R-027.0721.1203 闇市へ行こう!
「で、どこいく?」
「んーそうですねー。鮫浦先輩はなに食べたいですか?」
「なんでもいい」
「聞いたのが間違いでしたー」
とりあえずぶらぶら歩いてみる。山羊の蹄に踏み砕かれた家屋の再建が始まっていた。東京基地が主導する復興事業は、継目の采配によるものだ。
「復興進んでますねー。いなくなってしまった人は戻ってきませんが……」
都合上、死体のほとんどは一か所に集められ火葬された。険しい顔をしていても、一人として泣く者がいなかったのが印象に残っている。焼いた臭いが鼻の奥にこびりついて離れない。
眠らせた山羊は自衛隊がかっさらっていった。ヤズさんは強く抗議したが、受け入れられず。眠らせてすぐ切り落とした片角のみ、回収できていたのが不幸中の幸いとなる。泣いて喜ぶヤズさんを初めて見た日だった。その後の言及もない。少し不思議に思ったが、心に留めるに終わった。
政府も時折おかしな挙動をする。俺たちも独断で情報を集める必要性を感じ始めた今日この頃。
「鮫浦せんぱーい?聞いてますー?」
「ああ、悪い」
隣から覗き込む後輩に気づく。
「もうー、鮫浦先輩は闇市について知ってます?」
「いや。闇市?」
「最近、裏社会の人事が変わったらしくて。物資の少なさを憂いて、地下に送られるはずの物資を横流ししてるらしいですよー」
こんな田舎に裏稼業がいたとは。
「でも闇市だろ、法外な値段がついてて手が出ないんじゃないのか」
「と思いますよねー。けどどうも話が違うみたいで」
「ふーん」
「あははー気になりますよね?」
「まあ、」
「じゃ見に行きましょっか」
「え?」
「今から」
「めしは!?」
「あははー闇市で買えばいいんですよー。さっ、決まりましたね!潜入調査に行きましょー!」
昼休みが、偵察任務に早変わり。
お疲れ様です。
地上東京では死がわたしたちよりも身近です。六・八だけでなく、日常的に魔石獣の現れる地上では不慮の死の発生率が高いです。日銭を稼ぐ者たちには、埋葬を満足に行う余裕もありません。地上に住む彼らは立ち昇る煙になにを見ているのでしょうか。
更新は一週間後、5月1日の予定です。
よろしくお願いします。
次回は……まだ道中です。




