魔女のお守り
ここの呟きって、もしかして邪魔……?
と、思い始めているチキンな作者。
始まりは、Dの方が身長も筋力も経験さえも圧倒的に有利であった二人だけの騎士訓練は、成長期のアルバートによって程無くして形勢が逆転する。
「そろそろ、お役御免、かの」
毎日の習慣となっていた鍛錬の後に、タオルの下から呟かれた言葉は、本人が意図した以上に寂しげに響いた。
「突然どうしたの?」
Dの汗を拭いていた手を止め、顔を覗き込む。
一瞬、横に顔を逸らした彼女はしかし、直ぐに足元に視線を戻しポケットから取り出した物をアルバートに差し出した。
「免許皆伝だ。これを進ぜよう」
「何?」
Dに渡されたのは、少し幅のあるガラス細工の様な透明な腕輪。
輪にする為の止め金が付いておらず、何かから彫り出すか鋳固める以外に無い、完全な環。しかし、どの素材を使えばこのように伸縮性を備え、表面には光沢すらある腕輪になるのか。
照り返す虹色を見ながら、アルバートにはその色彩に心当たりがあった。
「Dの髪と同じ色だね」
「良くわかったの。それは私の髪を呪いと共に編んだ物だ。一番魔力を込め易くての」
言いながら、一旦渡した物を手に取り、上腕に嵌める。
「ありがとう。大事にするよ」
そっと指でなぞり微笑みを向けた。それに渋面を返すD。
「お守りを大事にしてどうする。それはお前の身を守る物。肌身離さず身に着けておけ」
「わかった」
神妙に頷いて、感触を確かめるように撫でていた。
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