番外編 あめの子のゆりかご3
※注意 この番外編には過激な表現が含まれています。番外編は、飛ばしても話が分からなくなるわけではないので、グロシーンなどが苦手な方は飛ばしてください。
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階段をゆっくり下る。
無骨な鉄の柱が支える坑道。壁を這うコードが電球に明かりを灯し、坑道を照らしていた。土の壁はむき出し。湿気に肌のベタつきを覚えながら、最後の段を下りると再び鉄扉に阻まれる。
じいやが目配せしてきた。余計な話をしてはならないという合図だ。
「使いとして参りました。桶藁です」
じいやが声を張る。鉄扉が向こう手に開いた。全身から闘気を放つ大男が出てきて、顔をしかめた。随分なご挨拶だ。
「奥へ」
先導する大男。坑道は蟻の巣のように、道がいくつも分岐していた。三度の曲がり角を数え、通されたのはソファーとテーブルだけの部屋。よれたジャケットを着たガリガリのジジィがソファーの中央で目を光らせている。スーツを着崩したやさぐれ男たちが何人も控えているのを見るに、あれが一応カシラというわけだ。
「どうもどうも。遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。あたくしがこの蟻元の当主、名を尚と申します。まさか本当にご令嬢がお越しになるとは。長女のせい子さまにもお目にかかってみたかったのですが」
いやらしい目つきで私を舐めまわすように物色する蟻元当主。
「次女の私じゃなにか問題が?」
「とんでもない。ただ……そうなると、条件に少し色をつけていただきたいですね」
「色?なんだ?私の体か?」
「ははは、ご冗談を。金額にございます」
「困ったな。これ以上は譲歩できねえって言われてんだわ。だよなあ?じいや」
後方に目をやる。じいやはうつ伏せに倒れていた。大男がじいやを見下ろしている。手に持った千枚通しがぬらりと赤く光っていた。
「もう一度申し上げます」
先程までの穏やかな声は影もなく緊張感が満ちていた。肌が泡立つ。
「金額を引き上げたい。桶藁の態度は次女を寄越してきた今、はっきりした。驕りだ。なぜ分からない?今日本は外資の急拡大を許し、草刈り場にされている」
「……」
「ゆえに、御三家を筆頭として決起革命の準備を整えるべく、水面下での結党を呼びかけているというのに、キサマらは自らの利権に執着しているらしいじゃないか」
「それで?話が長いぞ。要求を言えよ」
蟻元の眉がピクリと動いた。
「全取引き相手に対する待遇改善と、ウチの契約については三倍の金額を要求する」
「改悛だ。問題は金額ではない。態度を改めた、桶藁家の誠意を見せろ」
お疲れ様です。
怪しげな取引。物騒な蟻元さんを前に桶藁さんはどう対応するのでしょうか。
じいやー!!!
更新は一週間後、8月28日の予定です。
よろしくお願いします。
番外編はあと二話くらいです。




