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スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~  作者: 鳥助
第二章

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13.探索

 一通り、魔法の練習を終えると森の中に入って行った。森の中は静かだけど、遠くで誰かの声がしたり、人の気配なんかもある。


 だから、なんだか怖くない。誰かがいるっていうだけで、少しの勇気を与えられているみたいだ。


「さぁ、どんどん探索しよう。箱庭の時は私が薬草が生えている場所を知っているから案内出来たけど、ここはそことは勝手が違うからね」


「そうだね。でも、だったら箱庭で薬草を見つけた方が良かったかな?」


「現実の世界は薬草を取ったら生えてくるのに時間がかかるけど、異世界迷宮と言われているダンジョンは少し違う。どうやら、一日とか数日でまた素材が生えてくるんだよね」


 凄い……ほんの数日でまた生えてくるなんて。だったら、いつ生えるか分からない箱庭の周辺より、ダンジョンで採取したほうが効率は良さそうだ。


 この初心者の森を徹底的に探索して、薬草の場所を覚えて、定期的に採取することが出来るようになれば……生活が安定するに違いない。


「とりあえず、この初心者の森に慣れないとね。その為にもたくさん歩かないと」


「その調子だよ。この森を知ることが、安定への第一歩だと思う」


 私たちはそのまま森を探索し始めた。森の中を歩き、まずは慣れる。そうして慣れていくと、今度は周りに意識を向ける。そうすると、見えてくるものがある。


「森の外側には薬草がないみたいだね」


「そうみたい。きっと誰でも入りやすいから、目についたものは全部取られちゃうんだよ」


「外側は早い者勝ちってことだね。だったら、その内側に行けば薬草が見つかるということだね」


 歩くだけが探索じゃない。ちゃんと周りの状況を確認しつつ、考察していく。そうすると、見えてくるものがある。


 やはり、人の目が付きやすい場所の薬草は取りつくされてしまう。だったら、手の付いていない内側の方で探索したほうが薬草が見つけやすいということだ。


 だけど、それには少しだけ懸念がある。


「森の奥に進むと、魔物が出てくるってお姉さんが言ってたよね」


「警戒をしながら進んだ方がいいね。そうじゃないと、リマがやられちゃう」


 魔物は奥に行けば行くほど多くなっていく。だから、薬草が欲しいと無暗に奥に入ってしまうと、魔物に襲われる可能性が高くなるってことだ。


 きっと、薬草が見つけやすい場所に行くほど、魔物が沢山出てくるのだろう。それを考えると、やっぱり怖くなる。


 だけど、ここで怖気づいていたら、稼げない。そうなると、普通の生活が出来なくなる。だから、怯えている訳にはいかない。


「そうだ。ケンジは探索魔法を使っていたから、使ってみればいいよ。そしたら、魔物の気配が分かる」


「そんな魔法があるんだ。だったら、使ってみるよ」


 これは良いことを聞いた。意識を集中させ、それらしい魔法を発動させる。すると、周囲の気配が手に取るように分かった。


「凄い……気配が分かるよ。魔物も人も判別できる」


「その魔法を発動しながら進めば、やりやすいでしょ? 薬草を探して、気配を感じたら戦闘態勢になる。これで、突然襲われることもない」


 うん、これは便利な魔法だ。周囲の気配も分って、薬草探しに集しながら動いていける。私は探索魔法を発動させながら、森の中を歩き始めた。


 歩き始めて数分。集中したお陰か、木の陰に薬草を見つけた。


「あっ、あったよ! 私、初めて見つけた!」


「良かったね、リマ」


 自分の力で初めて見つけた薬草だ。駆け寄って、そっと地面を掘り起こして採取する。


 手に薬草を持つと、自分で見つけた実感が沸いてくる。この間まで物乞いをしていたのに、今はでは立派に冒険者をしている。それがとても嬉しかった。


 物乞いだった自分でも何者になれるかもしれない。その可能性が見えてきて、心が喜んだ。


「えへへ、自分で取った初めての素材だ」


「良かったね、リマ。じゃあ、その素材は空間収納に入れておけばいいよ」


「えっ? そんな魔法があるの?」


「ケンジが重宝していた魔法だよ。どんなアイテムも入れられるし、保存もバッチリな優れものさ」


 意識をしてみると、確かにそんな魔法が見つかった。試しに発動してみると、別の空間に続くと思われる光の穴が現れた。


 そこにそっと入れると、取った薬草がちゃんと保管される感覚がした。


「この魔法凄いね……。どんなものでも保管出来るなんて……」


「そうさ! 貴重な魔法だから、重宝すると思うよ」


「えっ……」


 貴重な魔法……ということは、普通にはない魔法って事だよね。


「……あんまり使わない方がいいかな」


「えぇっ!? 使った方がいいよ! 便利だよ!」


「いや、それを知られると不味いんじゃないかな。貴重なものはそれだけ注目を集めるから、変な人に目を付けられそう……」


「でも、便利だよ。そうだ! 人前で使わなきゃいいんだよ。そうしたら、大丈夫でしょ?」


 まぁ、確かにそうだけど……。ちょっと、この魔法は使う時は気を付けよう。便利な物には罠がある。今の身の丈にあった使い方に留めておこう。


「じゃんじゃん、薬草を見つけていこう。たくさん見つけて、空間魔法に保存して、便利に行こう!」


「いや、ほどほどに……」


「リマってば、慎重だねぇ。まぁ、ケンジも便利な魔法で大変な目にあったから、強くは言えないけど……」


 やっぱり、使いどころを見極めないとダメだ。おじいさんの魔法は強くて便利だけど、おじいさんのようにならないように気を付けよう。


 私は私の使い方を見極める。

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― 新着の感想 ―
 『大変な目にあった』と知ってるなら『ガンガン使え』とか言うんじゃない。
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