A-018.0728.1310 子ども
「それで?名刺とかは?くれなかったの?」
「電話番号だけ」
「ふーん。子どもと思われてたのかな」
「会って話してくれるだけ上等な歓迎よ」
覚はなんだか納得いかないらしい。少しムスッとしていた。
「他にはなにかあった?」
「そういえば、一鳥新聞社を出てすぐにわたしに話しかけてくれた子どもが居たの」
それ関係ある?と言いたげな覚。
「なんか不思議な子だったのよ。短めの銀髪の子でね」
一鳥新聞を出たあと、ぼんやり考え事をしながら歩いていたところだった。
「ねえ、お姉さん」
「どうしたの?」
急に小さな子どもに話しかけられ、驚いた。こんなビル群のど真ん中を一人で歩いているなんて不自然である。てっきり親とはぐれたのかと思ったが。
「お姉さん、道に迷ってるの?」
「そうね……誰に話を聞こうか迷っているわ」
どうやらわたしの方が迷子に見られていたらしい。おかしな話だがあまりに彼が落ち着いていたので、自分でも不思議なことに心境を吐露していた。
「そういうときは友達に相談だよ。きっと教えてくれる。上のこととかね」
そう言って、彼は雑踏の中に消えていった。
「ね?不思議でしょ?」
「変な話だね」
「口調は子どもっぽいのに、やけに大人びた雰囲気でどこか見透かされている感覚だったわ。言う通りな気がして、藤子とそら子と今度お泊まり会をすることにしたの」
「そりゃ良かったね。てか上のことってさ、地上のことでしょ。洗脳教育溢れる地下で地上に興味を持つのは異分子でしかない。ぼくは元よりよそ者だからあまり洗脳されてないけど、その子はぼくより幼くして地上を語る。かなり怪しいジャリだね」
「覚も十四なんだからまだ子どもでしょ。ふふ」
覚は自身の動向がバレないように気を付けながらも、研究に燃えている。それならまだ、囮として動いていた方が良さそうだ。
調べ物はまだ始まったばかり。
お疲れ様です。
これで従弟くんも大きな輪の中に入りました。魚石覚が地下出身ではないのも、思考が染まっていない理由の一つであり、特徴です。今後の活躍やいかに。
え?また怪しいやつが増えたって?気にしない気にしない。
更新は一週間後、6月12日の予定です。
よろしくお願いします。
次回は、また次のフェーズに移ります。




