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魔女の待ち人  作者: 周
本編
24/39

腕枕、抱き枕

おぉ!ここに来て、ようやく甘い小話を挟めました。

短めの繋ぎ的お話ですが、どうぞ。


始まりは対等な、それぞれの枕に頭を預け手を繋いで眠る、子どものじゃれ合いの延長のような添い寝であったが、アルバートの成長に従い彼の専有面積は拡大し、逆にDの領地は侵食されていった。

ベッドを大きくするという手段もあったが、騎士見習いに上がった段階で帰省の頻度は間遠くなると踏んでいたDは、どんどん隅に追いやられながらも事態を放置していた。


場当たり的に取った苦肉の策は、寄り添って眠ること。


長じるに連れ収まりが良い体勢は刻々と変化し、試行錯誤の末に辿り着いたのが仰向けのアルバートの肩口に、横向きに頭を乗せ背中をアルバートの脇に添わせる姿勢。


しかし、それすらもここ最近は難しくなってきた。


と言うのも……骨格の形成はひと段落したアルバートであったが、日々の訓練によって今度は体の厚みが増してきており、Dにとっての枕が高くなってしまったのだ。

背を向けつつさらなる微調整を重ね、最近ようやくアルバートの肘裏の手前に落ち着いた。

そうなると、今度はアルバートの都合が悪くなる。

関節近くの為に上腕が痺れやすく、少しでも位置をずらそうと自然と肘が曲がり、つられて体が横になり、もう一方の腕の置き場を求めてDの上に覆いかぶさる。


結果、Dはすっぽりと包まれる形になった。


それはそれで寒い季節には重宝する。

基礎体温の低いDにとって、熱発散率の高いアルバートの体は湯たんぽ代わりになるからだ。

背中に伝わる温もりは絶大な安心感を伴うが、同時に罪悪感も齎した。

守られている心地良さと受け入れることを拒む気持ち、自己嫌悪に陥りつつも抗うことのできない睡眠への欲求……Dの胸中は複雑に絡み合ってゆく。


(きっかけは、ただ眠りたいが為だったはず……なのに…………果たして今の私は“彼”に恥じること無く顔向けできるのだろうか)


煩悶としつつ、不誠実な安らぎに身を任せる。


アルバートが騎士を拝命する日は、近づいていた。


誤字・脱字・意味の読み取りずらい表現など、ございましたらお知らせいただけると助かります。

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