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A-018.0714.0847 暗号化の意味


「解読は、ぼくがやる」


「危険だって話は?」

「了承する」

 即答。恐れを知らぬ獣の目をしている。

「アスカ姉はさ。御月さんの仕事知ってた?」

「ジャーナリストでしょ?」

「ジャーナリストとしてなにを調べてたかは?」

「……」

 そういえば父さんは、自分のことをあまり話さなかった。

 記憶の中の父さんは、いつもわたしの話ばかり聞いていた。ずっと、嬉しそうに。

「やっぱり。きっとあえて伝えなかったんだ。御月さんの口癖は覚えてるよね?」

「ええ」

『常識こそ当てにするな』

「地下東京の常識を作っているのはゴシキヒワグループだ。国政に後押しされて地下東京のライフラインを全て担っている。支えていると彼らは言うけど、支配されてるとも言い換えられる。そこに不正がないか裏をとるために、御月さんはジャーナリストとして動いていたんだ」

「どうして知っているの?わたしは、知らないのに」

「ぼくは一番弟子いちばんでしだからね」

 さとるは得意げに胸を張る。

「まだ八歳のころかな。アスカ姉と御月さんがうちに遊びに来たことがあったでしょ。そのときに御月さんのメモがカバンの隙間から見えちゃったんだ」

 メモには当然暗号化された文字が書いてあったが、彼は読むことができたらしい。

『ひとりではない』と。直感的にね、と覚は言う。

「読んだ瞬間から脳がスパークしたみたいだったよ。すぐに御月さんに話に行ってね。そしたら」

『そのときが来たら、もっと分かるようになるよ。いつかはぼくにもまだ分からないけれど、ぼくの残す文を三人に読んでもらうことは決まっていて、つい先ほどきみは一人目になった。より多くのことを託すことになるかもしれないね』

「って言ったんだ。御月さんがいなくなって三年、まさに今がそのときなんじゃないかな」

 きとした表情だった。危険があることを忘れていないだろうか?

「あなたも、消される側の人間になる」

「それはまあ……怖いね」

「死んでほしくないわ。覚」


 静寂の中、覚と見合う。


お疲れ様です。


覚は誰の力を借りずとも、地下に対し違和感を抱く稀有な存在です。自然体で真実へと向かっていきます。魚石御月の話も出てきました。まあだからってなにもないんですけど。魚石御月の内情について言及するとしてもだいぶ先になるでしょう。


更新はいつも通り一週間後、4月10日の予定です。

よろしくお願いします。


次回で、従弟回は締めです。

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