌味か?お前は最近できるようになったかもしれんが、俺のミーダ感知はザルなの」
「でも、今日の鮫浦副隊長はすごかったです。実体化タイミングをずらした回避、捨て身での更なる膂力のブースト。どれも、わたしとの模擬戦では使われていません」
「実体化先をミーダ感知で狙われたからな。駆け引きが必要だった」
「参考になります」
手の内をばらしてしまった。こりゃ次の模擬戦は厄介なことになりそうだ。
「で?言いに来たのはそれだけか?」
言い終わるや否や、ペンダントが輝き大鷲が飛び出てきた。
「きぃいいいいい!!!!」
「ヒカリ!?ここで出てきちゃダメでしょ!」
天井の高さが足りず、少し縮こまったポーズでのお出ましだ。
超大型猛禽類が顔を寄せてきた。世間話程度に話しかけつつ、撫でてやる。
「お前も大変だな。あいつのお守りも、もう長いんだろ?」
「お守り?どういう意味ですか?鮫浦副隊長」
不穏な部下は無視。ヒカリは首をかしげている。
「ん?言葉、分かるよな?」
なにか考えているヒカリ。するとなにを思い立ったか、急に身体をこすりつけられた。
「なああどういう意味だ!?お前身体がデカいからなんでも表現が激しいな!」
ひとしきりゴシゴシこすりつけられた俺の髪はボサボサになっていて、しわくちゃになった服と乱れた髪を直しつつヒカリを見上げると、満足したのかペンダントの中に戻っていった。
「おい、なんだったんだいまの」
「いまの……」
魚石アスカが呟く。彼女は信じられないとでも言うように俺を見ていた。
「ん?」
「昔、熱で寝込んだときに、似たようなことがあって」
視線を伏せた彼女からは喜怒哀楽を読み取れない。
「仲良くなったんですね」
それ以上はなにも言わず、魚石アスカは食堂を出て行った。
晩飯を終えて待機所へ戻る。デスクの上に目をやると、新たに山積した書類が俺を待っていた。
「はあ……」
夜は長い。
お疲れ様です。
幽体化は傍から見ると、消えては出て、消えては出てを繰り返しているため、瞬間移動しているように見えます。実際はそう見えているだけで、実体を持たない状態のまま動いてますので、ミーダ感知されると苦しいです。今回のミルカマ戦はそれに当たります。アメリカちゃんも、魚石アスカも同様にニガテな相手です。特殊技能に近いミーダ感知を高度に行える者はまず少ないのですが、世界は広いのか狭いのか鮫浦黎次はよく出会うようです。
更新は一週間後、7月31日の予定です。
よろしくお願いします。
次回は、子どものアドバイス?を実行します。




