A-018.0728.1200 カチコミ案件
前回の示し合わせから二週間が経った。
がちゃり。
「アスカ姉ー。上がるよ」
覚のジオカードは登録してある。きっと時間もぴったりだ。
「ほら、ごはん買ってきたよ。確認してもらいたいな」
「ヒカリ、お願いできる?」
「きぃ」
既に隣で佇んでいたヒカリが食べ物を一瞥する。
大丈夫らしい。
「ありがと。よーしよしよし」
覚がヒカリをなでまわしている。彼女もまんざらではなさそうだ。
「お腹すいちゃってさ」
コンビニエンスストアで買った惣菜やお弁当をテーブルに広げた。
「いただきます」
ごみを片付け、食後の紅茶を入れた。
「あー食った食った。じゃあお互いの進捗を……って言いたいとこだけどぼくの方は全然進展してないんだよね」
小さく肩を落とす覚。元より時間がかかることは分かっている。
「アスカ姉はどうだった?」
「そうね。わたしの方はとりあえず一鳥新聞社に行ってきたわ」
「おお……。アポとかどうしたの?」
「ないわ」
「え、カチコミ?」
「ダメかしら?」
「いやぁ。アスカ姉のそういうとこ、素敵だと思うよ」
「そ、ありがとう」
ティーカップを持ち上げ、一口。ブルーベリーのフレーバーが鼻先をくすぐる。
カチコミをしたのは先週の日曜。
わたしは一鳥新聞の本社に向かっていた。丸の内北口を出ると、名だたる企業のビル群が立ち並び、そのうちの一棟に一鳥新聞も名を連ねていた。ビルに入り、受付にて魚石御月の名前を出す。知り合いが居るかを訊ねた。
「通常、門前払いだよね。利害関係の切れたフリージャーナリストなんて部外者でしょ」
紅茶をふーふーと冷ましながら覚が言う。
しかし、受付の女性に「担当の者が見つかりましたのでお呼びします。お待ちください」と応接室に通された。数分後、
「あら魚石さんの娘さん?聞いてた通りべっぴんさんねぇ」
眼鏡をかけた女性が入ってきた。
お疲れ様です。
従弟回に戻ってきました。地下東京の景色は我々の知る東京の景色とあまり遜色ありません。
地下東京を席巻するゴシキヒワの一角、一鳥を垣間見ます。
更新は一週間後、5月29日の予定です。
よろしくお願いします。
次回はまた一人、魚石御月を知る他者の話を聞けます。




