↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

10話 「獣人と生業」


マーチェ、行商人である彼女は灯火を運び終えて、ホッとしていたが、デザンが2人になったことに驚愕していた。彼は両方とも彼だ。だから、こちらを困り顔で見つめてくる状況をマーチェは困惑していた。


マーチェ「その~、デザンが2人いるだけでも、私は平気だし!大丈夫!」


獣人デザン「俺はこれで、ネフィルさんに認められるのか?」


デザン「ちょっと待て!これじゃあ、不公平じゃないか?」


マーチェ「大丈夫!私の用心棒はグレッグド含めて皆んな平等だよ。私を守れれば大丈夫!」


デザン同士はお互いに握手をする。

「よろしくな。元は俺なんだ。兄弟!」


マーチェは困り顔で提案する。

「デザン…同じ名前で呼ぶと2人反応しちゃうから新しく呼び名決めない?」


デザン、デザン獣人「あーなら、俺が名前変えるか…」


2人は同じ反応をする。


マーチェ「あーなら、いっそ2人とも名前変えよ!獣の方がグレンで、元の方がグーでどう?うちの愛馬から今取った。」


デザン、デザン獣人「マーチェ様が言うなら…」


同じ反応をする2人を見て、マーチェは笑ってしまう。


マーチェ「いい?獣人になったら、感覚とか力も強くなるけど、野菜とか薬草とか、自然の植物をたくさん食べなくちゃダメだからね?グレッグドの世話をしに行くからついでにグレンとグーも来て」


素直にマーチェにデザン、いや、グレンとグーはその巨漢と牛のツノが生えた牛と人間の半分くらいの姿の獣人は郊外の仲間の元へ向かう。


ネフィルという獣人は獣人にも関わらず、剣闘士となった。彼の首刈り捌きは凄まじかった。相手も公平性に富んで、獣人の中でも腕力の強い、ネフィルのことを妬むライという人物が選ばれた。彼は巨体の虎の獣人で、甘い果実が好物であり、屋台で大金を使って豪遊していた。彼、ライは自信家で、ギークも良くできた漢だと認識している。更なる進化を求めて、2人は戦ったがネフィルという狼の獣人は首が硬過ぎてライの刃を砕いたのだ。そして、拳でライの首を落とした。ライは忽ち体が鹿やイタチ等の生き物となり、崩れ去った。これを王を非常に喜ばせ、ライの成り果てた鹿を捕らえて、錬金術師に料理させて、ギークの皿の上でそれが眠っている。

(やめてほしいなぁ…こういうの…)


そして、隣に座るのはその豪首のネフィルだ。皆口々にそう言う。そのネフィルの皿の上にも錬金術師の同じイタチが彩られて盛られている。夫婦だからと、ギークとユミは隣の席なのはいつも通りだ。


宴の時間だ。真の晩餐。


トート「我が主!アムルが使者!ソラ!エラ!イェルと共に、祝杯を賜り祀る!」


王の祝辞と共に、人々はグラスを掲げてソラとエラの降臨を目前にする。翼を広げて大きく光を放ち、神々しく降臨する天の使いである彼等は何度見ても畏怖をギークとユミは肉と同様に感じるが、皆一様に敬意を持ち、恐れずにその姿をそれぞれ称える。

ソラ「汝、我が前に帰すことを忘れることなかれ、我々とて、皆平等な存在故に心身健やかなること祈り、この度の来訪者の歓迎と粛清を持ってこの祝いを授けよう。剣闘士の勝者は来訪者を糧とし、若き慈愛に満ちた功労者たり得る女人には我が祖の赤子を任せる」


ギーク(これは通過儀礼だ。天の使い。天使は褒美として、人々を“供給する”しかし、いくら、建前とはいえ、今回のソラ様の「共鳴の荒者」の倒し方を応用して、デザンを2人にしたのは不味かったか?今回の供給された新しい人のロットの純度が高すぎる。これは俺が気づいちゃいけねーことに気づいた感覚が強いな)


勇者、いや天使は裸の女性と男性を30名ほど、彼等天使の従者に抱えながら、錬金術師に引き渡し、白いローブを着せて、天使の前に跪かせる。これがまた時間がかかり、錬金術師の手つきは年々悪くなっている。その隙にユミがギークに口の動きと夫婦の仲で長年培った音無会話をする。


ユミ(ギーク!さっきの試合の剣の振り方どうやったの?)


ギーク(ソラ様の“共鳴の荒者”を倒した時を参考に、相手の自我が別々の要素に別れるように、相手の考えと本質を違う方向に流す感覚を応用した)


ユミ(なるほど!それで、そうなって、あの顔なのね。ギークの芸当は真似できないよ~)


ギークとユミは天使と王の微細な変化に目配せしながら、かなり嫌な雰囲気を感じ取っていた。彼等は何故かいつもより眼光が鋭い。先の魔物がそこまで強かったのかもしれない。


錬金術師が、新しい“ロット”である白いローブを着せた神から授かった人間達の頭に冠を乗せて、人々の前で超常的な光をソラの翼より、彼等に浴びせる。これは人々に意思を持たせる為の儀式なのだ。彼等はギークとユミが最初にこの地に降りたった時と似たようなことをしている。が、あの夫婦はまた違う方法であの太陽の近くの惑星から“移住”してきたが、似たようなものだろう。


天より、人々を遣わすのが勇者であり、天使なのだ。そして、天使は続けて、祝杯に光の液体を滴り落とす。それは一滴だが、皆に平等に配られる。そして、人々はそれを飲み干す。これは酒よりも極上の癒しをもたらしてくれる我々の大変有意義なご馳走だ。これは植物のジュースに近いが、治癒力が段違いなのだ。


そして、錬金術師は大きな雫をもらう。それを負けた剣闘士のなれ果てに注ぐ。負けた剣闘士の、それも獣人の参加者は原型を留めていない異形になりかけて、「倒す、倒す、倒す…」などと同じ言葉しか喋れなくなる症状などもこれで忽ち回復するのだ。その声はライだ。


皆が祝杯を飲み干すと、王は宣言する。

トート「我は王都への帰路に着く。皆も祝杯への感謝を込めて、我去し頃まで賑やかに過ごせ。先の戦いを湿らせるような空気はやめ、騒げ!皆の者!感謝する!錬金術師よ!帰路の確保を用意せよ!


一つ注意がある。心して聞け!先の戦いで、戦果を挙げた“ケリュケイオン”は認められた戦士のみが与えられる。対象の盗みを働いた存在は磔にし、50年裸で路地に晒す。


対象者は戦士である、ギーク、ユミ。“共鳴の荒者”の幻覚より防ぎし栄誉を持つ獣人ネフィル及び、ネフィルが許した従者、イミュ、サンディ、サナ。以上6名である。


それでは!皆の者!祝え!神も嬉しき空気の揺れを望んでおる!」


大衆は歓声をあげた後、うるさく、酒臭く談笑した。そこで、ネフィルはギークとユミに話しかける。


ネフィル「うちの従者が失礼しました。代わりにお詫びします」


ギーク「いえいえ」


ユミ「…でも、あれはどうやったらあんな悪口言えるんですか?」


ネフィルは申し訳なさそうに微笑む。ユミは物凄くとぼけた顔で質問する。


ネフィル「イミュはまだ幼いのです。杖が人も花にできると勘違いして、杖を持ち込んだのですよ。それは不可能ですからと諭し、私は止めたのですが、幼き人の子は若木が育つように1番活発ですから。大半申し訳にくいのですが…ギークさんに興味があったみたいで…」


ユミは鬼の目つきをするが、抱きついてネフィルを睨みつける。


ギーク「え…?まさか?」


ネフィル「年が若い女性は好奇心が強いのですよ。特に大人のミステリアスな部分に惹かれる時もあるかもしれませんね」


ユミ「次はしっかり注意してくださいね?」


顔を赤くして睨みつけるユミをギークは撫でて宥める。それをネフィルは頭を掻いて会釈し、申し訳なさそうに返事をした。


「次からは強く言い聞かせておきます。それより、周りの皆さんの歓声がどこまで盛り上がるか気になりませんか?」


周りは雑多な歓声が上がる。新たな力を得た獣人が人から生まれる瞬間を人々は喜んで、活気づいていた。ネフィルの隣の人物はワニのような獣人となる。周りは随分と体温調節に困るが、力のある獣人へと変化する。皆賭け事をした時のような喜怒哀楽で染まった雰囲気が漂う。


ギークとユミは1番密かに見ている観衆より、注目を浴びているのにも気づくくらい顔を顰める。


ネフィル「では、私が先にいただきますよ?」

他の獣人になった人々は肉を裁断して、軽く植物化させてから食べるが、ネフィルは一気にイタチをその狼の口で丸呑みにする。


「おお!流石ネフィルさん!」

周囲は大いに盛り上がるが、さらに、ネフィルは翼が生える変貌を遂げる。そして、大きな歓声が上がって、錬金術師も拍手していた。


「ネフィルさん、縁起がいいですね。翼とは」

近くの獣人が褒め称える。

この世界では、翼は縁起物に近い。神の使いに翼があるからそう民衆は囃し立てるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。