5.4.ザールスについて
■セッションの舞台
セッションの舞台としてザールス、ラーダッド、ノイデンという三つの国を紹介する。
各国はその治安に応じてセーフティシグナルが設定されており、旅行者はこのシグナルを参考に備えを行うのが一般的である。
○セーフティシグナル
全国に拠点を持つ旅行店、トラベラーズが設定した治安を表す目安。
観光目的で訪れるのならばブルーシグナルの国に留めるのがこの世界の常識となっている。
ブルーシグナル … 治安は安定しており、街中で戦闘に巻き込まれることはまずない。
イエローシグナル … 小規模な戦闘が起こる恐れがあり、荒事に巻き込まれる危険がある。
レッドシグナル … 大規模な戦闘が起こる前兆がある、或いは現在進行形で戦闘が起きている。自国への避難が推奨される。
○トラベラーズ
世界の殆どの国に拠点を持つ旅行会社。
地図の更新や旅行者向けのガイドブックの作成、行き先までの交通手段や宿泊先の手配、ガイド役など幅広いサポートを行っている。
また世界中に拠点があることから、各地の様子を撮影するカメラマンやテレビ局のレポーターなどもトラベラーズに協力を依頼することがある。
トラベラーズが発信する現地の情報は正確で真に迫っていると評判が高い。
それが理由でスパイ容疑を課せられ、トラベラーズの社員が軟禁されることも珍しくはない。
■ザールス
イエローシグナル。経済連盟所属に所属する国。
経済連盟と連合国の国境に位置しており、ローレスの影響力が特に強い。
連合国との関係は悪くなく、ザールスに在住する傭兵は連合国からの依頼を受けることも多い。
ローレスの影響力が強いこともあり、軍需産業が発達している。ギアやフォートレス、その他通常兵器が多く流通している。
また、鉱物資源に恵まれた国でもある。
大戦時にはその資源に目を付けたヴァンクールからの侵攻を受け、首都を占領されかけた過去がある。
その為ヴァンクールや、ヴァンクールから独立したラーダッドに対してあまり良い印象を持っていない者が多い。
ザールスでのPC達の拠点には、カサフスを選択するのが良いだろう。
○カサフス
ザールスで最も西に位置する大都市。連合国に所属するラーダッドと隣接しており、ローレスの支部が設置されている。
またギアを保有する傭兵が多く居を構えており、彼らの持つ兵器やギア、フォートレスを修理可能なドックも存在する。
傭兵達をターゲットにした盛り場が多く、街の雰囲気はお世辞にも良いとは言えない。
傭兵同士の喧嘩騒ぎ等も頻繁に発生する。ただし、死者が発生するような凶悪犯罪の発生率はそれほど高くない。
犯罪が明るみとなった時点で、警察機関の到着を待たず、”善意の一般市民”による鎮圧が行われるためである。
最近ではローリー商会の拠点としても知られており、ローレスではなくローリー商会との取引を目的にカサフスを訪れるものも多い。
また、アリーナによる賭試合が盛んなことでも知られている。
○ローリー商会
セリーヌ・ローリーが立ち上げた商会。トイレットペーパーからフォートレスまで、が合言葉。
通常、新しく市場に参入した企業が受け入れられるのには時間がかかる。しかしセリーヌはカサフスで長く取引をしていた会社を次々と買収することでその信頼を買い取った。
セリーヌに買収された会社は例外なく傾いていた業績を回復させその規模を拡大した。
投資家としての名が周囲に知れ渡った頃にセリーヌはそれらの会社を統合。ローリー商会とその名を変えた。
ローリー商会の取り扱う商品は謳い文句の通り。生活用品から軍事兵器まで幅広い。
今ではローリー商会は、ローレスのカサフス支部にも影響を与える大企業となっている。
○アリーナ
ギア同士の戦闘を見世物にした娯楽。戦時下にある街で、兵士達の数少ない娯楽として安価で払い下げられた第三世代ギアによる戦闘を行わせたことが始まりとされている。
ローレスはこの仕組みを、各ギアパイロットの技量の向上に繋がるとして推奨。模擬戦闘用の旧式の第三世代ギアを提供している。
ローレスの管理しているアリーナはレギュレーションやルールの設定されたもので、使用される武器も訓練用のペイント弾のため大事故に繋がるようなことはあまりない。
格闘戦も認められているが、整備士には嫌がられる。
試合は基本的に旧型の第三世代ギアで行われ、公平を期す為に機体や装備は貸し出されたものを使用するスタイルが多い。
予め設定された条件で機体を準備し、パイロットの技量を競うのである。
ローレスの管理下にないアリーナでは、規模にもよるが正規の訓練を受けたギアパイロットであればエース級として扱われるだろう。
しかし、ローレス管理下のアリーナは圧倒的にレベルが高い。現役の傭兵達が腕試しにエントリーしてくる為である。
時には第四世代ギアのパイロットが身分を隠して参加して、会場を沸かせることもある。
○依頼の傾向
ザールス政府からの依頼もなくはないが、周辺諸国や企業からの依頼が多い。
特にカサフスのローレス支部は近辺で最も規模が大きいこともあって様々な依頼が持ち込まれる。
隣国のラーダッドからは、盗賊やラーダッド解放戦線の討伐、敵国であるヴァンクールの動向調査といった依頼が持ち込まれるだろう。
またそれ以外にも護衛や物資の強奪。前線基地の警備や破壊。試作機の模擬戦相手。紛争への助力などその種類は様々だ。
規定の金が支払われるのならローレスは国家を問わずその依頼を傭兵達に提示する。
無論それらの依頼内容はクライアントとそれを受ける傭兵以外には明かさない……というのが表向きの話だ。
ただ、情報というものは必ず何処かから漏れてしまうものだ。
攻撃対象の基地がローレス支部と関係の深い国の物であるのなら、基地には”偶然”、依頼主が雇った傭兵を迎え撃つ為の戦力が用意されることがある。
依頼主もそのような事情は把握している為、そのような依頼をする場合紹介料として多額の金を払い、ローレスに依頼内容を明かさず直接傭兵と交渉するのが通例だ。
○パーソナリティ
・ハインド 「お前さんたちに任せたい依頼がある」
28歳。黒スーツの男。ローレスの仲介人。ローレスのカサフス支部エージェント。
特にラーダッドからの依頼を仲介することが多い。
愛想はないが信頼のできる仕事をすると傭兵達の間では評判が高い。
・ラッツベイン 「頂けるもの頂けりゃ、何でも何処にでもお運びしますよ」
39歳。カサフス一の運び屋と名高い男。
この男に運べない場所はないと有名。
彼自身が改造を施した装甲ヘリは高い機動性と耐久性を有している。またパイロットとしての腕も一流で、危険に対し鼻が利くと業界では評判。
基本の仕事は物資の運搬だが、中にはパイロットごとギアを運んで欲しい、といった依頼が持ち込まれることもあるという。
依頼内容によっては陽動や護衛としてカサフスの傭兵を雇うこともある。
・セリーヌ・ローリー 「貴方、私の専属にならない?」
16歳。派手なドレスで着飾り、艶めくネイルをしたその少女は一見すればパーティーにでも招かれた女学生に見える。
しかし彼女はカサフスで最大と呼ばれる規模にまで急速に成長した、ローリー商会の会長である。
派手な衣装やオーバーなアクションは全て相手を油断させるためのブラフでしかないと言われている。
彼女はその資金を用いて有望な傭兵を私兵として雇っている。
その経営手腕は何処で学んだものなのか、何故彼女は傭兵を私兵として引き入れるのか。
理由や目的を知る者は居ないが、口調や仕草から連合国の名家の令嬢ではないかと噂されている。
・ガドック 「程々にしとけよ」
42歳。酒場グッドラックのマスター。右足を失って引退したが、元は腕のいい傭兵だった。
荒くれ者達の事情を汲んでくれる為、彼の酒場はカサフスの傭兵達にとって気安い場所になっている。
がたいが良く、スキンヘッドで豊かな顎髭を生やしている。
かなりの事情通で、カサフスの傭兵に関する情報はガドックが一番詳しいのではないかと言われている。
・ギルバート 「またぶっ壊しやがったのか!」
50歳。スクラップ&ビルドの工場長。
ギアの整備工場は大手メーカーの下請けが多いが、スクラップ&ビルドは個人経営でありながらカサフスでも屈指の規模を誇っている。
フォートレスに関する知識も深く、ある程度のメンテは対応可能。工場内にソフトに強い人材が少ないのが悩みの種。
・アレット 「レトワ-ル・ユニックにようこそ! ……何だアンタか」
18歳。カサフスで最も有名な婦人用衣類専門店、エトワール・ユニックの看板娘。
母と二人で店の切り盛りをしていて、カサフスの美人親子と評判が高い。
基本的には誰に対しても愛想よく振舞うが、傭兵に対してはあまり良い感情を持っていないらしく、親しくなると素の顔が出てくる。
争いを好まない彼女が母と共にカサフスに店を構えているのには何か理由があるのだろうが、彼女は事情を口にしたがらない。




