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視えちゃう僕は、異世界の君と、この世界の謎を解く  作者: HiKaRi
◆第一部◆ 第三章  Psychic Ability
19/20

神社の門と僕らの関係


 僕はそれがすぐにここなのことだと分かった。

 何故、恵利華がここなのことを知っているのだろう。恵利華にここなを紹介していない。


「ここなちゃんのことか?」

「ふーん、あの子、ここなっていうんだ」


「いつあった?」

「こうすれば分かる?」


 すると恵利華は黒いパーカーのフードを深く被って、僕にニヤリと笑って見せた。その姿がここなと受けたあの占い師の姿と重なる。


「あの占い師……、恵利華だったんだ」

「占い師?」


「こないだここなと出掛けた時、ここなが占いを受けたいって言って。その占い師が恵利華だったらしい」


 あれが恵利華だったことにまるで気付かなかった。

ここなを見て、誰も気付いていないことを指摘されたから怖くなって逃げたくらいだ。

恵利華はここなの放つ色を見たということだったのか。


「それであの時、ここながこの世界の人じゃないって言ったんだ」


「そうよ。あの子だけ明らかに色が違う。私や隼人、私が知っている人みんな大概、寒色系の色を纏っているの。だけどあの子だけ暖色系。私、たぶん、あの子のせいで、ミスったのよ」


「ここなのせいで?」


「隼人が神社の門の前に居た時、私は確かにあの子と同じ色を見たの。だけどあの時、あの子の姿は見えなかった。色だけが見えたの。だから気付かなかった。隼人の色があの子の色だと勘違いして、門を開けてしまったの」


 隼人があの門を抜けてしまったあの日、ここなはもしかしたら、ここなの世界の神社に居たのかもしれない。


あの神社の境内の中はここなの見え方が他の場所と違ってくっきり見えたり、二人の世界の共通点が他の場所よりも多かったりと特殊な面がある。

恵利華にとっても、想定しない自体が起きたのだろう。


「あの門の先に、隼人を通しては行けなかったと後から知らされた。私は色を見間違えたんだとも言われた。でも私は確かにあの色を見たから納得できていなかったの。


そしたら、こないだあの子に会った。あの色は間違いなく、あの子だった。あの子、本当に何者なの?」


 恵利華が興奮気味に僕に問う。だけど僕は不思議だった。

門番なのに、そしてここながこの世界の人ではないことは分かるのに、ここなが何者なのかは分からないなんて。


「恵利華は、あの門の先に入ったことはないのか?」


「門の先のことなんて、私、まったく知らないわ。門番のくせに滑稽でしょう。自分ではあの門をくぐりぬけることができないなんて。ただあの門を守り、色を見て通すだけの役割。あの門の鍵は存在しなくて、私の存在自体が鍵。私はそれしか教えられてない。門番なんて、本当は嫌なの!」


 恵利華はまくし立てる。恵利華は自分に与えられた役目をよく思っていないようだ。

その気持ちは理解できた。僕も周りの皆と違う自分の体質を嫌だと思ったことはよくあった。


「それで。あの門を超えた先には、何があるのよ?」

「門を超えた先を進むと、僕たちが住んでいる世界とはまるで違う別の世界に行く」


「別世界?」

「僕たちが見えている世界とは見た目が違う。ここなが住んでいる世界があるんだ」


 隼人が、ざっくりとだが見てきたここなの世界について、恵利華に説明してくれる。


「へぇ、私は勝手に、あの先は天国なのかなって思っていたけど、そうじゃないのね。実際に生きている人が住んでいる世界に繋がっているんだ。私が門を間違って開けちゃったから、隼人はその世界を見てきたわけね」


「ああ。それで結人が俺を迎えに来てくれた」

「そうらしいわね」

「そうらしい?僕をあの門を通したのは、恵利華じゃないのか?」


 僕も隼人を探しに行った時は、あの門を通ったはずだ。その時、鍵は開いていた。恵利華が鍵なら、鍵を開けたのは恵利華かと思ったのに。


「言ったじゃない。結人はあの門を自由に通る資格があるって。私が門を開けたのは、隼人の時の一回だけよ。それ以外は開けていないわ」


 あの門を自由に通る資格。それを僕が持っている意味がよく分からない。


「何のために、僕にはそんな資格がある?」


「は!?知らないわよ!それは私が聞きたいわ!『門番』は私なのよ。それなのに、私に関係なく自由にあの門を通れる人が居るってどういうことよ!

それを聞いた時、自分の存在がバカバカしく感じたの。とても空しくなって、むかついた。だから、あなたに会いに行った」


 恵利華と初めて会った時のことを思い出す。今にしても、あの時にしても、僕に対する強い当たりはそのせいだったのかと知る。


「それに、その結人と一緒に居たここなって子。この世界の人じゃないとして、私、その子も門を通したことがないの。それなのに、どうしてこっちの世界に居るのよ?」


「ここなが初めて、こっちの世界に来た時は、こっちの世界の門じゃなく、ここなの世界の白い門を通ってきたんだ。こっちの世界に恵利華のような門番が居るのだとしたら、ここなの世界の白い門にも門番が居るのかもしれない。だからそっちの門番が通したのかもしれない。

帰りは門を通ってない。あの門以外にも、世界を行き来できる場所があるんだ」


「なにそれ!」


「結人、どうせなら、お前の不思議な力についても、恵利華に説明した方がいいんじゃないか?」

「そうだね」


 今度は僕が、産まれてからこれまでの経緯について、恵利華に説明する番になる。


「ふーん。だから、結人は資格があるっていうことに繋がるのかしらね。結人の色が変なのも、そのあたりが関係してるのね」


「変って?」

「結人は外側に纏っている色がないのよ」


「色がない?」

「そう。オーラが透明なの」


 隼人と恵利華のオーラは寒色系。ここなは暖色系。僕は透明ということなのか。透明だから、あの神社の門を自由に通れる資格があるっていうことなのだろうか?


「僕にその資格があるって言ったのは誰なんだ?」


 そう尋ねながら、それが誰に繋がるのかを僕は分かっていた。恵利華との会話の中で、名前は出てこないけれど、明らかに第三者がずっと裏に居るの感じていた。


「テルよ」

「やっぱり、そうなんだ。テルは恵利華の能力や門番のことを知っているんだね?」


「そうよ。祖母が亡くなって、『門番』について誰も話せる人が居なくなった時、テルが現れたの。それからはずっと、私の監視役みたいな感じ」


「監視役って、なんか嫌な響きじゃないか?」

 隼人が眉間にしわを寄せながら言う。


「だって、本当にそうなんだもの。私が結人に会いに行った時だって、電話をかけてきて、話すなって言ってきたり、今日だって、話していいって逆に許可されたりとか」


 恵利華との会話の中でずっと裏に居る第三者、テル。

この家の玄関で恵利華の元に届いたスマホの通知。それと僕らと話す前に許可を取るかのような言い方をしていた恵利華。

あれらは皆、テル宛の言葉だったということだ。


「テルはこの家に居るのか?」

「居ないわ」


「居ない?じゃあ、どこから恵利華を監視してる?」


「知らない。私、会ったことないの。いつも向こうから、タイミングよく、スマホに連絡が入ってくる。こっちからは繋がらない。まぁ、問いかければ、スマホに返事がくるけどね。それこそ、結人。あんたの力でテルの姿は見えたりしないの?」


「え?」

「私たちに見えない存在が見えるんでしょう?」


 僕はそう言われて、改めて家の中を見回した。


僕が見える範囲では、僕ら以外に姿は見えない。

僕はふぅと一度息を吐き、目を閉じて気配を探ってみることにした。僕ら以外に誰が居るかを確認する。


お手伝いさんが居るのは分かる。それ以外に誰か居るか意識を向けた時、一瞬だけ今まで感じたことのない気配が居ると感じた。

が、その瞬間、その気配はすぐに消えた。


「え?なんだろう今の」

「どうかしたのか?」


「一瞬、誰か居たような気配はしたんだけど、すぐに消えた」

「消えた?」


 その時、聞いたことのある軽快な音が一回、鳴った。その音はさっき聞いたものだったから、すぐに恵利華のスマホからだと分かった。


「あ、テルから通知来た」

「お、すげータイミング」

「テルはなんて?」


「『私を探さなくてもいい。そのうち、君たちの前に顔を出す』だって」


「うわぁ、まじで監視されてる。俺、鳥肌立った」


 隼人が引きつった顔で言う。だけど、僕はテルから送られてきた内容に期待を抱いた。


父の友人かもしれないテル。そしてそのテルはどう考えても普通の人じゃない。


そのテルが本当に僕たちの前に現れてくれるなら、僕たちの身に起きている数々の不思議や父の行方、その全てが明らかになるのではないかと思ったからだ。


 * * *


 恵利華の玄関から外に出ると、もうだいぶ日が暮れていた。夕暮れの日本家屋は風情があった。

恵利華が玄関まで見送りに来てくれる。その態度からして、僕たちは距離を縮めることができたのだろう。


「話を聞かせてくれてありがとう」


 恵利華に礼を言い、玄関から離れようとすると、「あ、そうだ」と隼人は足を止め、恵利華に振り返った。


「なぁ、恵利華。俺たち、こうして知り合えたわけだしさ。今度の課外授業、一緒に参加しないか?担任には俺《《たち》》と一緒の班になれるように相談してみるよ。


 クラスの連中、確かにアクが強い奴らが多いけどさ。仲良くなってみると、結構いい奴ばかりだぜ」


 隼人が恵利華から、僕に目を移す。


「恵利華に限らず、結人、お前もだけどさ。

 クラスの奴らともっと会話してみろよ。お前らが持ってる不思議な能力のせいで、トラブルになったとしても、俺がフォローしてやるからよ。その代わり、お前たちも歩み寄れ。な!」


 隼人にそう言われ、僕と恵利華は顔を見合わせる。

隼人はこれまで、僕が学校のイベントに参加したことがないのは知っているはずだ。

そして今回、課外授業に行くかどうかを迷っているということも分かっていたのだろう。


 隼人の言葉で、躊躇っていた思いが軽くなった気がした。そして僕は今、課外授業に行くことを決心する。


「ああ、分かった。隼人」


 僕と隼人は笑い合った。そして今度は二人で恵利華を見る。


挿絵(By みてみん)


「……考えとく」

 恵利華は恥ずかしそうに目を伏せ、そして小さくそう答えた。


引き続き、ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。


能力のせいで、クラスメイトとの関わりを避けてきた結人と恵利華。

隼人の言葉に、一歩踏み出そうと決めました。

二人のこれからの成長を応援してください。


そして、恵利華を監視しているテル。

テルとは、いったいどんな人物なのか!


次回の更新は明日12時30分の予定です。

ぜひ、感想、コメントください!

皆さまの応援がとっても励みになります!

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