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スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~  作者: 鳥助
第二章

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14.戦闘と初報酬

「あっ、またあった!」


 草むらから少しだけ見えている薬草を発見した。近寄って掘り起こし、採取する。自分の手で入手出来て、とても嬉しい。


「これで十五本目だね。結構見つかったんじゃない?」


「うん。探索魔法で魔物を避けているから、スムーズに採取出来たよ」


 探索魔法があるお陰で、魔物がいる森の奥でも問題なく行動出来た。魔物に会わないだけで、こんなに採取が捗るなんて思わなかった。


「じゃあ、もっと探そう! そして、たくさんポーションを作るんだ」


 エルリカは張り切っているようだけど、過剰に採取すればそれだけ注目が集まってしまう。始めから目立つのは良くない。


 それに……このまま戦闘をしないで帰るのも不味い。魔物と会わずに素材採取が出来る子だと思われると、利用される可能性があるからだ。


 素材採取はこれくらいにして、ほどほどに魔物を倒して帰るのが無難だ。


「素材採取は終わり。魔物を少し倒して帰ろう」


「えー!? まだ、出来るよ?」


「最初だからそこまで頑張らなくてもいいんだよ。新人が活躍すると、注目を浴びちゃうからね。そういうのは良くない」


 私は知っている。スラムで腕っぷしの強い人が注目され、それを買われて雇われた。だけど、その先で嫉妬や過剰な期待で潰れてしまった人のことを。


 そんな人はこの世にたくさんいる。そうならないためにも、身の丈に合った活躍に留めるのが安全だ。


「今のリマだったら、めちゃくちゃ活躍するのになー」


「ふふっ、私がやりたいのは活躍じゃなくて、普通に生きることだからね」


 そう言って、歩き出した。探索魔法で魔物の位置を確認して近づいていく。すると、目の前に青いスライムが現れた。


 プルプルと震え、跳ねて移動している。見た目は可愛いけれど、やっぱりちょっと怖い。私が近づくと、スライムもこちらに気が付いて跳ねるのをやめた。


「ふー……威力を極小にして……」


 スライムに手を向ける。魔力を高めて、威力を調節する。そして、スライムが跳ねたところに――魔法を発動させた。


 小さな火が飛び出し、スライムに当たる。すると、顔位の大きさの爆発が起こった。衝撃でスライムは木にぶつかり、ゲル状の体が散らばった。


「……やった、初討伐!」


 ちゃんと討伐出来た。初めてで怖かったけど、どうにかなって良かった。ホッと胸を撫でおろすと、スライムに近づいていく。


 その体から小さな魔石を見つけると、袋に入れた。


「魔石はお金になるから、忘れずに取らないとね」


「今のリマなら百体は倒せるんじゃない?」


「そんなに倒したら、驚かれちゃうよ。ほどほどに収めようね」


 流石に新人がスライムを百体倒していくのはダメだ。基準は分からないけれど、五体前後くらいで様子を見ていこう。


「じゃあ、もう少し倒したら、冒険者ギルドに戻ろう」


 そう言って、私は探索魔法で魔物の位置を確認して歩き始めた。


 ◇


「あら、おかえりリマちゃん。早かったわね、どうしたの?」


「その、初めてだから疲れちゃって……」


「そうよね。疲れるわよね。」


 冒険者ギルドに戻ると、始めのお姉さんに話しかけた。お姉さんは何も疑うことなく話を聞いてくれている。


「魔石の買い取りお願いします」


「はい、確認するわね。……スライムの魔石が六個ね。初めてにしては頑張ったじゃない」


 あっ……六体は多かった? だ、大丈夫かな?


「リマちゃんには魔物討伐の才能があるみたいね。これからも頑張って」


 ……良かった、過剰な討伐じゃなかったみたいだ。初めての子が頑張った位の受け取り方だったんだ。


「素材は見つかった? 良ければ、買い取るわよ」


「いえ、これでポーションを作りたいんです」


「あー、そう言えばそうだったわね。その方が、きっと高く売れるわ。でも、ランクアップのポイントは少なくなるから気を付けて」


 そっか、その弊害があったんだ。素材を自分で使うんだったら、冒険者ギルドの貢献値を得られない。そうすると、ランクアップもしづらくなる。


「だから、出来るだけ冒険者ギルドに素材は渡した方がいいわ。もし、多く取ってきたら、一部を冒険者ギルドに納入するっていう手もあるわよ」


「……そうですね。検討してみます」


「えぇ、考えておいて。ランクアップは自分の身を守るためでもあるから、上げておいて損はないわよ」


 確かにお姉さんの言う通りだ。低いままだと、今後付き合う相手の印象が悪くなる。最低ランクは早めに脱した方がいいかもしれない。


「はい、これが魔石の換金ね。1200デルになるわ」


「わぁ……!」


 お姉さんが硬貨を渡してきて、目を輝かせてそれを見た。これが自分で稼いだ、初めてのお金! もう、私は物乞いじゃない。自分で働いてお金を稼げるんだ。


「ふふっ、嬉しそうね。ポーションを作れば、そのお金も入ってくるから、もっと喜ぶことになるわよ」


「はい、嬉しいです。これからも頑張ります」


「えぇ、頑張って。活躍を期待しているわ」


 お姉さんにお礼を言うと、硬貨を袋に入れてその場を後にした。嬉しくて顔がニヤケて止まらない。


「良かったね、リマ。初めての報酬は嬉しい?」


「うん!」


 今まで物乞いやゴミ漁り、ドブさらいなどでしかお金を取れなかった。だけど、これからはちゃんと働いて稼げる。


 普通の生活が見えてきているようで、心が躍った。

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― 新着の感想 ―
いい判断です。 ただ、底辺は平気で子供を食い物にしようとするので注意しよう。 子供の小遣いでも、何人か集めれば、ちょっとした金額になるからね。 調べれば、すぐにポーションを作れることがバレるから。
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