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スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~  作者: 鳥助
第三章

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28.繋がり

 冒険者ギルドで会う日。私は緊張した面持ちで、通りを歩いていた。


「リマ、大丈夫? 体がカチコチになってるよ?」


「ちょっと、緊張しちゃって……」


「どうして、そうなっちゃったの?」


「どう話せばいいのか分からなくて。何か、失礼な事をしたら、避けられるんじゃないかと思って……」


「もう、リマは考えすぎ。素直な気持ちが一番だよ」


 エルリカはそう言ってくれるが、すぐに考えは改まらない。スラムでの子供たちは言わばライバルのようで、お互いに出し抜きつつ生きてきた。


 だから、同世代の子供たちと対等に話すのはあの姉妹が初めてだったのだ。それが、一気に数が増えるとなると……緊張してお腹が痛くなってきた。


「ほら、冒険者ギルドに着いたよ」


「う、うん……」


「私が代わりに喋ろうか?」


「そ、それはいい!」


 流石にエルリカには頼れない。大きな声で断ると、深呼吸をして冒険者ギルドに入った。


 ホールを見渡していると――。


「リマー!」


 名前を呼ばれて振り向いた。すると、ホールの端に子供の集団がいるのが見えた。す、凄い……十人近くいる……。


 それを見ると余計に緊張してしまうが、意を決して近づいていった。


「お、お待たせしました……」


「はい、みんな注目! この子が噂の子供一人冒険者のリマだよ!」


 な、何!? その紹介!?


 驚いていると、周りにいた子供たちは特に反応することはなかった。それどころか、納得しているように見えた。


「よくやったぞ、姉妹冒険者! 俺、前から気になってたんだ」


「おぉ……本当にパーティーに興味あるの? 姉妹が無理やりしなかった?」


「なぁ、なんで一人で冒険者やってるんだ!? 一人でも大丈夫なのか!?」


 すると、急に話しかけて体がすくんだ。みんな、目をキラキラさせて話しかけてくるから、なんて返したらいいか迷ってしまう。


「こらこら。リマが驚いているでしょ。あんまり、がっつかないでね、逃げちゃうから」


「わりぃ、わりぃ。お前たちが一人きりの子供冒険者を連れてくるって言ってたから、興味があって」


「そうそう。だって、一人で行ってるんだぜ? 自信がないと無理だろ」


 ど、どうやら……私は目立ってしまっていたようだ。でも、力が凄いってことはバレてない?


「すんげー力があるんじゃないのかって思ってた!」


「そうそう! 時々いるよね、そういう子!」


「なぁ、どんだけ強いんだ!?」


 あー、ダメだ! やっぱり、そう思われていたんだ! このままだと、利用されちゃう?


 ハラハラしていると、メイルスが間に入った。


「詮索はしちゃ駄目だって言っているじゃない。この子だって事情があるんだから。私たちにだって、それぞれ事情があるでしょ?」


「あはは、そうだったな。じゃあ、改めて……同じ南ギルドの冒険者として顔合わせ出来て嬉しいよ」


「顔を合わせたから、もう友達だよな! 困ったことがあったら、何でも相談してくれ!」


「えっ……」


 なんか、凄くあっさりしている……。もっと、試練とかあると思っていたけれど、そういうのもない?


「えっと……私って受け入れられました?」


「もう、この場にいる時点で、みんなは受け入れているよ」


「そ、そんなあっさりと!?」


「だって、会いたいってことは、協力できるって言っているようなものじゃないか」


 ……こ、これが普通? いや、スラムが特殊だったわけ? こんなにすぐに受け入れられるとは思わなかった。


 呆然としていると、メイルスが仕切ってくれる。


「まぁ、みんなにはそれぞれの事情があるけど、仲間は大歓迎なんだよ。だって、子供の力って弱いから、誰かと協力しなくちゃ生きていけない」


「誰かを頼っているけれど、その人も頼ってくれている。そんな関係を築いているんだ」


「その方が、少しは生きやすいだろう?」


 考えもしなかった。生きるために誰かを頼りにするなんて。誰も頼れないから、誰も信用できないから一人で生きてきた。


 だけど、こういう生き方があるだなんて知らなかった。もし、それに気づいていれば、私は物乞いをしなくても済んだのだろうか?


 ……いや、考えるのはよそう。昔の自分があったからこそ、今の自分がいるのだから。


 だったら、一歩を踏み出さなかったら進まない。顔をしっかり上げると、みんなを見渡した。


「あの……一人で活動するのは心細いので、時々でいいので、私をパーティーに加えてくれませんか?」


 誰かを頼るってことはまだ慣れない。だけど、これが出来なかったら、普通ではいられない。


 誰かを信じるってことを覚えなくちゃ、私はいつまでも一人のままだ。


「もちろん、いつでもいいよ」


「入りたい時になったら、いつでも入ればいいよ」


「毎日でも歓迎するぜ!」


 こんな私でも受け入れてくれる子供たちがいる。それだけで、心が温かくなって嬉しい気持ちになる。


「ようこそ、南ギルドへ!」


 一人だった生活に少しずつ人が増えていく。それだけで、私は普通の人生を歩んでいるように思えた。

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他人を利用した方が、一次的に多くの利益を得ることができる。 それは、信用信頼を切り捨て、いつか利用され捨てられる。 他者と、協力するのは利益は少ないかもしれないが、信用信頼を得ることができる。 信用信…
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