R-027.0721.1232 目的地
「先輩!到着しましたー!」
路地巡りでいよいよ目も回りそうといったところで、目的地に到着した。
「ここが?」
なんの店かも分からない店がずらりと並んでいる。
人はまばらで、それぞれ買うものを吟味していた。
治安は悪くなさそうだと感心していたところだった。
俺に気づいた人たちが急に店から離れ、店員が出てくる。
そして、次々にシャッターが下ろされた。
ガシャンガシャン!!!ガシャン!!
「マジかよ」
「あははー鮫浦先輩嫌われてますねー?」
知ってるとはいえ、こうも露骨にされると傷つくもんだが。
「いや……いいんだ。でもあそこだけ閉めてないぞ」
一瞬にして客も消え、静まり返る闇市。にもかかわらず開けっ放しの店が最奥に一軒、残っていた。
「いっ、行きましょうか」
少し声を震わせながらも歩き出す比女。
「お前勇気あるな」
カランコロンとドアベルを鳴らし、入店した。
中へと足を踏み入れると、古い家屋特有の匂いがした。埃臭いとも言うかもしれない。
店はがらくた……ではなく、骨董品を扱っていた。足の踏み場に迷うほど、物が溢れている。
秒針の折れた腕時計、欠けたガラスの文鎮、煤色に汚れた蒔絵の嗅ぎたばこ入れ、ヒビが入った瑪瑙のブローチ、一本欠けて三本足になった折り畳み式テーブル、キャップのない万年筆、焦げ跡残る皮で装幀された本。海と霄が広がる港の風景画。
ほとんどが欠陥品。がらくた同然の物ばかり。かつ、闇市の需要とはかけ離れた品々。
「これ、売れるのか?」
「鮫浦先輩ー?」
つい漏らした感想にじとーっとした目線を向けられ、注意されてしまった。
「はは、正直な感想をどうも」
奥から、顔の右半分を布で隠している女性が出てきた。
お疲れ様です。
ついに闇市に潜入、と思いきや鮫浦副隊長の面が割れているので、一軒を除いてあっというまに閉め出される構図となりました。さて、この店はなぜ閉めなかったのか。この店の持つ役割に関わっています。
まあ明らかになるかと言われればならなそうですけども。
想像するのが楽しみだとよく言いますし、わたしも思います。
更新は一週間後、5月15日の予定です。
よろしくお願いします。
次回は、恒例の意味深回です。




