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視えちゃう僕は、異世界の君と、この世界の謎を解く  作者: HiKaRi
◆第一部◆ 第二章 Spirited Away
10/20

かけがえのない友と挑む謎

「この二つの世界って、共通する場所があったりしないか?」

「共通する場所?」


「ほら、神社の位置とか、海や川の位置とか。あと、そうここも!この滝、俺が知っている滝と似ているんだ」

「そうなのか?」


「ああ、間違いない。自主トレでジョギングする時に、俺はいつも自宅から河川敷を走って、この滝まで来るんだよ。だから川沿いの景色とかはよく覚えていてさ。神社の位置とか、海の位置とか、同じなんだよな。


それで俺の自宅があるはずの場所にも行ってみたけどよ。そこは畑や田んぼで、俺の家は無くなってた。だから昔に遡ったのかとか、近未来な建物があるから、逆に一度世界が滅んでその後の時代に来たのかなっとか。まぁ、タイムスリップを想像していたわけだよ。


だけど、結人の話を聞くと、結人とここなちゃんの世界が同時に存在するってことだから、並行世界って感じか?」


「並行世界?」

「そ!でも並行世界の場合、住んでいる人は同じなんだよな。細かく言うと、ちょっと違うんだよな」


 隼人がこの世界について分析していたことに驚いた。そして異様に詳しい。ここなにも隼人が話したことを説明すると、ほぉと関心していた。


「隼人って、こういうの詳しいんだね」

「だてに不思議な事を調べてないぜ、俺?」

「あはは」


 その発言が僕との関係性の中で生まれ、積み重ねられたものなのだと思うと、どこかくすぐったくも感じる。


「まぁ、それでこの滝は俺がいつも行く滝と景色が似ていたから、気持ち的にもちょっと安心感があってよ。近くに果樹園もあって、食べ物にも困らなかったから、ここを拠点にして、過ごしていたってことよ」


「なるほど」

「しかし、どうやって俺がここに居るって分かったんだ」

「気配を探ってきたんだ」

「気配?」


「ほら、学校で耳を澄ますと聞こえるだろう。廊下を走る音とか、窓の外の車の音とか」

「そりゃ聞こえるけどよぉ、そうはいったって、遠くの音まで聞こえないだろう?」


「そうだよね。それがここの世界は不思議で。隼人の気配だけは、どんなに遠くても感じ取れたんだ。なんでかは分かんないけど。クラスの教室にいる時は、西館2階の範囲くらいしか、気配を探れないのに」


「へ?西館2階全体の気配を探れるのか?」

「え?西館の各教室にどれくらい生徒が居るのかとかも分かるよ」


「えぇぇ!結人、それもお前の特殊能力かもよ。俺が気配を感じ取ってみたとして、出来ても隣の教室くらいまでじゃないか?それにさすがに人数までは分からないだろう」

「そうなの!?」


 僕は生まれた時からそうだったから、皆もそうだと思っていた。

見えないものが視えるは明らかに周囲の反応のせいで僕だけだと気付いた。だけど、これも僕の特異体質だったとは……。


「いいな、俺も鍛えたら、そこまで気配感じられるようになるかなぁ」


 隼人がふぅと深呼吸をして、目を閉じて、気配を感じようと試みる。

僕がそれを笑ってみていると、


「おい、向こうから、誰か来るぞ」

 隼人が目を閉じながら、そう言った。


「え?」


 歩いてきた果樹園の方向に目を向けると、確かに誰かが歩いてくるのが見えた。青い作業着を着ている中年くらいの男性だった。


「こんな異世界で作業着のおっさん。まさか、時空のおっさんじゃないか?」


 その男性の姿を確認した隼人は、つかさずそう言う。


「時空のおっさん?ここなには見える?」

「え?誰か来たの?私には見えないよ」

「ここなには見えないのか」

「じゃあ、俺たちだけってこと?じゃあ、なおさらじゃないか?」


 その男性は僕たちと目が合うと、ぐっとキツイ視線をこちらに向けて、すごい勢いで近づいてきた。睨みを利かせた目がぎょっと開く。その顔は恐ろしい以外のなにものでもない。体の毛が逆立つほどにぞっとする。


「お前たち!こんなところで何をしている!」

 男性はすごい権幕で、怒鳴りつけた。


「ダメじゃないか!早く家に帰りなさい!」

「……か、帰れって言われても……」


 隼人が男性の剣幕にタジタジになっていた。


「君、そこの女の子にも、家に帰るように伝えなさい!」

 男性がここなを指さして、僕に指示する。


「……は、はい!……こ、ここな。家に帰るように伝えろって。おじさんが言ってる」


 上擦った声で、僕はなんとかここなに伝える。


「え?家に帰るように?もしかして、お迎えが来たの?」


 男性が見えないここなは、一人ぽかんとした。緊迫感は伝わらず、腑抜けている。


「お迎えってコレが?」


 僕がそう言った瞬間、目の前が真っ白になり、その場で平衡感覚を失った。ふらっとしゃがみ込む。


白い光の眩しさに包まれていた。その光が薄れて目を開けると、僕は砂利の引かれた道の上にしゃがみこんでいた。隣を見ると隼人が居る。


顔を上げ、周囲を見渡すと、そこには見慣れた木造の神社があった。後ろを振り返る。木造の開かずの門がそびえたっていた。


「隼人!」

「お、おぉ?なんか急に真っ白になったな、ちょっと眩暈もした」


「周り見てみろ」

「ん?」


 隼人が顔をあげ、周囲を見て驚いた後、苦笑いする。


「やっべぇ、本当にアイツ、時空のおっさんじゃないか。異世界から連れ戻しに来るってやつ。ガチで怖かったな、あの剣幕」


 隼人がまだその名残が残っているようで、隼人には似合わない怯えた顔をしていた。


「あはは。本当に怖かった……」


 僕もその感じた恐怖を吐き出す。

そして、僕らはお互いに顔を見合った。二人同時に笑い転げる。恐怖と帰ってこれた嬉しさも相まって、その笑いはしばらく止まらなかった。



3.

「なぁなぁ、結人ぉ」

「なんだよ……」


 期待に溢れる隼人の表情に、僕はたじろぐ。きっと厄介ごとだ。そうに違いない。


「異世界に迷い込む、つまりは神隠し!その真相を共に暴こう!」

 やっぱりだ。そうやってすぐ首を突っ込みたがるのが隼人なのだと僕は掴んだ。


「また迷い込んだら、どうするんだよ」

「大丈夫だって!また時空のおっさんが来てくれるだろう!」

「そんな安易な……」


 行方不明の当事者であったことを忘れさせるくらいに、隼人は普通に登校を再開した。そしてさっそくもう、こんな調子だ。


「また俺みたいに訳が分からず、神隠しにあってしまう奴が居たら気の毒だろう。そんな危険な問題を知っていながら、結人は見逃すことができるのか?」


 ニヤリとした目が僕の心をつついてくる。隼人は、僕の性格を理解している。そうやって正当さを向けられると、断りづらくなることを。


前回、しずくの本が消えた図書コーナーの一件は、思い付きで段ボールの棚を動かしたら、同じ現象が起きなくなった。もう本が他の世界に迷い込むことはない。


だけど、神隠しの原因は神道神社そのものである可能性が高い。神道神社自体を取り除くことはできないから、図書コーナーのように簡単にはいかないだろう。だけど…。


「俺がどうして迷い込んだのか調べようぜ!な!」

 隼人の圧に僕は押される。


 あの神道神社の門の秘密と、二つの世界の存在。それを身を持って体感してしまったから、知らない振りはできなかった。


「……わ、分かった」


「よし!そうこなくっちゃ!」


 僕は相変わらず、隼人の強引な誘いを断ることはできない。


そして僕たちの『星種町オカルト現象№2神道神社の神隠し』の調査が始動する。いや、そんな言い回しを使い始めたのは隼人だ。断じて僕ではない。


「隼人はどういう経緯で、ここなの世界に転移したんだ?」




引き続き、ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。


今回は、ちょっと文字数少なめでしょうか?

もっと文字数あっても読めるよっとか、

何時投稿が良いなっとか。

小説以外の感想もお気軽に、皆様の声が励みになります!


続きは今のところ、明日12時30分更新予定です。

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