坑道進みて瓜坊に出会う
「ヴェエエエエエッ!?」
坑道に入ってから約1時間が経過した。
いやぁ、変な声が出てしまうくらいにモンスターが多い! さっきのカマキリを倒してから、尋常じゃない勢いでモンスターが集まっている。あのカマキリまさか、倒されるとモンスターを引き寄せるような能力があったのか!?
「キィイイイイイイッ!」
「ギュルルル!」
「退きやがれぇ!」
目の前にいたモグラとコウモリを屠り、開けた道に突っ込む。ソニックランスで数体巻き込めたが、後ろから聞こえてくる音からして、まだまだおかわりがある。こんなおかわりいらねぇ!
「せめて広いところに行きたい……!」
戦うにしても、ここは槍を全力で振り回すには狭すぎる。もうちょっと考えて短剣とかサブ武器作っておくべきだったか? でもドラゴスパイク作った時点で金が枯渇してたし……うーん……まぁ、反省はここを切り抜けてからにしよう。
右、左、そのまま真っ直ぐ!! オーアフロッグがいたボスエリアみたいな広さの場所まで行けば戦いやすいはずだ。
「……見つけたぁ!!」
スタミナが切れるギリギリのところで到着した広間。ボスはーーーーいないな。それはそれで好都合。モンスターの群れに集中できる。
「よっしゃ来やがれモンスター共! 全部返り討ちにしてやる!」
全部経験値とアイテムにしてくれるわ! 俺に喧嘩売ったのが間違いだったと思わせてやる!
闘士の籠手をインベントリに戻し、左手に古草原の槍を装備。槍を二刀流で振り回すというこのスタイルは、パリィよりも攻撃と回避で切り抜ける立ち回りになる。本当なら弾いて殴るを繰り返すのが好きなのだが、今は攻撃を優先すべきと判断した。
入口から雪崩のように侵入してくるモンスターを2本の槍で殲滅していく。レベルが上がっているのもあって、殲滅速度は思ったよりも早い。石突きや柄にも当たり判定があるお陰で、槍で突く、斬る、殴るという動きができているのも、殲滅速度に起因しているだろう。
「オオオオラァアアアア!!」
シャームドラゴンとの戦いでも感じていたが、切羽詰まっていたり、一撃でも貰えば即死なギリギリの戦いってのは本当に面白い。自分のプレイヤースキルが試されているような気分になるし、自分がどこまでやれるのか試したくなってくる。思わず笑ってしまうくらいだ。
「まぁ、武器耐久が心配だけど……なっ!」
多分、これをずっと続けていたら間違いなく武器が先に折れる。いくらドラゴスパイクの耐久が高くて特殊効果が強くても、減るものは減るし、古草原の槍だってずっと使っていればいつかは折れる。
この戦いを楽しんでいたいという思いと、どこかのタイミングで離脱すべきだという思いが俺の心を揺らしている。このまま戦って死んでリスポーンしてもいいのだが、それは妥協な気がしてならない。だからここは折衷案として。
「ギリギリまで戦ってやる……!」
武器が折れる限界ギリギリまでやってから撤退することにした。ただ、この坑道に訪れた時の道は使えないため、さらに先へと進むしかない。ここは恐らく、ざわめきの森のどこかと繋がっているはずだ。このゲームのモンスターの行動範囲がどの程度なのかは知らないが、坑道を出てしまえばそこまでしつこく追いかけては来ないだろう。多分、きっと、メイビー。
「遊んでやるよモンスター共!」
ただし、武器が壊れる寸前までな! 限界ギリギリまで楽しい無茶をしていこうじゃねぇか! 安牌取り続けるなんて、ゲームをやっている意味が無いだろ!
「最初はコウモリ! 次にモグラァ!」
古草原の槍を投げてからバーストステップで突っ込み、コウモリが突き刺さった槍を回収。落下する中で体を動かして、モグラにドラゴスパイクを叩き付ける。
着地したら落下ダメージでちょっとダメージが入ったけど、これくらいなら許容範囲だ。モンスターの群れのど真ん中に飛び込んだら、スキルを一気に発動する。バックスラッシュ、スパイラルスタブ、ソニックランス……俺が今持っている攻撃スキルを全て吐き切り、道が開けたらそこを目指して走り出す。リスキーだが、場所が広いため、少しでも距離を離せばモンスターからの攻撃までに余裕ができる。スキルのリキャストまでは通常攻撃で切り抜け、スキルが起き上がったらまた飛び込む。ボスがいないなら、これでなんとかなるはずだ。
「武器が折れる前に狩り尽くしてやーーーーッ!!??」
相手にターンを回さないように、攻撃を繰り出そうとした直後。このゲームでは感じ取ったことがないレベルの殺気が、俺の全身を貫いた。直感に従って回避行動を取ると、頬を掠めていく一筋の雷光。モンスターがまとめて消し炭になってしまった。なんだあれ、掠めただけでHP半分消し飛んだんだが!?
ま、まさかローニンが狩ったPKの知り合いが報復を……? いや、それはあり得ないだろう。だとしたら同じように坑道に入ったプレイヤー? これもあり得ない。いくら魔法が強かったとしても、掠めた程度でHPを半分消し去るような魔法を使えるようになる頃には、こんな初期のミニダンジョンになど潜らないはずだ。
恐る恐る、魔法が飛んできた後方を見てみるとーーーー
「……」
こちらを睨んで? いる猪のような……ドラゴン? が立っていた。
『追憶の獣、【猪竜カリュドーン】と遭遇しました』
「んんんんん?」
つ、追憶の獣? 追憶とは何ぞや……? というか……
「カリュドーンはドラゴンじゃなくて猪だろうがぁ!?」
「ブモオオオオオオオオオオッッ!!」
あっぶね、口から雷吐いたぞこいつ!? 何がなんだか分からないが、先に攻撃したのはてめぇだよなぁ!?
「ぶっ殺してやるよ猪野郎!!」
ドラゴンスレイというスキルの倍率がどの程度か見させてもらおうか!!
瓜坊(クソ強ドラゴン)




