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視えちゃう僕は、異世界の君と、この世界の謎を解く  作者: HiKaRi
◆第三部◆ 第一章 Blue Bird of Happiness
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70/80

予想外の再会と新たな任務

1. 

 夜空には小さな一等星だけが光っていた。僕が住んでいる星種町は『星』という文字が入っている割には、たいして感動できない夜空が広がっている。


「星、そんなにみえないね」

「さすがにこの辺りは明るすぎるからな。山奥に行けば、それなりに星は見えるだろうけど」


 夜道には一軒家や集合住宅などの明かりが漏れていた。夕飯時なのもあり、美味しそうな料理の匂いも鼻をかすめる。

 日が暮れた後は外出しなかった僕が、なぜ星を探しながら夜道を歩いているかといえば、オカルトや都市伝説好きの隼人に『ある検証』をお願いされたからだ。


「さあて。あの噂が『星種町オカルト現象No.8』に登録されるかどうか、楽しみだぜ~」

 隼人がルンルンと歩く横を僕は苦笑いしながらついていく。


 あの噂。それは、ここ最近になって聞かれるようになった話で、ある集合住宅の窓辺に、夜になるといつも星を見ている女性が現れるというものだった。


「単に女性が星を見ているだけなんだろう?どうしてそれを僕が検証する必要がある?」

「それはな。その女性が立ち尽くしたまま、動かないって話だからだ」

「え……、動かない?」


「『星を見る女性』っていう都市伝説を知ってるか?」

「知らないよ」


「ある男性が夜遅くに帰宅する途中、マンションの窓際で女性が空を見上げていることに気付くんだ。そして、それは毎日続く。星を見上げるその女性にいつしか恋心を抱いた男性は、女性に会いに行こうと決意した。女性が住んでいるマンションの部屋に着くと、何故かドアの鍵が開いていた。男性が中を覗くと、その女性は首をつって自殺していたっという話だよ」


「え……。ま、まさか、それを確かめに行くの?」

「そういうこと。まずはそれが生身の人間かどうかを、結人に確認してもらってだな」


「……え、えっと。帰りたくなってきた」

「ここまで来たんだから、そうはさせないぜ」


 隼人にガシっと腕を組まれる。そんな物騒な検証だったなんて聞かされていなかった。僕の抵抗は隼人のたくましい腕の力の前では虚しく、結局その現場へと連行される羽目になってしまった。


 * 


「あ、きっとアレだ。ほら、あのベランダのところ」

「ベランダ?」


 僕は隼人に指さされた場所に視線を向ける。集合住宅のベランダに確かに女性の人影が見えた。とはいえパッと見た感じ、女性が単に空を見上げているようにしか見えない。


「確かに女性はいるけど、やっぱり単に星を見ているだけじゃない?」

 その女性の姿は暗くてハッキリとは見えないが長い髪であることは分かる。


 あまりジロジロと見続けるのもいけないような気がして、視線を反らそうとした瞬間、僕は息が止まって、目を大きく見開いた。


 その女性の人影が突然、そのベランダの柵から身体を大きく身を乗り出し、空へと舞うように、落ちていったからだ。


「え……。と、飛び降りた!?」

「は?なにを言ってるんだ?」


 隼人はぽけっとしているが、僕は今見えた光景に居ても立っても居られなくなった。その女性が落ちていった下へと走り出す。


「ゆ、結人!待てって!」


 呼び止める隼人の言葉が聞こえないほどに、僕はとても動揺していた。もし、見えた光景が本当だったとしたら、見たくはないけれど、そこに……。


 だけど、ベランダの真下までたどり着くと、そこには女性の姿はなく、代わりにしゃがみこんだ男性がひとり、そこに居た。


「……あの。女性がここに」


 僕がその男性に声を掛けながら近づいていったけれど、その男性はまるで反応しない。その男性がその場からスクっと立ち上がったかと思ったら、こちらにバッと振り返った。

 僕は別の意味で驚いて、その場で身体が固まった。


「と、父さん?」


 父と目が合ったと思ったのは一瞬で、父は僕に気付かないまま、勢いよく僕の身体をすり抜けていった。慌てて振り返り、父の後を追おうとしたけれど、その背中が見えたと思った瞬間には、その先にあった建物の壁へと姿を消してしまっていた。


「結人。どうしたんだよ!」

 駆け寄ってきた隼人が呆然としている僕に話しかけてくる。


「父さんが居たんだ」

「は?父さん?」


「そういえば彼女は?飛び降りた彼女はどこに?」

「飛び降りたって何だよ。彼女はベランダにいるぜ」

「え?」


 下から集合住宅を見上げると、こちらを不思議そうに見ている女性と目が合った。目が合った女性は気まずそうに、ベランダから姿を消す。


「あ……、行っちゃった。彼女、動いていたな。っつーことは、都市伝説認定不可かな」


僕に起きたことを知らない隼人は気楽な声で、そう決断する。だけど僕の目に映った光景は、まったくもって不可認定にはならなかった。



2.

 僕が味わった不可思議な出来事への興奮が冷めないうちに、『CWC(クロスカ)解決室』のメンバーが辻村家に召集された。召集の通知は人それぞれだった。


「スマホに通知が来たんだけどさ。俺が読んだ後、その通知は勝手に消えちゃってよ。なんで消しちゃったのかね。結人たちに確認しなかったら、時間を間違えたかもしれないぜ?」


「テルのことだから、隼人がイケナイことに使わないように消したんじゃない?その辺、抜かりないから」


「ちぇ、なんだよそれ。宇宙からの通知なんて貴重だから、分析しようと思ってたのに」

「ほら、そういうとこよ」


 隼人と恵利華にはスマホに連絡が来たが、スマホを持っていない他の3人は伝言だった。ここなは来條経由で家族から。しずくは直に来條から。僕は母からだ。


「学校がない時間帯で良かったです。ちょうど空いていたタイミングでした」


「そうなんだ。私は予定があったんだけど、向こうからキャンセルになって、空いたんだ。だから私から謝らないといけないことにならなくて、本当に良かったよぉ」


 ここなが呑気に微笑む。僕は内心、これはテルが裏工作しているに違いないと確信するが、敢えて言わないでおくことにした。


 テルから僕たち5人に正式に『CWC(クロスカ)』の対策をお願いしたいと依頼され、こうしてメンバーが集められたのは、今回が初めてだ。


「おーし、みんな集まってるなあー」


 声が先に聞こえてきて、テルがリビングから見える階段から、飄々とした笑顔で降りてくる。ここ最近の登場ルートは2階からの階段がお好みらしい。突然目の前に出現するのも困ってしまうが、普通に玄関から来てもいいとは思うのだけど……。


「こうして集まってもらったのはもちろん、お前たちにやってもらいたいことができたからだ」


 リビングのソファに僕たちが座ると、改めてテルは、5人の視線が集めたところで言い放つ。


「今回の任務は、『青い鳥を探せ』だ」

「青い鳥を探す!?」


第三部の更新開始します。

引き続き、読んでくださり嬉しいです。

ぜひ、感想・評価をお願いします!


続きの公開は明日17時を予定しております。

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