5.3.三大勢力とローレスについて
■三大勢力について
この世界における三つの勢力について説明する。
○帝国
元は50の州及び連邦区からなる連邦共和制国家であり、合衆国と呼ばれていた。
広い国土と人口を誇る合衆国は当時から大きな国力を持っていたが、国内並びに周辺国家では争いが絶えず、それぞれが別々の方向を向いていた。
しかし圧倒的カリスマを持つ一人の男、初代永世大統領の出現により共和制から君主政へと移行したことで、その分散されていたその力は一方向へと束ねられてゆく。
ブレず一貫した政略、圧倒的な行動力、守りに入らず常に挑戦を続ける姿勢――フロンティアスピリット。
その精神でもって大統領は国内及び周辺諸国を瞬く間に平定。帝国という強大な国家を作り上げるに至った。
しかし帝国最後の大統領、その男の精神は未だ満たされていない。
「我々はまだ先へ行ける」「人の可能性の果てを目指して」この二つの言葉を唱え、帝国は未だ侵攻という名の挑戦を続けている。
○連合国
宇宙開発が加速し月の利権が争われ始めた頃。帝国のこれ以上の勢力拡大を避ける為に他の先進国が同盟を結び作られた共同体が連合国である。
総合的な軍事力や生産力は帝国を大きく上回るものとなっており、三大勢力の中で最大の勢力を誇っている。
しかし結局のところ多国の集合体であり、利害関係や戦略の違いなどで合意を取ることが出来ず、迅速な意思決定を行えないという欠点を有している。
帝国の大統領はこれを合議制の限界と呼び、絶対的な指導者を持たない連合国は脅威にまるで値しないと口にして憚らない。
しかし近年、力の衰え始めたラズフィアに代わりクラナダが台頭。第四世代ギアの独自開発の成功やラウンズの設立を始めとした新風を起こしている。
大統領が言う所の絶対的な指導者が表れた時、結束した連合国は帝国を上回る力を発揮するだろう。
○経済連盟
帝国と連合国という強大な二つの勢力の出現に警戒した第三国は自国の安全と権利を守る為結束。経済連盟を名乗った。
国土と人口、参加国の数においては帝国や連合国を上回る。
しかし軍事力や技術力は他の二勢力に大きく水を開けられており、『大戦』時は連合国の支援を受けなければ帝国の進行に対抗することは出来なかった。
しかし傭兵組織ローレスと同盟を結んだことでその状況は変化した。
第四世代ギアとフォートレスを所有するローレスを受け入れたことで、経済連盟は独自の戦力を得るに至ったのである。
現在、経済連盟に所属する国家は自国の軍隊の規模を縮小、或いは完全に解体。
軍事力をローレスに依存する代わりに軍備に回していた予算を技術開発や医療に回すことで、各国の文化レベルや技術力は先進国に迫りつつある。
■ローレスについて
世界最大の傭兵組織であるローレスについて説明する。
○ローレスという組織
倭国のアスモ重工が計画したプロジェクト ギアフォートレス。その被験者達が中心となって作り出した傭兵組織。
ギアパイロットを始めとした、戦場の兵士や傭兵の権利を守ることを目的とした組織である。
元々は九機のフォートレスと第四世代ギアで構成された小規模な集団だったが、経済連盟に雇われていた傭兵や経済連盟から派遣された兵士などが合流。
現在では連合国の全戦力に比肩する強大な軍事力を持つ集団となっている。
ローレスと同盟を結んだ国家に支部を設け、同盟国、或いは提携した企業からの依頼を受け傭兵を派遣する。
また、同盟国が侵略を受けた際にはその防衛の為優先的に戦力を提供する契約を交わしている。
この契約が違えられたことは未だなく、また防衛が果たせなかったこともない。
この実績こそがローレスという組織の立場を不動のものとしている。
○ローレスの支部
ローレスの支部は争いの起きやすい国境付近や、元々存在していた軍事基地に設けられることが多い。
また民間人を巻き込むことを避ける為、市街地から離れた場所に設置されることが多い。
しかし支部のある土地、或いは街は例外なく大きな発展を遂げる。
ローレスの支部にはギアやフォートレスの修理や維持を行う為の工場が設けられる。資材が集まる。資材を加工する為の小規模な工場が作られる。工場で働く技術者が集まる。
そして多くの傭兵や技術者に食事や娯楽を提供する者達が集まる。
そうして街は大きく発展してゆくのである。
技術的に他の二勢力に劣る経済連盟の人々にとって、今ではローレスの支部が作られることは歓迎されることとなっている。
その街では少なくとも仕事に困ることはなく、理不尽な暴力を受けて命を落とす危険も少ないのだから。
○ローレスの傭兵
仕事の斡旋はローレスの支部で行われる為、傭兵達は支部のある街に拠点を構えることが多い。
ローレスに所属する傭兵は基本的にその過去を問われることはない。ただし、ローレスの傭兵には幾つかのルールが存在する。
ルールを破った者は例外なくローレスから除名されることになる。
その実力だけでなくとモラルの高さもローレスの傭兵が大衆に受け入れられる要因となっている。
①裏切らない
ローレスは裏切りを決して許さない。それは依頼人に対しても、傭兵に対してもである。
虚偽の依頼を持ち込んだ依頼人に対しては然るべき代価を払わせる。
その代わりとして傭兵に対しても契約の遵守を求める。いかなる理由があれ、依頼人を裏切った傭兵はローレスから除名されるだけでなく、他のローレスの傭兵からその命を狙われることになる。
②力なきものに力を誇示しない
ローレスは力ない者を虐げることを許さない。同じ傭兵同士であれば優劣を決める為に力を競うのも良いだろうが、抗う術を持たない者に対し力を誇示し服従させるような真似は認めない。
そのような事実が明るみになれば、その傭兵はより大きな力によって潰されることになるだろう。
③略奪を行わない
依頼を受けて施設の襲撃や敵機の破壊を行ったとしても、その場にあるものや破壊した機体の装備を奪うような行為を認めていない。
略奪を行う傭兵は山賊と何も変わらないからである。
ローレスの傭兵は依頼によって動き、依頼人から報酬を受け取る。それ以外のものを奪うことはしない。
○ローレスの第四世代ギア
ローレスを設立した者達の中には第四世代ギアの設計者も含まれていた。
その者が持ち込んだ技術と設計図によって、ローレスは独自に第四世代ギアやフォートレスを生産することが可能である。
ジュノーエンジンに使われるジュノーは経済連盟から提供されたものを使用している。
そうして作られた第四世代ギアやフォートレスは功績を上げた傭兵などに貸与される。
傭兵が持つ第四世代ギアやフォートレスの殆どはローレスから貸与されたものであり、個人で所有している者は珍しい。
ローレスに所属する傭兵、或いはローレスが所有する第四世代ギアやフォートレスの設計図は支部で管理されている。
傭兵と契約している工場の技術者はこの設計図を元に第四世代ギアの修理や予備パーツの手配を行う。




