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パリィタンクが往く、リーヴラシル・フロントライン  作者: ゼノ
空を見上げ叡智を知り、地を見て深淵を知る。
21/68

ゲテモノキメラVSパリィタンク&エンチャント剣士

最後の一撃は、切ない。そんな経験、皆さんもあるかと思います。

 対面するゲテモノキメラことコカウロスは、石化光線を放ってくるわけでも、猛毒を使ってくるわけでもない。単純なフィジカルで敵を蹂躙する巨大な鶏だ。魅惑のモフモフ羽毛ボディの中は、引き締まった密度ある筋肉になっているに違いない。


「よっしゃ来いよ! 全部弾いてやる!」


 ボスモンスターが現れたからなのか、アルミラージやタックルボアの姿が見えない。こいつを倒せば調査クエスト第一段階が終了します、という節目だからだろうか。

 相手のレベルは60。他のモンスターと同じとはいえ、スペックは雑魚よりも跳ね上がっていると考えていいだろう。初見殺しの要素はあまり見受けられないが、一撃で俺が死ぬことは間違いないだろう。鶏の姿をした中型トラックみたいだ。


「で、どう倒すよ」


「あなたが弾いて、私とあなたで削る。分かりやすいでしょ?」


「分かりやすい回答をありがとう、っと!!」


 四本足で迫り来るコカウロスをパリングカウンターで迎撃。ああ、重いな。だが、こいつもカリュドーンよりは重くない!!


「グギュッ!?」


「弾かれたのは初めてか!? ついでにこれも喰らいな!!」


 呪毒の槍に青い燐光が纏わり付き、超高速で放たれるソニックランス。パリィ直後の攻撃なので、クリティカル発生。同時に毒の蓄積も行える。雑魚ならこれで毒になったが、やはりボスには何回も攻撃を与えないと毒状態にできないらしい。

 俺一人なら毒状態になるまで粘る選択肢も選んだのだが、今回は一人じゃないのだ。


「『星火(せいか)降り止み、氷星(ひょうせい)浮かぶ』」


 ん? 聞いたことない詠唱だ。聖火と、なんだって? ひょうせい? せい……せい……ああ、星? てことは、聖火じゃなくて、星の火? 隕石か何か?


「『反発せよ、順応せよ。天球、星の力、刃に宿れ』」


 コカウロスを切り刻みながら紡がれる詠唱は魔法っぽいけど、詠唱は呪術っぽい。天球、星の力……魔法は星のエネルギー的な扱いなのだろうか。


 ソフィアと一緒にコカウロスを攻撃している間に、詠唱は完成。彼女のシミターに炎と氷が纏わりついた。文字みたいなエフェクトはないが、どこか神秘的な気配が漂うエンチャントは、恐らく魔法属性のエンチャントだ。


「《閃陣万雷独楽》!」


「お、おおおおお!?」


 直後、凄い勢いで加速したソフィアが、四方八方縦横無尽に動き回り、コカウロスの全身を切り刻む。関節や首など、生物にとっての弱点を突き続けているため、その全てがクリティカル判定。エンチャントの利便性とか変態性ばかり見がちだけど、高速戦闘こそがソフィアが最も得意とする戦闘スタイルである。芋デスで、その動きを見切ることができずに何度もやられた。


「負けてられねぇよなぁ!!」


 苦し紛れにコカウロスが放つ連続啄みと蹴りを、スキル無しのパリィとバーストステップであしらい、がら空きになった顔面にスパイラルスタブを叩き込む。

 ガリ、ガリガリガリガリガリ!! とドリルのようにコカウロスの顔面を掘削する度に、毒のエフェクトが迸る。これだけ殴っても毒状態にならないのはちょっとショックだが、強化すれば毒の蓄積量とかも増えていくだろうし、今後に期待だ。欲を言えば、古草原の槍の効果を取り戻したい。敏捷がクリティカル威力に反映されるのは神過ぎる。


「グギュルルルルッルウ!!」


 草原の主の矜持か、怒りの形相で暴れ始めるコカウロス。暴力の嵐が俺達を襲うが、雑な攻撃など、様々なゲームで培ってきたプレイヤースキルで難なく避けることができる。


 蹴りを弾き飛ばし、嘴を殴ってクリティカルを出しやすいようにソフィアの動きをサポートする。さらに、コカウロスの動きを挑発したりすることで誘導。やることが! やることが多い! 強敵との戦闘も、仲間との共闘も、その仲間をサポートするのも楽しい! ああ、ゲームを楽しんでいるという実感がある!!


 ソニックランスがリキャストを終えて起き上がったのを確認した俺は、ソニックランスの挙動を体験してやってみたかったことをやってみようと思い付く。


「助走をつけてぇえええええ―――――」


 バーストステップで三回後退。コカウロスから大体15メートル程度離れたところで、最後の一回でスタートダッシュを決めて、全力疾走。弾き続けたお蔭で発動していたエンデュアーアジリティも合わさり、凄まじい速度が乗ったダッシュは制御が難しいが、直線状にいるなら、あとはぶつかるだけだ。


「《ソニックランス》!」


 高速の突きであるソニックランスだが、突進技の片鱗を感じることがあったのだ。なんというか……加速を乗せると威力が増しそうな、そんな気配があった。スパイラルスタブは立ち止まって突きを放つのに、ソニックランスは踏み込みが発生する。

 ということは――――速度が乗った状態で発動すれば、慣性が乗って威力が上がるのではないかと思ったのだ。その予想は的中。さっきまで見ていたソニックランスよりも派手で、重厚なエフェクトが発生した。


「っしゃあ、的中! なんか嬉しい!」


「よく思い付くわねぇ、そういうの」


「隠しステータスとか探るの、大好きなんだよ!」


「ゲーマーの性なのかしらね、そういうのって」


 ソフィアと雑談を交えながら、コカウロスを殴り続けていると、突然、奴の体が硬直して倒れる。

 倒れたコカウロスは一鳴きして、爆散。ポリゴンの雨を降らせた。


「……終わった」


「最後の一撃は、切なかったわね」


「小突いただけで死んだ……」


 ボスの死に様がこんなのでいいのかよぉ!!

 調査クエストの第一段階が終了したことを告げるアナウンスを聞きながら、そんなことを考える。たまにあるよな、こう……白熱した戦いを繰り広げてたら、地味な一撃で相手が倒れてしまって不完全燃焼っぽくなるのって。色んなゲームでたまによくある現象だ。


「ま、まあいいや……リザルトを――――って、うおおおおお!!?」


 凄い勢いで経験値が蓄積されていく!? レベル60モンスターと戦い続けていたから当然っちゃ当然なのだろうが、凄い勢いで経験値が入っていく感じはちょっと気持ち悪いというか、なんというか……嬉しいよりもちょっと引く気持ちが先行する。


「一戦で、レベル31……! とんでもねぇ経験値量だ! しかも、ジョブレベルも上がった!!」


「ジョブレベルはどのくらい上がった?」


「20!」


「凄い勢いで上がったわね。経験値ボーナスがあるとはいえ」


 ははは、凄い、凄いぞ! 10レべも上がれば、ステータスポイントをたくさん振れる!




 ――――――――――――――――


 プレイヤーネーム:アオヘビ




 レベル:31


 職業:戦士 Lv.20

  鍛冶師Lv.5

 所持金:1000ギール



 体力:35


 魔力:25


 持久:30


 筋力:31


 敏捷:49→89


 技術:62


 耐久:5(20)


 幸運:20



 スキル


 バーストステップ→バーストステップⅡ

 スカイウォークⅠ

 ソニックランス→バーストランサー

 バックスラッシュ→バックスライサー

 スパイラルスタブ→スパイラルバースト

 シールドバッシュ

 パリングカウンター→パリングカウンターⅡ

 エンデュアーアジリティⅡ→エンデュアーアジリティⅢ

 エンデュアーテクニックⅡ→エンデュアーテクニックⅢ

 ドラゴンスレイ

 草原狩り

 鍛冶魔法Ⅰ

 鍛冶呪術Ⅰ



 装備


 呪毒の槍



 頭:洞窟の羽帽子


 胴:洞窟の胴鎧


 腕:洞窟の手袋


 腰:戦士の腰布


 脚:洞窟のレギンス


 ――――――――――――――――



 まぁ、全部敏捷に振るんだけどな。


「ソフィア、職業のレベル上がったら、ポイントってもらえるよな?」


「ええ。ジョブの欄を押せば、スキルポイントに換算してくれるわ」


 おお、分かりやすい。ポイントは……鍛冶師のも合わせて、きゅ、92ポイント……! 一気にステータスを上げられる! じゃあ、持久に全ぶっぱで。持久122、堂々の三桁ステータスだ……凄いな、スタミナゲージが滅茶苦茶長くなった。


「おおっほっほっほ」


「変な声出さないで。気持ちは分からないでもないけど」


「こんな声も出るわ。強い奴と戦えて、しかも経験値が美味しい!」


 レベルが上がれば、もっと強い奴と戦える。次のモンスターは……俺とソフィアのレベルを平均して――――65! 34レベル差!


「あ、でもあれか? ジョブレベルもあるから……そこまで差はない?」


「そうね。君の場合、31+20+5で、実質的なレベルは56ね」


「おおん……」


「何、その哀愁漂う悲しそうな声は」


 もっとひりついた戦いをできると思ったんだけどなぁ。


「レベルカンストしても、カリュドーン達は超強敵だからね?」


「ようし、やる気出てきた!」


 待ってろよカリュドーン、絶対に倒してやるからな! あの時のリベンジは絶対に果たす!!

なお、追憶の獣は全員レベル150を超えてます。頭おかしい。

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