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スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~  作者: 鳥助
第四章

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34.報告

「リマちゃん、今回もポーションをありがとう。また、よろしくね」


「はい、こちらこそお願いします」


 ミレナお姉さんとやり取りを終わらせると、店を出た。


「良かったね! リマのポーションが順調に売れて! しかも、品切れ続出だから、今後も売れる見込みがあるし!」


 すると、隣を歩いていたエルリカが嬉しそうに話しかけてきた。私の作ったポーションは品質が良く、回復量も高いというところで、《銀奏の屋根》では看板商品になっている。


 私のポーションを求めて集まってくる冒険者が多く、ついでに色々買っていく人も多いらしい。そのお陰でお店の売り上げは増えていて、ミレナお姉さんは喜んでいた。


 もし、売れなくなったら……。そんな不安は消えてしまった。


「どんどん作って、どんどん売ろう! その前に、どんどん採取もしないとね!」


「うん、そうだね。その為には明日ダンジョンにいかないといけないんだけど……」


 ポーションを作りには薬草が必要だ。その為には、ダンジョンに行く必要がある。


 昨日、初心者狩りが現れたけれど、もう対策は考えてくれたのだろうか? すでに今日、初心者狩りを捕まえてくれたりして?


「そうだ。冒険者ギルドに寄って行こう。進展があったか聞かないとね」


「それはいいね! 犯人はもう捕まっていたりして!」


 私と同じこと考えている。でも、そうなっていたら嬉しい。私たちは冒険者ギルドへと向かっていった。


 ◇


「お姉さん、こんにちは」


「あら、リマちゃん。こんにちは」


 カウンター越しにお姉さんに話しかけると、笑顔で答えてくれた。だけど、いつもの笑顔とはちょっと違う。少し暗いような気がする。


「あれから話しが進展したか、聞いてもいいですか?」


「あぁ、あの件ね……。実はね――」


 あからさまに表情を暗くすると、お姉さんは話してくれる。


「他のギルドでは初心者狩りの被害があってないっていうのよ」


「えっ?」


「だから、協力して初心者狩りの捕縛には乗り出せないって結果になって……」


 その話を聞いて、信じられない気持ちだった。他のギルドでは初心者狩りに合っていないという事実。他のギルドが解決に乗り出してくれないという事実。


「それにね、南ギルドは一番下のギルドだから……他のギルドから見下されているのよ。だから、話を聞いてもらえないのもあるかな」


「そ、そんな……」


「まぁ、切磋琢磨してギルドを盛り立てようっていうギルド間の方針から外れているから、他のギルドからは冷たい目で見られているんだけどね」


「でも! ここのお陰で、活動出来ている子はたくさんいます!」


「ふふっ、ありがとう。そういう受け皿が必要だと思ったから、緩い方針になったのよね」


 南ギルドの大きな懐のお陰で、無理なく活動が出来ている。だから、そんな南ギルドが見下されると改めて言われると胸が痛む。


「まぁ、そんな見下されたギルドの初心者が困っているって聞いて、手を差し伸べてくれる他のギルドはいないってことね。でも、安心して。南ギルド独自で動いていくから」


「それは、どういうふうにですか?」


「報奨金を出して、初心者狩りの犯人を捕まえるのよ。ここには面倒見のいい冒険者がいっぱいいるから、きっとみんな手伝ってくれると思うわ」


 もうだめかと思ったが、南ギルド独自で動いてくれるらしい。他の冒険者の手を借りれれば、初心者狩りの犯人も捕まえられそうだ。


「だから、しばらくは時間を頂戴ね。そうしたら、また安全に初心者の森で活動が出来るようになるわ。それまでは、初心者の森以外での場所で採取をして頂戴」


「分かりました、よろしくお願いします」


 私たちの事を考えて行動してくれる南ギルドには感謝しきれない。これで、初心者狩りの犯人が捕まれば、いつものように初心者の森で活動が出来るだろう。


 私は安心して、その場を離れた。


 ◇


 翌日、私たち子供冒険者は初心者の森には入らず、その手前である草原で活動をした。森に比べると魔物も薬草も少ないが、何もないよりましだ。


 みんなが懸命にお金を稼ぐが、結果は初心者の森に比べたら三分の一以下になってしまった。


「これくらいだと、ちょっと厳しいよな」


「だよね。早く、犯人が捕まらないかな……」


「きっと、大人の冒険者が捕まえてくれるって!」


 この時はみんな、すぐに犯人が捕まるものだと思っていた。だから、少ない収入でも我慢することが出来た。


 だけど、日にちが経つにつれて、気持ちが焦りだす。


「なぁ、まだ捕まらないのかな……」


「探しているみたいだけど、見つからないみたいだよ」


「本当に大丈夫かな……」


 初心者狩りの犯人は中々捕まらなかった。まるで、こちらの動きを知っているかのように、姿を見せなくなってしまった。


 もしかしたら、あの一回きりかもしれない。そんな噂が流れ出した。


 そして、一週間後――。


「初心者狩りの犯人が姿を現さなくなったわ。捕まえられなかったのは残念だけど、みんなの初心者の森行きを解禁しようと思うの」


 状況は動き出し、初心者の森行きは解禁された。みんなちょっと不安そうだったけど、初心者の森に再び行けるようになってとても嬉しそうだった。


 そう言われた翌日、私たちは初心者の森に再び行くようになった。


 だけど、まるでそれを見越していたかのように、再び初心者狩りが現れた。

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― 新着の感想 ―
うん。察した。性質が悪すぎるな。 襲ってくるなら、反撃でどうなろうと覚悟しているはずだね。 まさか、自分たちに都合よく進むと甘く考えていないよね。 ガッツリやって、関係者全員に責任を取っていただきまし…
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