番外編 あめの子のゆりかご4
※注意 この番外編には過激な表現が含まれています。番外編は、飛ばしても話が分からなくなるわけではないので、グロシーンなどが苦手な方は飛ばしてください。
「へえ。案外、平和主義なんだな」
「なに?」
「私が知る噂とだいぶ違うみてえだ。人身売買に手を出していると聞いてた。狩った人間を強制労働や性的搾取、最後はバラして売ってるってな。まあ噂だし、詳細を聞いて契約に移りたかったんだが」
蟻元尚から殺気が昇り立つ。
「どこでその話を聞いた?」
「怖え顔すんなよ。蟻巻くんに聞いたんだ」
「感心しないな。情報元をあっさり漏らすのも、家臣の死に心が動かないのも」
「拷問が増えるだけだろ。合理的な判断だぜ。裏社会はお人好しじゃやってけねえ」
「……もういい。減らず口も、じき静かになる」
蟻元が大男に視線を送り、ぞろぞろ家来を連れて出ていく。大きな音を立て扉が閉まった。視線が交わる。千枚通しが電球の光を反射していた。
「「……」」
一閃。暗器が喉元、薄皮一枚を裂く。傷口が熱感を持ち、粘ついた血液が滲み出した。
「いいのかよ、私に傷をつけて」
「血の色を好む買い手もいる」
「へえ。けどよぉ、私が訊いたのはそっちの心配じゃないぜ?」
大男は怪訝な表情を浮かべた直後、仰け反って吐血した。
「ガハッ」
背後から突きを喰らった大男は昏倒する。
「あーあ、危機感が足りなかったな」
じいやが立っている。手にしている木刀は『祈物』の一部だ。
「御嬢様!!」
「いい。毒は塗ってなかった」
「申し訳ございません。御嬢様に傷を許すとは一生の不覚。切腹も辞さない覚悟にございます」
深く腰を折って頭を下げた。
「このくらい構わねえよ。それよりもだ」
首に伝う血を指で拭う。
「蟻元は悪習に染まってやがった。殲滅だ」
「よろしいのですか。仁道に背いた手段を取っているとはいえ、志は近いものがあります。改悛の機会を与えることもまた、仁道でしょう」
「待てねえ。分かるだろ、じいや」
冷たく言い放つ。じいやが目を伏せた。
「承知しました」
大男の顔を木刀で粉砕する。骨を砕く音が響く。脳漿が壁まで飛び散った。
お疲れ様です。
少し過激なテーマに触れています。他国に限らず、日本も例外なく抱えている問題と考えられますが、あまりニュースでは流れません。どんな理由があるのでしょうね。
さて、今回では頼れる家臣が状況を打開してくれました。じいやが刺されたときは戦闘用の千枚通しで刺されているので、毒が塗られていましたがじいやはやられません。
昔話や伝承には数多のメチャつよおじいちゃんが登場します。事実は小説より奇なり。きっとすごい人たちがいたんだと私は信じています。
更新は通常通り一週間後、9月4日の予定です。
よろしくお願いします。
次回でこの重たい番外編は区切りです。




