7話 「祭りと奉り」
灯火、それはこの世界において、無くてはならない要素の一つだ。夜になると、人々は当たり前のように灯りをつけられる訳ではない。煮込んだ魔物のスープが必要だ。マガ鍋ともまた違う。魔物は空から振り立つ来訪者が、地上で慣れ果て、我々の大地に降り注いだ異形の断片が混ざり合い、王や神、そのような存在から賜った聖域にて、祝杯を錬金術師が頂くのだ。
「灯火の聖域」
聖域、これらは必ず、厳重に警戒された塀や、門で覆われており、採掘場である。その採掘場の材料を運搬しているのが、我々である荷下ろし屋だ。護衛に用心棒は欠かせない。魔物が襲ってくる場合は、彼等用心棒の槍で魔物を地に還さなければなければならない。
夕暮れより少し遠い時間程で、目的地の届け先が見えて来た。そこは「水の聖域」、この辺りで1番清らかな水が流れている。これを垂れ流しておく事が、この聖域の錬金術師の生業、彼等は明確に供物を怠ると溢れ出る水の量が少なくなる。そこで、用心棒であるデザンが槍を持ち、その巨体で立ち止まる。
「何だこの開けた花畑は…溢れ出る水の量がここまで流れているとは…」
そう呟く。彼の目は確かだった。清らかな水が異常なまでに植物を芽吹かせて、我々に清らかな空気を届ける様だ。
「いやー気持ちいいですねー…先日の大きな魔物の影響でしょうか?にしても、噂以上ですね」
デザンの問いかけに、商人である彼女、マーチェが青い瞳で冷笑し、朗らかに、従者?いや従馬に跨って声をかける。従馬の彼はグレッグド。目を前髪で隠す愛らしいおしゃべり上手なお馬さんだ。
「途中でこのお花!沢山食べながらいけて最高でしゅね」(モチャモチャ)」
花を早速口に放り込みながら、グレッグドは歩き続ける。
マーチェ「やはり、君は食いしん坊だね。昔から変わらないなぁ。グレッグド」
グレッグド「四つ足だと、意外と疲れ溜るものですよ?どうでふ?マーチェ様も、私と一緒に四つん這いとか?」
と従馬は悪態をつく。いつものことの様に…
マーチェ「勘弁してくれ」
とマーチェはわざとらしく嫌な顔をする。
と一行は馬車に光る液体のタンクと商品を乗せて、予定の地をグレッグドに餌をやりながら(花)進む。
予定地である集落は祭りを開催するらしい、この集落は夜の明かりを求めて我々を招いた。
ギーク「どれ、よっとぉ、ユミ!そろそろ荷馬車くるから挨拶してくるよ。夕暮れが近いし、俺の植物が泣いてるから、多分何か馬でも来た気配がする」
ギークは屋根に穴が空いた部分の下にある植物棚に目を向けて、妻に挨拶をする。今日の暇な時間を槍の仕込みと植物の手入れに使っていた。
ユミ「私も行くー」
ギーク「家に穴が空いてるのに、大丈夫?何か盗まれるかもよ?」
ユミ「私が持ってるので全部だから大丈夫だよ?」
ユミは例の杖をギークに手渡ししながら、少し膨らんだ巾着袋を見せて、悪戯に苦笑した。その姿を見て2人で笑い、ギークは答える。
ギーク「最高だよ。よし!一緒に行こ」
集落を出て、すぐのところは畑や、農地が目立つ。校外だ。郊外にはほぼ全ての集落に共通することがある。それは貧民街があることだ。貧民街は人と獣の中間にあたる存在が集落を持っている。常民街にすむ、ギークとユミはボロ屋に住んでいるが、似た様な建物が沢山貧民街には多くある。類は友を呼ぶとは違うが、ギークとユミに貧民街で比較的、手を振る者が多い。立場上、1番集落の外を護る仕事をしている2人を頼っているのだ。祭りの準備をしている錬金術師の集団が横切る。彼等も2人に会釈をして通る。彼等、錬金術師の集団は黒い装束に金色の模様が入った伝統的なデザインの車輪のマークと植物の模様が入った服を着て、通り過ぎる。ユミは「いつ見ても見た目だけ魔物より怖いね」と呟く。
あれは高級な装飾であるが故に、大事な儀式だと感じてギークはいつもの祭りとの違和感を感じざるを得なかった。
ギーク「おー!肉じゃん」
彼等、錬金術師は「水の聖域」から、いつも通り、肉料理を持っていっていたが、今回は特に豪華で陸地に近い、この集落では少し珍しい海鮮物の肉もあった。
そこで、2人の頼まれた仕事として、「歓迎の相手」は「灯火の聖域」から、「灯火の元」の運び手を祭りまで案内することだった。
2人の運び屋と、1人の用心棒と会う予定だ。
姿が見える。
「あ!あなたがギーク様ですね。よろしくお願いします」
ギーク「こちらこそ、はるばるご苦労様です。灯火を灯す場所まで、案内します。」
ユミ「妻のユミです。同じく、案内させていただきます。」
マーチェ「私は運び手のマーチェと、運び手の足、グレッグド、そして、専属の用心棒デザンです。」
マーチェに紹介された2人は丁寧にお辞儀をする。
ギーク(流石、聖域の運び手、礼儀がなってる)
彼女らの挨拶の丁寧さに逆に神経を尖らせるギークだった。めんどくさいことは彼にとって震えるほど嫌悪する事象だからである。しかし、幸い、彼ギークがそう思うことは強ち少ない。儀式が豪華だからだ。
マーチェ「こちらのグレッグドは、運び手の足ですが、灯火を灯したら、門の近くの宿に置かせて頂いても宜しいですか?」
ギークとユミの2人は苦笑しながら、了承する。儀式で貧民と化す、獣との交わりの食事を彼に見せたくないだろう。
彼等、貧民となり得る存在を常民街から、推薦され募り、祭りで剣を持って戦わさせて、首を先に斬られた方が貧民となる。幸い、人々は首を斬られても死なない。頭から、また、身体が生えてくるだけだ。そして、身体は植物などに成り果てる。剣は祭りでしか使わないため、常民街で、剣の倉庫番が、必死に用意している姿が見えた。




